アメリカ人がETFに夢中になっている理由 (銘柄の半径が一挙に広がった・・)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
わたしは「グーグル・ファイナンス」で
米国株式市場の「出来高トップ10」を
定点観測するようにしているのですが、
この10年で「出来高トップ10の銘柄」に
新たな顔ぶれが登場することになりました。
それがETFです。
アメリカ人はときに、個別株以上に
【具体的な銘柄】としてETFを選択します。
たとえば、
東日本大震災が発生した3月から4月にかけて、
米国株式市場では、
MSCIジャパン インデックス・ファンド(ETF)の出来高が
急増しました。
(たしか出来高のトップ5に入っていたはず..)
大震災・原発事故 → 日本を買う、日本を売る?
という思考のもと、
米国の投資家は「ETF」というツールを選んだのです。
つまり、これは
【日本という銘柄】を売買することにほかなりません。
(【中国という銘柄】に投資するという意味合いで、
米国市場上場の
iシェアーズFTSEチャイナ25インデックス・ファンド(ETF)
も人気が高いです)
こういう書き方をすると、アメリカ人は昔から
「海外投資」に興味があったかのような印象を与えますが、
それは・ちょっと違います・・。
多くのアメリカ人は(経済・政治・軍事の面で)
「自分たちが世界のリーダー(中心)」であると思っています。
株式に投資をするといえば、
「アメリカ株式」に投資するという考えが一般的なのです。
たとえば、オレゴン州に住むスミスさんが、
株式の「国・地域別配分」を決める際に、
100ある原資の中で、
アメリカ株式40 海外株式60 という「配分決定」をすれば、
それはそんなに違和感ありません。
(アメリカの株式市場は、
世界の株式時価総額の4割強を占めますから・・)
ところが、実際はもっと「自国中心主義」なのです。
わたしは米国の著名FP Ric Edelmanさんの
「The Lies About Money」という書籍のポートフォリオ例を見てびっくりしてしまいました。
そこでは、ポートフォリオ全体の中で
アメリカ株式38% 海外株式8%
アメリカ株式43% 海外株式9% のように、
圧倒的に「アメリカ株式」が多くなっているのです。
これは(株式の中だけでいうと)
アメリカ株式が 約83%
海外株式の割合は 約17%という世界・・。
(ちょっと極端ですね。)
おそらく、多くのアメリカ人はこの5、6年ではじめて、
【海外に投資を行う】という経験をしているのではないでしょうか。
これまで、「ひとつの会社」という半径では、
(情報量が乏しいため)
なかなか投資の決断がしにくかったのです。
ところが【ひとつの国】という半径になれば、
投資対象が明快で
情報収集も「国レベル」に終始すればよいことになります。
ETFというツールは、
【個別銘柄】の半径を一挙に数万キロメートルにまで広げ、
かつ、投資対象を
「世界地図上の数多の国」に押し広げました。
そういう意味で、今アメリカ人は、
世界・国別銘柄(ETF)に夢中になっているといえるでしょう。
なにも投資対象は「株式」だけではありません。
ETFを通じて、日本円や人民元やメキシコペソや
ロシアルーブルやスイスフランなど、
多数の通貨に投資を行うことも可能です。
そのうち、国別の債券ETFや、
国別の不動産ETFも多数登場してくるでしょう..。
長い目でみれば、
世界の投資家の【銘柄の半径】が、
「ひとつの会社」から、
「ひとつの国」に変遷していくことが予想されます..。
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