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2013.01.31 Thu
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
人間の歴史に思いを馳せてみると分かりますが、
お金の貸し借りの歴史というのは、
株式の歴史よりもうんと長いものです。
実際、
世界中の資産を100としてイメージすると、
現金約27、株式約27、債券約46、不動産(リート)約0.3、
コモディティ(商品)約0.3というように、
債券市場のほうが、株式市場よりも【大きい】のです。
21世紀の高度資本主義社会においても、
株式を発行する、お金を出資するという
「ファイナンス」より、
お金を借りる、貸すという
古典的な「ファイナンス」のほうが
規模が大きいのですね・・。
さて、俗に【海外債券】という場合、
私たちは無意識のうちに、
「はい、(日本以外の)先進国債券ですね。」
「はい、新興国債券ですね。」
という「括り」でイメージしています。
現に、
「eMAXIS 先進国債券インデックス」という
ファンドがあるように、
「先進国債券」と謳っている投資信託が
いくつもあります。
しかし(ここ、重要なのですが)
「eMAXIS 先進国債券インデックス」をはじめ、
ほとんどの
「先進国債券インデックスファンド」が
ベンチマークとしている、
【シティグループ世界国債インデックス(除く日本)】は、
すでに「先進国」という概念から、
離れていく過程にあります...。
シティグループ世界国債インデックス(除く日本)は既に、
【世界の主要国22ヶ国】と形容するのにふさわしい
「中身」に変わってきています。
では、実際の「中身」を確認していきましょう。
このPDFファイルは、
日本を含んだ場合の、
シティグループ世界国債インデックスに採用されている
【世界の主要国23ヶ国の内訳】です。
クリックしていただけましたか?
いかがでしょうか、
どう、お感じになりましたか・・。
「市場の平均値(指数)は、
世の中の変化とともに新陳代謝する。」
の言葉どおり、
当該指数では、
2010年6月、 ギリシャが除外されました。
2010年10月、メキシコが追加されました。
2012年1月、 ポルトガルが除外されました。
そして、
2012年10月、南アフリカが追加されています。
(ポーランド、マレーシアは
上記以前にすでに組み入れられていた模様...)
まさに、新陳代謝が定期的に行われ、
【指数は生き物なんだ。】と実感させられます・・。
ところで、
「シティグループ世界国債インデックス」を算出し、
日々管理しているのは、
シティグループなのですが、
このPDFファイルをご覧いただくと、
(シティグループ・グローバル債券インデックスのご紹介)
次のような【文言】が確認できます。
とても重要な部分なので、
以下、一部抜粋してみましょう・・。
ー世界国債インデックスに組み入れられるためには、
市場が3ヶ月連続で次の3つの採用基準を満たす必要があり、
その場合、翌四半期末から組み入れられます。
1.【市場規模基準】
市場の時価総額合計が500億米ドルを上回る
2.【信用格付基準】
組入れ時は、発行体の自国通貨建て長期債務の格付けが
S&P、あるいはムーディーズのA-/A3以上
構成国の格付けがS&Pとムーディーズ共に
BBB-/Baa3未満となった場合、翌月から除外
3.【市場参入障壁】
市場が海外投資家に対して閉鎖的な場合や、
方針に一貫性がない場合は、除外理由として考慮ー
・・要するに、
1~3の基準をすべて満たした場合にのみ、
【世界国債インデックス】に加えるよ、
と言っているのです。
※ もちろん、この場合の「市場」とは、
各国の「国債市場」という意味ですね..。
実は先日、相談業務の中で、
「シティグループ世界国債インデックス」に関して、
「カンさん。ポーランドやマレーシアが入っているのに、
どうしてインドや中国は入っていないの?」
というご質問がありました。
インド、中国の国債市場はおそらく、
3.の、市場参入障壁のところで、
シティグループの採用基準をクリアしていないと思われます。
ここから少し、
「中期的な視点」で見ていきましょう。
「シティグループ世界国債インデックス」に採用される
新興国が増えている【理由】は、
上記、3つの「採用基準」に習えば、
1.新興国の国債の市場規模が拡大し、
2.新興国の信用格付けが改善され、
3.新興国の国債市場の参入障壁が
下がってきているため、
であります。
現状、世界の国債マーケットにおける
新興国のプレゼンス(シェア割合)は
限られていますが(10数%程度)、
今後の「債券市場」を展望しますと、
あなたは先進国、新興国、どちらのほうが、
「国債の流通量」が伸びていくと思われますか?
(新興国、ですよね・・。)
それは何を意味するかというと、
世界の「国債マーケット」の中で、
⇒ 新興国の占める割合が徐々に
増していくということです・・。
そもそも多くの【先進国】では、
財政赤字が常態化し、
その赤字が累積しており、
国債の更なる発行によって、
借金を積み重ねていく「余裕」がなくなりつつあります。
国債の発行は(今より)抑えていくというのが、
中長期的な傾向でしょう・・。
一方、新興国はどうでしょうか?
多くの新興国では
財政状況が(先進国と比べて)健全であり、
また、インフラ整備、産業振興をはじめ、
資金需要が伸びるのは【これから】と思われます。
国家の規模が大きくなる中で、
国の歳出が毎年増えていくのは、
(ある意味)自然なことですよね...。
その結果として、
国債の「発行額」も
増加していくと考えるのが自然でしょう。
つまり、株式と同じように、
「債券」というマーケットにおいても、
新興国の【プレゼンス】(シェア)が
増していくことが明確になりつつあると考えます。
話は変わりますが、
米国市場に上場する
iシェアーズJPモルガン・
米ドル建てエマージング・マーケット債券ファンド
(EMB)という、
新興国債券ETFをご存知でしょうか?
当ETFは、楽天証券、
SBI証券などのネット証券で
購入が可能ですが、
そもそも、なぜ「米ドル建て」
エマージング・マーケット債券と
銘打たれているのでしょうか?
あなた自身が
【新興国】であると想像してみてください・・。
これまで、多くの新興国債券は、
USドル建てのものが主流でした。
それは【なぜ?】
理由はカンタンです。
新興国の国々はかつて格付けが低く、
信用力に劣っていたため、
自国通貨建てで国債を発行し、
(それを消化してもらうことが)困難だったためです。
したがって、
米ドルやユーロや(あるいは円建て)などで、
発行せざるを得なかったのです。
と・こ・ろ・が、
昨今、この状況が【逆転】しつつあります。
つまり、
新興国全体の「国債発行残高」の中で、
USドルやユーロ建てのものより、
自国通貨建てのほうが多くなってきているのです。
(これは大きな【潮の目】の変化ですね..)
また、数多の新興国において
格付け状況の改善も見られます・・。
さらに(先ほども述べました通り)、
先進国に比して
財務状況が健全である新興国が多いため、
財務的に見た国債の「発行余力」は、
実は新興国のほうが大きいのです・・。
「でも、カンさん。
カンさんは、ポートフォリオの中に
「新興国債券」は必要ないって言ってきたじゃない!」
はい、言ってきました..。
(わたくしの「言い訳」は次回に・・)
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2013.01.28 Mon
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
カネダくん、
時々テレビでやっている「あの人は今!?」って
知っていますか?
「えっ、知らないですけど。」
昔、一世を風靡したタレントさんが
今、どうしているのか?という企画です。
実は投資信託でも、
販売当初大々的に取り上げられ、
その後、忘れ去られてしまったファンドが
いくつもあります。
カネダくん、いわゆる使い捨て的な
投資信託の製造は、もう止めるべきだと思いませんか..。
第67回 日経新聞「電子版」コラム【はじめての投資信託】
『13年前に流行したあの投資信託はどこに』
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2013.01.21 Mon
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
あなたの前に
ファイナンシャルプランナーが現れたとします。
いや、
フィナンシャルアドバイザーですと言って
笑顔を振りまいているとしましょう。
いや、その人から、
マネーアドバイザーという名刺を渡されたとしましょう。
あなたがまず見ないといけないのは、
その人が、【お金の相談業】をしているのか、
【金融商品の販売業】をしているのかということです。
(どちらが良い・悪いという問題ではありません)
たとえば、わたしは
晋陽FPオフィスという事務所を主宰しています。
自分では【個人金融商店】だと思っています。
同じ「個人金融商店」でも、
同じ「ファイナンシャルプランナー」でも、
【お金の相談業】がメインなのか、
【金融商品の販売業】がメインなのか、
人によって異なっています。
(「色合い」が違うといってもいいでしょう)
これも、良い・悪いの問題ではありません。
わたしは
「金融サービス業」という大きな範疇の中に、
【お金の相談業】も、
【金融商品の製造業】も、
【金融商品の販売業】も、
【金融商品の保管業】(実物、データとも)も
全部含まれると考えています。
(どれにも普遍的なニーズがあり、
かつどれも必要不可欠な仕事です)
ただ、わたしがやらせていただいている
【お金の相談業】は、
(他の金融サービスと比して)
たとえば日本の高度成長期には
存在しない類の仕事でした。
ひと言でいうと、
【お金の相談】というニーズが興るためには、
世の中がある程度多様化し、
かつ高度化している必要があります。
誤解があるかもしれませんので、
注記しておきますと、
これは私たち消費者が持っている
お金の「多い・少ない」の話ではありません。
【お金の用い方】の多様化があることが、
【お金の相談業】の顕在化につながるのです。
じゃあ、お金の用い方、
お金の扱い方が多様化するって
どういうことなのか・・?
それは、
「人が成熟すること」と関係があると思います。
(人の人生がより「自由」になり、
「選択肢」が増えている状況ですね・・)
私たちは【お金の潜在可能性】について、
少なくとも(私たちの両親の世代よりも)
真剣に、かつ広範に
考える必要に迫られています・・。
(たとえば、今ある400万円のうち、
・いくらを直近の消費に充て、
・いくらを貯蓄に充て、
・いくらを遠い未来に消費する用(投資)に充て、
また、
・いくらを万一の保障に充てるのか・・、
これらをすべて、
今後の時代状況を頭に置きながら、
【決定】する必要があるのです)
つまり、
○ 【お金の相談業】というニーズは、
「時代の産物」であるといえるでしょう..。
あなたは
自分の価値観、生き方にふさわしい
「お金の用い方」を、
どう決定すればよいかに【悩んでおり】、
前にいるアドバイザーらしき人に、
その「具体的な解決策」を
提示してもらいたいと思っています・・。
この、
【お悩みがある】⇒【解決策を具体的に提示】
というのが、
「お金の相談業」の本質であり、
そのあとに、
(たとえば、金融商品を扱っている人が)
金融商品をお客様に購入してもらう・・
というのは、付け足しにすぎないと考えます。
・・・・・
「付け足しにすぎないと考えます。」
という言い方をすると
誤解を生むかもしれませんが、
少なくとも、↑当オフィスでは
そのように考えています・・。
「いやいや、カンさん。ちょっと待って!
わたしは
【金融商品の販売】をしていますが、
お客様の「相談」にもちゃんと乗っていますよ・・」
という人もいるでしょう。
その人にとっては、
サービスのウェイト、つまり、
付加価値の【比重】というものは、
【金融商品の販売】>【お金の相談業】
であるのではないでしょうか・・?
(実際、報酬として入ってくるお金も、
おそらく
【金融商品の販売】>【お金の相談業】
だろうと思われます・・)
ここも、誤解が生じる可能性があるので、
申し上げますと、
付加価値の「比重」として、
【金融商品の販売】>【お金の相談業】が
「良くない」と申し上げているのではありません。
【金融商品の販売業】というサービス、
その付加価値の大きさ、
【お金の相談業】というサービス、
その付加価値の大きさ、
どちらが大きいかを決めるのは
・・「お客様」自身なのです(ここ、重要!)
わたしは12年間、
自分にそう言い聞かせて、
【お金の相談業】を営んできました。
【お金の相談業】というからには、
自分がひとつの悩みに執着しているときに、
自分が思いもつかない、
「森全体」、つまり俯瞰された
「マネー地図全体」を提示してくれ、
ここの部分の考え方を、
ほら、こう変えたら、
枠組みがこんなふうに変わって、
まったく違った景色が見えてきますよ、
と「提案」して欲しいと願っているのです。
【お悩みがある】⇒【解決策を具体的に提示】
の部分に、
あなたが付加価値を認めるのか、
金銭を支払ってよいと思えるかどうか、
そこがもっとも重要です。
あなたが
【お悩みがある】⇒【解決策を具体的に提示】
の部分に、
付加価値を認め、
金銭を支払ってよいと思えたときにはじめて、
「お金の相談業」が成り立ちます。
(少なくとも、
「お金の相談」部分を 無料 にしているのは、
「お金の相談業」ではないと断言できます..)
そういう意味で、
このビジネス【お金の相談業】はまだ黎明期にあり、
イメージとして
昭和40年代のイタリア料理に近いと思います。
(まだ、多くの人がその存在を知らず、
かつその付加価値もまだ十分認識されていない・・)
サービス提供側からすると、
まだ昭和40年代のイタリア料理ですので、
【お悩みがある】⇒【相談受けますよ】
⇒【解決策を提示します】の部分を、
「無料」の形で行ってしまったほうが、
あるいは「安価」でしてしまったほうが、
個人金融商店としては、
手っ取り早いというか、
楽な部分があると思います..。
(利益は金融商品の販売で上げればと考えてしまう)
しかし、それを行う限り、
「お金の相談業」という
産業は発生しませんし、
質の向上も起こりえないのです..。
【個人金融商店】を始めるうえで、
上記の理解はたいへん重要であると考えます。
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| わたしのFP修行
| 12:50
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2013.01.20 Sun
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
カネダくん、今回はまったく違う視点で、
投資信託の原点についてお話してみましたよ。
「なんですか、原点って・・」
(実は)投資信託の存在そのものが、
一種の共同体(コミュニティー)なのです。
今回のコラムでは、
鎌倉投信の受益者総会、
コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ、
そして、インデックス投資ナイトや
投信ブロガーが選ぶ fund of the year 2012について
触れています。
第66回 日経新聞「電子版」コラム【はじめての投資信託】
『ファンド保有者の「つながり」が投信業界を変える』
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| コンサルティングのお知らせ
| 19:14
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2013.01.18 Fri
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
昨年の10月に、
バンガード社がインデックス・ファンド22本
(ETFを含む全シェア・クラス)の「ベンチマーク」、
つまり使用する「指数」を変更することを発表しましたが、
(中でも目玉は)
バンガード・MSCIエマージングマーケッツETFの
【指数変更】でした。
(MSCI指数から、FTSEエマージング指数に
変更することを決めたのです)
実は「指数」の本格的な移行はこれからですが、
バンガード社は1月10日に
VWOの名称変更を発表しています。
新しい名称は、
「バンガードFTSEエマージングマーケッツETF」(VWO)です。
(参照記事はIndex Universe内のこちら)
MSCIエマージングマーケット指数には
「韓国」が組み入れられていますが、
FTSEエマージング指数には「韓国」が
まったく組み入れられていません。
早急な「指数変更」は、
大規模な銘柄入れ換えを伴うため、
コスト負担が重くなってしまいます。
そのため、
バンガード社は10月のリリース通り、
VWOについて6ヶ月程度、
「FTSEエマージングトランジション指数」
との連動を目指すとしています。
「FTSEエマージングトランジション指数」は
いわば6ヶ月程度の「時限指数」であり、
徐々に韓国の組み入れ比率を下げながら、
最終的に「FTSEエマージング指数」と合致するようになります。
では、売却した韓国株はどうなるのか?
Index Universeの記事は、
バンガード MSCI EAFE ETF(VEA)が遠くない時期に
FTSE指数に鞍替えすれば、
当該ETFが2%程度韓国株を保有することになる、
と記しています。
(なおVWOについては、機関投資家が指数の変更を嫌い、
昨年秋から年末にかけて資金流出があった模様・・)
指数を変えるというのは「一大仕事」なのですね。
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| ETFのお勉強
| 18:31
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