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貯蓄性保険の静かなる死


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

今日は日経新聞の記事からです。


nikkei ロゴ


生保、円建て貯蓄型休止も 明治安田など運用難で
 ~金利低下 強まる逆風~

ここから、引用)

明治安田生命は9月に
銀行窓口での販売を休止したのに続き、
10月には自社の営業職員が扱う商品も休止した。

同社が円建ての一時払い終身保険を
全面的に販売休止するのは初めてだ。

引用、ここまで)



日経の記事によりますと、
保険商品の予定利率は、

10年物国債と20年物国債の
市場金利に基づいて算出する
標準利率』を参考に決められるのだそう。

(記事によると、来年1月から
標準利率がはじめて「ゼロ%」となる見通し。


ということは『予定利率』は・・?


まあ現在、
日本の国債の「利回り」が
以下のようになってしまっているため、


国債の利回り

画像元:ブルームバーグ


貯蓄性の保険(円建て)はもはや
金融商品として体を成していないのです。

作り手側も、
収益が見通せない状況に陥っているのでしょう。

(日経の記事では
ソニー生命保険が11月から
代理店が扱う円建ての学資保険の販売を
休止すると伝えています。)


くれぐれもご注意いただきたいのは、
円建ての貯蓄性保険が
成り立たないからといって、

外貨建て保険に安易に飛びついたりしないこと!


『外貨建て保険』は立派な
投資型の金融商品ですから。


image.jpg


あっ、でも保険会社だけではありません。

『金利が付かない世界』では
銀行も利ザヤを稼げず
どんどん追い詰められています。


そもそも『預金』という金融商品は?

あなたが
銀行に
「お金を貸してあげる行為」です。



しかし下図のように、

銀行があなたから借りたお金(預金)を元手に、
企業にお金を貸しつける際、

なんとその『貸出金利』が
1%未満になっているのが珍しくありません・・。


融資の金利別内訳

画像元:ウォール・ストリート・ジャーナル


預金で金利が付くのは、
「昔はそうだったね・・」の世界に
なってしまったのです。

金利が付かない、
あるいはマイナス金利が常態化するとは、
まさしく【デフレ】が忍び寄っている証左です。

して「そのこころは?」

お金をお金のままで置いていても、
その価値が減らないことを意味します。


『預金』はもはや、

「お金を預かってもらう。」
「決済に利用させてもらう。」ための
】に過ぎなくなっているのです。


【デフレ】基調が鮮明になれば、

(金利が付かなくても
「お金」の価値が減らないわけですから、)

消費者(預金者)が
預金口座維持のために手数料
銀行に支払う時代が、
早々とやって来てしまうかもしれません・・。

〇 ロイター
【アングル:口座手数料、金融庁内に容認論 地銀は三菱・三井住友にらみ

〇 日本総合研究所
英国大不況下と世界的デフレについて

あ




| 経済よもやま話 | 15:20 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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カラダは日本に。お金は世界に。


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

以下の数字は何を意味しているのか、
ちょっと考えてみましょう。

準備はいいですか?

よーい、スタート。。


89年    38,915円

97年    521兆円

08年    128,000,000人

11年    75.78円



どうです、分かりましたか?

【答え】は・・、

89年    日経平均株価
97年    名目GDP
08年    日本の総人口
11年    対ドル為替レート


いずれも、
ピークを付けた年と数字です。

なので、


カラダは日本に
お金は世界に、なのです・・。


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| 経済よもやま話 | 16:31 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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第10回『お客様からの質問コーナー』(アメリカの長期国債の価格は、どのように動くのですか?)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

当オフィスのお客様から頂戴した
さまざまな『ご質問』に回答していく、
お客様からの質問コーナー!

第10回!
片岡 尚也 さま(仮名)50代 神奈川県



【質問!】

カンさん、ご無沙汰しています。
アメリカの長期債券、例えば30年物の国債の価格は、
何を要因として動くのかを教えて下さい。

短期の国債は、FFレートで金利が決まり、
それに伴い価格が決まることは分かりますが、
長期の国債だとその値段の決まり方が分かりません。

市場参加者の景気の予想に伴う
需給で決まると考えてよいのでしょうか?



片岡さん、ご質問ありがとうございます!

まずは「教科書的」な確認から・・。

元来、中央銀行が
金融政策として行ってきたのは、
『短期金利の誘導』です。

・・景気が悪い時)
政策金利 = 短期金利を引き下げ、景気の浮上を目指す。

・・景気が過熱している時)
政策金利 = 短期金利を引き上げて、景気の熱を冷ます。



hqdefault.jpg


ただ(アメリカを例に挙げますが、)

短期の国債は
FFレート(米国の政策金利)のみで、
その価格と利回りが
自動的に決まるわけではありません。


これも「教科書的」な言い回しとなりますが、

中央銀行は、
『金融政策』の変更を通じて、
マーケットの短期金利水準に
働きかけてきたに過ぎないのです・・。



具体的に言いますと、
満期が1年未満の『短期国債』も、

機関投資家によって
市場で売り買いされ、
その価格が常に変動しています。

折しも本日(28日)の豊島逸夫さんのブログには
以下の文言が・・。

以下、引用)

米国債は3か月物から30年債まで、
全ての利回りが
FFレート(米政策金利)を下回るという
「金利沈没」現象が不安感を煽る。

引用、終わり)



ちなみに以下、
最新の米国国債の価格と利回りです。


us treasury yield

画像元:Bloomberg United States Rates & Bonds


では、どうして
国債の利回りは、

中央銀行の『金融政策』によって
自動的に決まってしまうという印象を、
私たちは持つようになったのでしょう?

それは先進各国の中央銀行が
(まさに異次元というべき)

非伝統的』な金融政策を
行うようになったためなのです。


リーマンショック後、
先進各国の中央銀行は
景気浮揚のために、

短期国債だけでなく、
長期国債も含めた『買入れ』を通じ、
長期金利までも含めて
金利をコントロールする政策に踏み出しました。


さあ、ここからですよ。

片岡さんのご質問に「教科書的」に答えますと、
長期国債の価格は、
市場参加者の売り買いによって日々変動します。



kabekin2636-400x270-MM-100.jpg


(株式と比べると、)
債券の世界では

〇 数は少ないが、
〇 莫大な資金を有する機関投資家が、
国債の売り買いを担っているのです。


意外に思われるかもしれませんが、
株式より、
債券のほうがマーケットとしては
いまだ大きいのです。

(おおむね株式市場の倍の大きさを
債券市場は有しているとお考えください。)



ただし、現在では
中央銀行という
【巨大な買い手】が出現しています。

たとえば、
ドイツ10年もの国債の利回りが
「マイナス0.6%」になっても
機関投資家がこれを喜んで買うのは、

中央銀行が(それを)買ってくれるという
安心感があるためなのです。


そう、中央銀行の存在が
長期国債の健全な価格形成を妨げているわけです。
(・・きわめて、異常な事態です(汗)


片岡さんの今回のご質問は、
先進各国の、
異次元の金融政策を理解する上で
たいへん有意義だったと思います。

(ご質問ありがとうございました!)

〇 こちらの記事もご参考に!
【デンマークの銀行がマイナス金利の住宅ローンを提供(期間10年)】

あ




| 経済よもやま話 | 13:37 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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デンマークの銀行がマイナス金利の住宅ローンを提供(期間10年)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

米国CNBC「make it」の
こちらの記事によりますと、

デンマークの銀行 Jyske Bank A/Sは、
8月5日、
マイナス金利の「期間10年の住宅ローン」を提供すると発表しています(金利はマイナス0.5%!)



cnbc モーチン


同じくデンマークの銀行 Nordea Bank Abpは、
20年固定金利の住宅ローンを金利ゼロ%で、
また30年固定では
金利プラス0.5%で提供すると言及しています。

ただし、以下の点ご留意を


記事内では
Jyske Bankのハウジングエコノミスト
Mikkel Høegh氏が

ローンの手数料等を合わせると、
実質マイナス金利とはならない可能性があるとしています。

また、冒頭のJyske Bankの10年ローンは
「家の増改築」「ローンの借り換え」に限られるようです。



opportunity-cost-900x450.jpg


それにしても、です。
一体どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

実はデンマークでは先月、
すべての国債の利回りが
『マイナス』に陥ってしまいました。


えっ!?


デンマーク


7月初旬時点で、
デンマーク国債20年物の利回りは「マイナス0.03%」

<文字通り、金利が付かない世界の出現です。>


また、スイスでも先月、
すべての国債の利回りが『マイナス』に陥りました。

なんとスイス国債50年物の利回りですら、
マイナス0.014%となったのです。
ロイターのこちらの記事より。

冒頭の住宅ローンですが、
ほぼコストの負担なしで借り入れが可能になれば、

「これから先、家を買う人が増えてくるよね。」
という考え方は
わたしはちょっと違うと思います。


世の中的に
ローンを組んで資産を買おう、
お金を借りて設備投資を行おうという
『機運』が損なわれているからこそ、

「金利が付かない世界」に突入してしまっているわけで・・。


money-dollars-cash-burden-debt-chain-600x450.jpg


これは近代人にとって「はじめての経験」です。


たしかに過去、
大きな戦争が何度もありました。
石油の高騰にも見舞われました。

その後のインフレーション、為替の理不尽な変動、
新興国を中心とした経済危機、ソブリンリスク、
国際的テロル、サイバー攻撃等々もありました。

でも、

金利は

ちゃんと付いていたのです。



金利が付かない今の現象は、

これから先、
資本を投下しても
なかなかリターンが得られないよという
暗示に思えて仕方がありません。


現状、日本、欧州等の
国債の利回りにも憂慮します。

国がお金を借りるのに
コストがかからなくなれば、
あらゆる国で
財政拡大が正当化される可能性があるためです。

行きつくところは
(まさに)未知の世界、なのでしょうか・・。


追記)

冒頭のJyske Bankの10年ローンですが、
記事を読み進めると、
たとえマイナス金利部分が発生しても、

返済者が金利を得られるわけではなく、
ローン元本がその分減らされるくしくみであるようです。

あ




| 経済よもやま話 | 13:25 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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映画でオプション取引?


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

わたしが好きな俳優に
アンソニー・クインがいます。

彼がロードムービーの傑作、
フェデリコ・フェリーニ監督の「道」に出演した時のこと。


道

(1954年のイタリア映画。
同作品は彼の出世作でもあります)


主演であるアンソニー・クインの
ギャランティー(出演料)は、
映画の興行収入の 25% というものでした。
(ちょっと特殊ですよね・・)

さて、ここからふたつのことが「推測」できます。

1. フェリーニとクインの濃密な信頼関係
2. この映画が当たる可能性はけっこう未知数である
(なにしろ興行収入の25%ですから!)



当時、フェリーニの映画は
(一般の観客には)
難解で分かりにくいとされており、

芸術的な評価はともかく、
興行的には大いに??だったのです。


アンソニー・クインのエージェント(代理人)は、
試写が終わったあと
「この映画は最低だ!」と呟き、

「ギャランティー(出演料)の権利を売ってしまおう」とクインに持ちかけます。

そしてある人物が
15,000ドルでクインの権利、
つまり【興行収入の25%を受け取る権利】を買いましょう、
と申し出ました。

(この人物のことは未だにほとんど知られていません)


srufing_man.png


ここに「契約」が成立します。
上記のある人物とは(今日の概念でいえば)
れっきとした 投資家 であります。

そして上記権利の売買は
立派な【オプション取引】なのです。


で、結果はどうなったのか?
「道」は世界中で大ヒットします(笑)

「ある人物」は、自分が期待する
収益(リターン)とリスクの大きさを天秤にかけ、
15,000ドルという数字をはじき出したわけです。

あっ、もちろん、
フェリーニの「道」は、
そんなエピソードとは関係なく
世界中で多くの人々に愛されていますよ。


映画という産業が欲する
「資金調達」というニーズに応え、
さまざまな投資商品を仕立てていくことも
金融の大切な役割だとわたしは思います・・。

ビバ!映画。

あ




| 経済よもやま話 | 18:10 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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最近のアメリカ株式、なにも市場全体が等しく上がっているわけではありません


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

わたしはよく、

市場全体がアップした、
市場全体がダウンした・・
と表現していますが、

これ、かなり『乱暴な言い方』かもしれません。


「市場全体がアップした」と見えても、
実のところ
いくつかの主要株式が大きく上昇しただけで、

(あとの)ほとんどの株式は
反応していなかったということもあります。

(でも、外側から見ると、
市場全体が等しくアップしたように思えてしまう。)


alternative-investments-300x249.jpg


また、
市場全体の収益(数字)だけを見ても、

大型株式と小型株式では、
そのパフォーマンスがかなり違うケースがあり、
市場内部の『温度差』は
なかなか伝わってきません。


まず、アメリカ株式を、

○「いちばん大きな(代表的な)企業500社」と、
○「いちばん小さな2000社」に、
ざっくり分けてみましょう。


すると、直近の1年間
両者はまるで違う
パフォーマンスを示していることが分かります。

S&P500(大きな企業500社)
8月2日現在 直近1年 プラス3.23%

エスピー500



ラッセル2000(小さな企業2000社)
8月2日現在 直近1年 マイナス8.35%

ラッセル

いずれも画像元:
ウォール・ストリート・ジャーナル「マーケットデータ


実は上記を知ったのは、
米国の有名なファイナンシャルプランナー
リックエドルマンのラジオからです。


リック

画像元:Edelman Financial Engines


エドルマン氏によると

小型株と大型株のパフォーマンスの差が
こんなに広がったのは、
2009年の3月以来なのだそう・・。



特に今年に入ってからは
S&P500(大型株)はヒートアップしており、

年初来のパフォーマンスは
(なんと)プラス20.2%! (7月30日現在)

エドルマン氏によると、
この20%の上昇のうちおよそ1/5は、
マイクロソフト、アップル、アマゾン、フェイスブックの
4社の株価上昇に起因するとのこと・・。


市場全体が軒並み上昇した、のではなく、
『大型株の、一部巨大IT企業の株価が上昇・・』
という構図が見えてきます。


何やら危うさを感じます。


米国株式はフェアバリューから見て
明らかに高すぎる状況と云えるでしょう。

最後に、
シラーPER(CAPEレシオ)のご紹介です。

シラーPERとは、
単純なS&P500の「PER」ではなく、

インフレ調整後の
過去10年の1株あたり利益の平均値を用いて、
株価収益率(PER)を算出しています。


シラPE

画像元:Shiller PE Ratio


現在、シラーPERの数値は
29.66倍。 (8月2日現在)

歴史的に見てもかなり高い水準にあります。
今一度、私たちは自分の『リスク許容度』を
チェックしてみるべきでしょう。

もちろん、この先
仮にマーケットが大きく「下落」すれば、

税制優遇口座を用いた
『つみたて投資』のチャンス到来です。


〇 第23回 8月31日()in 東京 【満席御礼】
〇 第24回 9月28日()in 東京
〇 第25回 9月29日()in 札幌 ← はじめて!

465-125.jpg

セミナーの詳細&お申し込みコチラからどうぞ。




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