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2019.10.11 Fri
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
今日、kenzさんの以下記事を読んでいて、
ふと思ったのです。
【J-REITがFTSE株式指数に組入れへ(2020年9月より)】
先進国株式インデックスファンドの、
代表的な連動指数は
『MSCIコクサイ指数』ですが、
1.そのMSCIコクサイ指数(株価指数)の中に
REITが組み入れられているのを
知らない人が多いのでは?
2.1.の情報がそもそもきちんと
開示されていないケースが多い。
kenzさんは上記記事内で、
海外のREIT(不動産投資信託)が
先進国株式指数である
「MSCIコクサイ指数」に入っていると解説されています。
以下、引用)
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の
月報の資産別構成の箇所に、
外国リートとして63銘柄(2.8%)が
組み込まれてることがわかります。
引用、終わり)
はい、たしかに。
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)の
『月次レポート』から、
わたしも拾ってみました。

この提示のしかたが
今回いちばん分かりやすかったですね。
63銘柄もの海外REIT(不動産投資信託)が
『先進国株式インデックスファンド』の中に入っているって、
あなたはイメージしていましたか?
別の例も見てみましょう。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの『月次レポート』から拾ってみると・・。

「株式等」という記載のされ方です。
(「等」の中にREITも含まれているよ・・
というニュアンスなのでしょうか。)
次に、
たわらノーロード 先進国株式の『月次レポート』から。

フム。
株式という文字はなく、
おそらく『現物組入比率』の中に
REITが含まれるのでしょう。
(組入銘柄数も1327と記されていますし。)
いや、もしかすると、
「マザーファンド」そのものも
最適化法の運用を行っており、
REITはあえて入れていない可能性もある?
最後に、
eMAXIS 先進国株式インデックスです。
(もちろん、
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスも
まったく同じ構成になります。)
こちらの『月次レポート』から見てみると・・。

ほお、
「REITは株式に含めて表示しています。」とのこと。
でもこれでいいのでしょうか?
近年、特にアメリカでは、
上場銘柄に占める
REITの割合はじわりじわりと上昇しており、
2016年にはREITは
S&P500指数など主要な指数において、
金融セクターから独立し
はじめて別個のセクター(業種)、
つまり『不動産セクター(Real Estate)』として
扱われ始めています。

REITはS&P500指数の中で
数パーセントを占めるまでに成長し、
S&P500の銘柄のうち
31銘柄がREITなのです。詳細はこちら。
わたしは、
『先進国株式インデックスファンド』の
「月次レポート」をはじめとする
詳細情報においては、
株式とREITをきちんと分けて、
資産構成の内訳を開示したほうがよいと思います。
なぜなら、
株式、債券、REITなどを組み合わせて
自身のポートフォリオを組成する人にとっては、
先進国株式インデックスの中に
どの程度REITが含まれているのかという情報は
たいへん重要であるためです。
運用者目線での、
情報開示をお願い致しますよ、運用会社さん!
| 指数のお話
| 17:54
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2019.09.14 Sat
| 指数のお話
| 12:00
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2019.08.12 Mon
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
どうも「債券」を勘違いしている人が多いようです。
〇 かなり絞り込んでいる・・
〇 よりリスクを負っている・・
そういう自覚があまりないまま、
『ひとつの銘柄』として
なんとなく南アフリカ共和国の国債を
買ってしまったりしているのです(-_-;)
南アフリカだけではありません。
たとえば、一銘柄として
7 年満期の「オーストラリアドル建て債券」を買うことは、
(株式でいうところの)
個別銘柄を買うのと同じです。
具体例を挙げてみましょう。
「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」という
投資信託があります。
これって正確にいうと、
【先進国債券】ではなく、
【世界主要国の債券(国債)】なのです。
なぜなら、
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスが連動を目指す、
『FTSE 世界国債インデックス(除く日本)』は、
↑フッチィーと読みます。
新興国の国債も組み入れているためです。
今現在、日本も含んだ場合の
『FTSE 世界国債インデックス』の
国・地域別の組入れ比率は?
〇 アメリカ 38.38%
〇 西ヨーロッパ 30.69%
〇 イギリス 5.22%
〇 日本 19.29%
〇 その他 6.43%
となっています。

その他には、オーストラリア、カナダ、
マレーシア、メキシコ、ポーランド、シンガポール、
南アフリカなどが含まれます。
そう、マレーシア、メキシコ、ポーランド、
南アフリカといった「新興国の国債」も
組み入れられているのです。
あっ、申し忘れましたが、
この『FTSE 世界国債インデックス』は、
かつて『シティグループ世界国債インデックス』と呼ばれていました。
2017年にシティが指数事業を売却したために
現在の『FTSE 世界国債インデックス』に変更になっています。
(もちろん指数の連続性は維持されています)
次に、
『FTSE 世界国債インデックス』の格付けですが、
〇 AAA が 11.4%
〇 AA が 55.2%
〇 A は 26.04%
〇 BBB が 7.36% となっています。
(もちろん、すべて投資適格債券です)
ただし、
昨今は世界的な超低金利が続いており、
投資対象としての債券の魅力は減るばかりです。
なので、組み入れない?
・・たとえば株式の場合、
高値圏にあるからといって
購入をやめてしまうのでしょうか?
債券を何割持つ、
株式を何割持つという「ポートフォリオ」は
あなた自身の骨太方針であり、
仮に債券価格が下がっていき、
債券の比率が下がれば、
定期の『リ・バランス』でもとの割合に戻す。
ただそれを行うだけです。
株式がこれから先、
どのような軌跡を描くか分からないように、
債券(また金利)の動き方も所詮分かりません。
もうひとつ実例を。
「外国債券インデックスファンド」という、
同じ「FTSE 世界国債インデックス」との連動を
目指す投資信託があります。
こちらは 2001 年の設定。
すでに18年以上の運用履歴を誇ります。
(運用会社は
三井住友トラスト・アセットマネジメント)
この外国債券インデックスファンドの、
18 年間の騰落率は?
およそ113%!
年率リターンでいえば「4%」程度になります。
債券のリターンでいうと、
少し「出来過ぎ」ですね。
ただし、当ファンドはただ漫然と
運用を続けてきたわけではありません。
「FTSE 世界国債インデックス」という物差しが、
【組入れ銘柄(国債)】だけでなく
【組入れ国】も変遷させてきたため、
そこそこ激動の「18年間」だったのです・・。

たとえば、
〇 ギリシャ、ポルトガルは指数から姿を消しました。
〇 マレーシア、ポーランド、南アフリカなどが
新たに組み入れられるようになりました。
国ごとの国債を注意深くみると、
『金利の上下』のしかたはまちまちの部分があり、
また『為替レートの動き』も
相対的でかつ不規則でありました。
たとえば
円という通貨ベースから見ると、
2006~2007年と、
2013年以降の円安トレンド、
また、2011~12年の超円高トレンドという
両極端を、幾度も経験しています。
債券という資産は、
金利の変動、そして、為替の変動に
その『収益』が大きく左右されるだけに、
一個の銘柄のみを買うのは戦術として正しくないのです。
広く銘柄を分散させ、
国も地域も、そして通貨も
分けて持つのが鉄則なのです。
最後に、
「FTSE 世界国債インデックス」(日本含む)の
ファクトシートはこちらです。※英語になります。
| 指数のお話
| 19:43
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2019.06.27 Thu
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
わたしはアウターガイさんの記事で知りました。
【新経済連盟が独自の株価指数「新経連株価指数」の算出・公表を開始】
「えっ、新経済連盟ってなに?」
と思われる人がいるかもしれません。
旧来の製造業中心の
「経済団体」(経団連)に対抗して、
IT企業を中心に作られた「経済団体」のこと。
代表理事を務めるのが、
楽天の三木谷社長と云えば、
イメージが湧いてくるでしょうか・・?
この新経済連盟ですが、
新たな『株価指数』の算出を始めています。
その名も・・、
「Japan New Economy Index」!

こちらをご覧いただくと、
毎日「指数」の公表をしているようです。
(算出業務はドイツのSTOXX社に委託しています)
日本語名は「新経連株価指数」ですが、
英語名の
「Japan New Economy Index」のほうが
この指数の【狙い】を如実に表していると思います。
要は?
「要は、いつまでもオールドエコノミー中心で
日本の経済を捉えていると、
これからの発展はありませんよ!」
と主張しているわけです。
(Japan New Economy Indexは、
新経連に加盟する525社のうち、
東京証券取引所第1部、第2部、
東証マザーズ、ジャスダックに上場する
96社を対象に加重平均して指数を算出。)
朝日新聞のこちらの記事によると、
Japan New Economy Index(新経連株価指数)は
新経連が発足した2012年6月1日を
起算日としており、
同指数は19年5月末で
当初の約4倍になっています。
(それに対して日経平均株価は約2倍・・)
何やら、違う景色が見えてきます。
私たちのライフが
高齢世代と若年世代に分離され、
それぞれが違う景色を見ているように、
日本経済も、
オールド・エコノミー
ニュー・エコノミーという、
まったく異なる「層」から成っており、
どちらかというと、
オールド・エコノミーが【鍋のフタ】となって、
新進気鋭の斬新なアイデアや試み(トライ)を
押さえつけている面があるのでは・・?と、
わたしなど思ってしまいます。

・・話は変わります。)
ちょっと昔の話ですが、
2014年の『インデックス投資ナイト』で
ひふみ投信の藤野英人さんが、
次のような主旨のことを言っておられました。
(日本企業について、)
大きな会社の経営者の質が低い。
そういう会社はパフォーマンスも悪い。
上位100社を除くと、
パフォーマンスが良いのに・・。
ドコモや三菱UFJフィナンシャルグループなどは
株価が激下げしているのに2期4年も会長をやっている。
アメリカなら首になる。
(日本では)アクティブな
ファンドマネージャーが少ないので
お前は首だと退場を命じる人がいない。
だから非効率性が上がってしまう・・。
藤野さんは確かあのとき、
『上位100社を除いた
株価指数があればいいと思っている。』
という主旨の発言をされていました・・。
『株価指数』とは、時代の産物です。
マーケットでうごめくさまざまな企業から成る
「市場平均」を、
どのような観点で、
どれだけ独創的に作り出すか・・。
ここが『指数』(インデックス)の
もっとも面白いところです。
そういう意味で、
わたしは「Japan New Economy Index」に
期待したいです。

そして、新経連株価指数のような物差しが
注目を浴びることで
もっとも刺激を受けるのが、
他ならぬ「日経平均株価」なのでしょう・・。
ただ、一点だけ、注意を。
冒頭の記事では
新経連株価指数について
アウターガイさんが、
算出要領や銘柄毎のウェイトなどについては
開示されておらず、詳細は不明です。
と記しておられます。
指数の算出と管理については、
指数提供会社に委託しているわけですから、
『詳細データ』をぜひとも開示してもらいたいものです。
(そして当該指数との連動を目指すETF、
インデックスファンドの登場を期待します・・)
最後に、
Japan New Economy Index(新経連株価指数)
構成銘柄一覧はこちら(PDFファイル)
日経平均株価の構成銘柄は
こちらです。
ぜんぜん違いますでしょ?)
株価指数もまた、
時代を映す鏡なのです・・。
| 指数のお話
| 16:40
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2019.05.16 Thu
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
自らファンドを組み合わせ、
ポートフォリオを作る人にとっては、
「新興国株式インデックス・ファンド」
= MSCIエマージングマーケット指数との連動を目指す!ということで、
同指数には馴染みがあるはずです。
ところで「指数」とは?
固定の金属の入れ物ではなく、
立派な『生き物』です。
長い目で見れば、
平均を示す物差し(指数)に、
新たに採用される国や、
弾かれてしまう国が出てきます。
あるいは、
新たに採用される銘柄(株式)もあれば、
弾かれる銘柄(株式)もあります。
そう、指数内部では
常に【新陳代謝】が起こっているのです。

そんな新陳代謝のひとつが、
MSCIエマージングマーケット指数への
「サウジアラビア」と
「アルゼンチン」の採用です。
5月14日付 Seeking Alphaの記事によりますと、
5月28日を持って
MSCIエマージングマーケット指数に
サウジアラビア株式とアルゼンチン株式が
組み入れられると伝えています。
これで
MSCIエマージングマーケット指数の構成国は
「26ヵ国」となります。
上記記事によりますと、
サウジアラビアからは30社の銘柄が、
アルゼンチンからは8社の銘柄が
加えられると伝えています。
指数の『全体図』を整理しておきましょう。
現在、
「MSCIエマージングマーケット指数」に
組み入れられるのは1138銘柄です(4月末現在)
国別の構成比率は
以下のようになります(3月29日現在)

画像元:MSCIサイト
そして、同指数内における
もうひとつの動き(変遷)が「中国A株」。
昨年からMSCIは
「エマージングマーケット指数」への
「中国A株」の組入れを始めました。
が、市場の特殊性を考慮して、
「中国A株」のごく一部を限定的に
組み入れ始めたのです。
今月から、
その組み入れ比率が高まります。
Bloombergの記事より引用します。
引用、始まり)
MSCIは2月28日の発表文で、
中国A株の組み入れ比率を
今年5月から3段階で引き上げると説明。
MSCI新興市場指数におけるA株のウエートを
現行の0.72%から11月に3.3%に高める。
引用、終わり)
上記の
「0.72%」「3.3%」という数字は
実は「指数全体」から見た数字です。
MSCIの原文(プレスリリース)から拾ってみます。
こちらのほうが分かりやすいかもしれません。
it will increase the weight of China A shares
in the MSCI Indexes by increasing the inclusion factor
from 5% to 20% in three steps.
要は今年2019年中に
5月、8月、11月と3段階に分けて、
エマージングマーケット指数への
採用比率を、
中国A株(浮動株調整後の時価総額)の
5%から20%へ
増加させるということ。

中国A株そのもの(全体)を
一挙に同指数に採用してしまうと、
あまりにも影響が大きくなるので、
漸進的に組み入れを進めます・・
というMSCIの意思表示なのでしょう。
今の「国別組み入れ比率」を前提に、
仮に中国A株そのもの(全体)が
MSCIエマージングマーケット指数に
採用されれば、
同指数に占める
中国株式の割合は50%近くにまで
増加してしまいます。
以下、
世界の株式市場時価総額に占める
「国別のランキング」です(2017年)

※ 画像の右側は途中で切れている状態。
1位の米国の棒線は(本来)もっと長いです。
画像元: the Global Ecomomy
この表を見ると、
中国株式のプレゼンスは
もはや新興国ではないことが分かります。
MSCIがよい意味で、
中国株式(A株)にプレッシャーをかけ続け、
いつの日か
「先進国株式(MSCI World 指数)」に
鞍替えされる日が来れば、
それは世界のマーケットにとって
決して悪いことではないはずです。
〇 こちらの記事もご参考に!
【MSCIエマージングマーケット指数の25年を振り返ってみると・・】
| 指数のお話
| 13:25
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2018.10.17 Wed
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
「eMAXIS Slim」に
MSCIオール・カントーリー・ワールド・インデックス
(MSCI ACWI)との連動を目指す、
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』が
加わります。
(新規設定は10月31日の予定)
ところで、
今日は【指数】のお話を。
具体的には、
「MSCIオール・カントーリー・ワールド・インデックス」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」の違いについて、
少し触れたいと思います。
ちなみに、
「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」とは、
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が
組み入れる、
バンガードの全世界株式ETF(VT)が
連動を目指している指数のこと。
端的に言って
MSCI ACWIと、
FTSE Global All Cap Indexは、
とても似ています(^^;
9月28日現在の
それぞれの指数における
上位組入れ国とその比率は・・?
MSCI ACWI)
アメリカ 55.12%
日本 7.57%
イギリス 5.4%
フランス 3.46%
中国 3.43%
FTSE Global All Cap Index)
アメリカ 54.72%
日本 8.13%
イギリス 5.53%
フランス 3.04%
中国 2.99%
MSCI ACWIが組み入れるのは
47ヵ国。
FTSE Global All Cap Indexが
組み入れるのは48ヵ国です。
「あれ、一ヵ国どこが違うの?」
FTSE Global All Cap Indexには
実はクウェートが入っています。
以下、MSCI ACWIの『構成国』です。

ここにクウェートが入れば、
FTSE Global All Cap Indexの構成国になります。
(ただし、FTSEでは韓国は先進国に区分されます)

で、主な違いはどこにあるの?
ズバリ、組入れの【株式の数】です。
(9月28日現在)
MSCI ACWI) 2,791社
FTSE Global All Cap Index) 7,900社
この銘柄数の違いはどうして生じるの?
実は、
「FTSE Global All Cap Index」のほうは、
大型株、中型株、小型株を
網羅しているためです。
(MSCI ACWIは大型株、中型株のみ)
要は、
「世界株式」のカバー率が異なるわけです。
「MSCI ACWI」は
世界株式の時価総額の85%程度を、
「FTSE Global All Cap Index」は
98%程度をカバーしています。
どちらも究極の
全世界株式・分散投資となりますが、
より広く網羅しているのが
FTSEのほうと云えますね。
ただ(繰り返しになりますが、)
大勢で見た場合、
両指数の特性は
とても似通っているのですよ。
| 指数のお話
| 11:48
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