「回転木馬のデッド・ヒート」は短編の力を再認識させてくれる..
こんにちは。カン・チュンド です。
物語は作りごとです。
しかし、作りごとであるからこそ、
人の営みの深いところを垣間見せてくれるのだと思います。
投資やビジネス本は、
小説という大河に比べたら
枝葉の水の流れにすぎないと、時々思ってしまいます。
本棚から何度も引っ張り出してしまう、
村上春樹氏の【回転木馬のデッド・ヒート】を
ご紹介しましょう(1985年の作品です)
この本は正確な意味でいう「小説」ではありません。
この本は、村上氏の作品の中でも異彩を放っています。
「回転木馬のデッド・ヒート」は、
村上春樹氏が、実際に人から聞いた話
(彼ら/彼女らの体験談)を文章にしているのです。
人それぞれに、
特異な体験を引き込むパワーのようなものを持っていて、
人生のちょっとした瞬間に
それが発芽することがあるのだな・・・と
わたしはこの作品を読んで感じました。
以下、回転木馬のデッド・ヒートに収められている
8つの作品群です。
・レーダーホーゼン ・・
女性が読まれるとうんうんと頷かれるのでしょうか?
・タクシーに乗った男 ・・
本当に不思議な話です。
・プールサイト ・・
彼の涙の意味を、わたしはまだ理解できていません。
・今は亡き王女のための ・・
わたしは映画「ラスト・ショー」の思わせぶりな主人公、
ジェイシー(シビル・シェパード)を思い出しました。
・嘔吐1979 ・・
本当にこんなことってあるのでしょうか。
・雨やどり ・・
財布の中身(金額)が瞬時にわかるって、どんな気分なのか。
・野球場 ・・
たとえば社会が個人を覗き込む、という暗喩を感じます。
・ハンティング・ナイフ ・・
静寂の底に、閉じ込められた人の想い。
【回転木馬のデッド・ヒート】を
秀逸な作品にしているのは
言うまでもなく
村上氏の文章構築力にあると思います。
(文章の勉強にもなります)
そして、氏が類まれな「聞き上手」である点が、
この作品を奥深いものにしているのでしょう。
◆ 参照書評
「小説のようで小説ではない? "回転木馬のデッド・ヒート"」
最後に、本書の「タイトル」の意味は、
本の「はじめに」の部分で語られています。
(とっても哲学的….)
(そういえば、自分でこんな文章書いてました。)
【村上春樹という普遍性】
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