新興国株式ミニマム・ボラティリティーETFについて
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
平たく言いますと「市場平均」は
ヒトの認識によっていくらでも作り出すことが出来ます。
たとえば、
埼玉県在住の、SEの経験が5年以上あり、
お酒を飲まない、かつタバコを吸わない、
体重60キロ以下の、私立大学文系出身の
30代独身男性。
という「平均」を作ってもよいわけです。
(なるほど・・)
どこからどこまでを「市場」と見なすかによって、
「市場平均」の概念は変わります。
こういうETFも、今のご時勢を反映して
生まれてきたと思うのですが、
新興国株式の中から、
価格変動が小さい(ボラティリティーが小さい)銘柄を
ピックアップして、
MSCIエマージングマーケット・ミニマムボラティリティー指数
というものを創出しています。
そして、その指数との連動を目指すETFが
昨年アメリカ市場に登場しています。
(残念ながらまだ日本では購入できません..)
i シェアーズMSCI エマージングマーケット・
ミニマムボラティリティー・インデックスファンド
(銘柄コード EEMV)
ちなみに、
MSCIエマージングマーケット・ミニマムボラティリティー指数の
【親・指数】はもちろん、
MSCIエマージングマーケット指数です。
【親・指数】に組み入れられている銘柄の中から、
ボラティリティーが低い銘柄を
ピックアップしているわけです・・。
ただし、セクターや国別組入れが偏ってしまわないよう、
【親・指数】から、業種や、国別組入れの割合が
プラスマイナス5%以上かい離しないようにする、
という【縛り】を設けています。
結果としてですが、
MSCIエマージングマーケット・ミニマムボラティリティー指数の
組入れ銘柄は、
下落相場でも底堅い値動きをしやすい「ディフェンシブ銘柄」
具体的には、公益関連、ヘルスケア、消費関連の株式が
多くなっています。
また、MSCIエマージングマーケット指数に連動する
EEM(というETF)と「国別組入れ」を比較すると、
EEM(6月26日現在)
保有 840銘柄 運用開始 2003年4月
中国 17.49%
韓国 15.04%
ブラジル 12.95%
台湾 11.00%
南アフリカ 8.00%
に対し、
EEMV(6月27日現在)は、
保有 214銘柄 運用開始 2011年10月
台湾 15.56%
中国 12.67%
韓国 9.95%
マレーシア 8.49%
ブラジル 8.48%
となっています。
(マレーシアが多いですね..)
驚いたのは、EEMVの年間経費率が
0.25%である点です。
ファクトシートを見てみると、
Management Fees 0.69%
+ Acquired Fund Fees & Expenses ‡ 0.00%
= Total Annual Fund Operating Expenses 0.69%
− Fee Waivers * 0.44%
= Net Expenses * 0.25%
Fee Waivers という欄があり、
運用会社が2014年12月31日まで
年間経費率を0.25%に抑えるために、
残りの報酬部分を放棄する旨が記されていました。
(こんなことがあるのですね..)
しかし、当該ETFは
打ち出の小槌ではありません。
今のような下落局面では(EEMに比べると)
マイナス幅が縮まりますが、
マーケットの上昇局面では(EEMに比べ)
リターンが小さくなってしまいます。

わたしには(どうも)
時節的な商品に見えてしまいますが、
投資家の選択肢が増えるのはよいことだと思います..。
その他、i シェアーズでは
「米国」「北米除く先進国」「新興国」
「先進国および新興国」(オール・カントリーズ)でも、
ミニマム・ボラティリティー型のETFを運用しています。
(いずれも既存のETFの派生型です..)
また、他のETF運用会社も
いわゆる「低リスク型のETF」を相次いで設定しています..。
マーケット的には、低リスク型の金融商品が
流行らなくなるのがいちばんよいのですが・・。
【追記】
MSCIオールカントリーワールドインデックスの
「ミニマムボラティリティー版」
i シェアーズMSCI All Country Minimum Volatility ETF(ACWV)もあります..。

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