年間経費率0%のETFって可能なの?
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
たまには米国ETFの話題を・・。
かつて、
ETF運用会社の『ベスト3』は、
〇 ブラックロック(i シェアーズ)
〇 ステートストリート(スパイダー)
〇 バンガード でした。
しかし、
『純資産残高』において
バンガードが
ステートストリートを抜き去り、
純資産額で見た【順位】は、
〇 ブラックロック
〇 バンガード
〇 ステートストリート
に入れ替わっています。
また、
低コストETFにおいては、
チャールズ・シュワブの台頭によって、
〇 バンガード
〇 チャールズ・シュワブ
〇 ブラックロック
この3社の
三つ巴の【コスト競争】が
苛烈さを増しています。
たとえば一例ですが、
【米国株式】を挙げてみますと・・。
(%は「年間経費率」です)
【ブラックロック】
「iシェアーズ コア S&P 500 ETF」(IVV)
0.07%(銘柄数 505)
「iシェアーズ コア S&P Total U.S. Stock Market ETF」
(ITOT)0.03%(銘柄数 3748)
【チャールズ・シュワブ】
「シュワブU.S. Large-Cap ETF」(SCHX)
0.03%(銘柄数 745)
「シュワブ U.S. Broad Market ETF」(SCHB)
0.03%(銘柄数 1998)
【バンガード】
「バンガードS&P 500 ETF」 (VOO)
0.05%(銘柄数 505)
「バンガードTotal Stock Market ETF」(VTI)
0.05%(銘柄数 3635)
上記を見てみますと、
継続コストである
「年間経費率」が
限りなく【ゼロ】に近づいていることが
分かります・・。
では、ETFの継続コストが
「ゼロ%」になってしまうことって
あり得るのでしょうか?

FOX BUSINESSのこちらの記事、
『ETF Wars: Vanguard, Charles Schwab & BlackRock』では、
それは可能であると云っています。
そう、『貸株』です。
ETFが保有する株式を、
証券会社を通じ、
信用取引を行う投資家などに
貸し出すことで『金利収入』が得られます。
たとえETF本体で
報酬がなくても、
収益を上げることは可能というわけです。
以下、上記記事からの引用。
The research revealed that ETFs could make
23 basis points to 28 basis points per year
from securities lending,
(Passive Investing: The Role of Securities Lending,
という)リサーチによると、
ETFは貸株によって
年間0.23~0.28%の金利収入を得ることが可能。
そういえば、
経済評論家の山崎元さんはかつて、
【運用報酬はフリー(無料)にできるか】
というコラムの中で、
こう述べられています。
数兆円の資産の売買は
証券会社に大利をもたらす。
証券会社からのキックバック
または証券会社自体を保有することで
利益を確保できる可能性がある。
(中略)
販売会社あるいは運用会社は、
フリー・ファンドで集客して、
別の有料の商品を売ることができるかもしれない。
あるいは顧客になんらかのかたちで
個人情報を提供してもらい、
これを収益化する方法もあるかもしれない。
バンガード、
チャールズ・シュワブ、
ブラックロックのうち、
バンガードとチャールズ・シュワブは
実質、関連会社が証券会社となっているので、
運用会社が
証券会社を保有していると云えるでしょう。
ちなみに、
「バンガードTotal Stock Market ETF」(VTI)
は純資産額が650億ドルあり、
1ドル100円で計算しても、
なんと6兆5000億円になります。
(軽く数兆円規模の資産を超えていますね)
メガ級のETFに関しては、
継続コストが【0%】になる日も
そう遠くないのかもしれません・・。
◆ 参照記事(バロンズ)
【ETFの手数料、どこまで下がるのか?】
