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親子のコミュニケーションと、投資信託の2極化について


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

突然ですが、今現在、
親御さんと、100キロメートル以上離れて
暮らしている人、手を挙げてみてください・・。

(けっこう、おられるのでは?)

なにを隠そう、
わたくしもその一人ですが・・。

親と子は、離れて暮らしていると、
会う回数もおのずと減ってしまいます。
お正月と、お盆と、・・それぐらいですか?

(なにを隠そう、
わたくしもその一人。)


実は、このお正月に帰省された
吉川淳一さん(仮名)という方が、
当オフィスにご相談に来られました。

以下、吉川さんのご了解を得て、
吉川さん自身が体験された、

○ 親子のコミュニケーション不足と、
○ 投資信託の2極化の「関連性」? について、
検証してみたいと思います。


吉川さんは名古屋のご出身ですが、
就職先が東京であったため、
以後、ずっと関東にお住まいです。

すでにご結婚され、お子様もおられます。

一方、吉川さんのお父様は
名古屋の企業でずっと経理畑を歩んでこられ、
去年、会社を「定年退職」されました。

昨年の暮れ、少し早めに帰省して、
ささやかな「お祝いの会」をしようと、
吉川さんとお兄様は計画を立てられました。

久しぶりに孫の顔を見たお父様は
とてもリラックスされ、
「退職のお祝い会」では終始上機嫌だったのです・・。


ところが、年が明けて、
家族みんなで夕食の鍋を囲んでいるとき、
【事件】が勃発!

吉川さんのお母様が、
「父さん、あのこと、あれ、言いますからね。
言っていいですよね?」

と、そわそわしながら、
お父様のほうを伺っています。

実は、吉川さんのお父様は、
退職後の資金管理について、
最寄りの銀行に
「相談」に行かれていたのです。

(もちろん、退職金の
振込み先となっていた銀行でした・・)


そこで、お母様や、
ほかの家族に相談されることなく、
1000万円相当の投資信託を
3つも購入してしまったのです・・。

⇒ 吉川さん自身は、
自分の父親が、まさか投資信託という
「リスク資産」を購入するとは、
ゆめゆめ思っていませんでした。

(なぜなら、「超」が付くほど真面目で
とにかく堅実に働いてきて、
銀行預金、郵便貯金しか実践してこなかった人ですから)

お兄様も心底驚いた様子です。

吉川さんが、どんな投資信託を買ったのか
聞いてみると、

案の定、銀行側が売りたい、
手数料が高く、仕組みが複雑で
おまけに毎月分配型のファンドばかりでした・・。


吉川さんは、
お父様が買われた投資信託の問題点や、
手数料のこと
(特に、継続コストである運用管理費用)

また、銀行の窓口販売の実態について、
こんこんと説明します・・・。

えっ、なぜ、
吉川さんにそんな説明が出来るかって??

(申し遅れましたが)、
吉川さんはもう、3年くらい前から、
インデックスファンドの積み立てを実践しており、

吉川さん自身、試行錯誤の結果、
今の【投資スタイル】に辿り着かれたのです。


その過程で、
本もたくさん読まれ、投資信託のブログも見られ、
相当の「知識」を身に付けられました。

⇒一方、吉川さんのお父様も心底、驚かれました。
「なぜ??」

自分の息子が、お金のこと、
それも難しそうな、資産運用全般、
あるいは、投資信託という商品について、

こんなに広範な知識を持っているとは、
ゆめゆめ思っていなかったからです・・。

昔から、勉強よりも遊ぶことが好きで、
(注:あくまで、お父様の印象。)

お金のことも、
特別得意とか、興味があるとか、
そういった雰囲気は一切なかった自分の息子が、

意外にも? 運用全般について、
相応の知識を持っていたわけですから・・。


さて、ここで
あなたに「質問」です。


もし、吉川さんと、お父様・お母様が、
私鉄でいうところの、
【2駅分くらいの距離のところ】に住んでいたら、

さっきご紹介したような【悲劇】は、
避けることが出来たのでしょうか??

あるいは、出来たかもしれません。

しかし、わたくしは、
たとえ親子が近くに住んでいたとしても、

互いの、
お金についての「行動」や「考え」は、

互いに【よく分からないまま】で
あった可能性のほうが高いと思うのです。



それはなぜか??
答えは「単純」です。

〇 私たちは、お金に関することを、
ふつうに話す、あるいは、
話し合うという【習慣】を持っていないためです。

(あなたもそう思いませんか?)

あらゆる知識とか、ノウハウというものは、
不特定多数の人が【情報】を出し合い、

その中で、価値のある【情報】と、
価値のない雑多な【情報】が振り分けられ、

結果として、
価値のある【情報】が集積して、
誰もが共有できる
【知識・ノウハウ】に昇華するわけです・・。


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今、申し上げたプロセスの「起点」となる、
不特定多数の人が【情報】を表に出す

つまり、ふつうに話し合う、
ということそのものを行わないために、

価値ある情報の「集積」が、
ほとんど進んでいないのが、
資産運用という、
いっぷう変わった分野の実態なのだと思います。


その、【特異な状況】を、
最大限に利用しているのが、
銀行や証券会社などの投資信託・販売会社です。

彼ら/彼女らは、
情報の共有が出来ておらず、

従って、真っ白な状態の
「シニア」の方々を対象に、
粗野な販売攻勢をかけています

それはまるで
(山崎元さんがしばしば言及されますが、)
【焼畑農業のようなのです・・。】


【閑話休題・・】

ところで普段あなたは、
お父様、お母様と「どんな話」をされますか?


・自分の家族のこと
・仕事のこと
( ↑仕事の中身ではなく、順調にいっているかどうか)

あるいは、
・ご兄弟のこと など、

どちらかといえば、
当たり障りのないことを
話されるのではないでしょうか。


翻って、あなたの方からは、
ご両親の「どんなこと」を、聞かれますか?


・お父様、お母様の健康状態
・お父様、お母様の趣味について、友人関係について、
・家の周りのこと など、

こちらも、
当たり障りのないことを
聞かれるのではないでしょうか。


吉川淳一さん(仮名)は
当オフィスのコンサルティングの中で、
こう言われました。

「皮肉にも、父親の運用相談を通じて、
父とまた普通に会話が出来るようになったのです。」



実は【お金のこと】というのは、
親子がともに話題にできる
数少ない「トピック」のひとつです。


ヘンな話ですが、
「お金のこと」が共通の話題になったとたん、

娘と母親が、
息子と父親が、
あるいは、
娘と父親、息子と母親が、

「よく会話するようになった」
という例もあるのです・・(ホントです!)

もちろん、

子ども 「家は買わないよ
親   「早く家を買いなさい
のように、

【論争】のタネになってしまう
可能性もあるのですが、

それでも、親子間で、
お金のことについて、

「話さない」より、
【話し合う機会】を持ったほうが
いいに決まっています。


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さて、吉川家のように、劇的で
分かりやすい例ではなくても、

娘さん、息子さんのほうから、なにげに
ご両親に伺うことはできるわけです(お金について!)

〇「お金のこと、大丈夫?」
〇「なんか、銀行とか、保険会社とか、
この商品がいいですよ、って言ってきていない?」

みたいに、
ちょっと【探り】を入れてみることが重要です。
くれぐれも、↑ さりげなく、軽~く聞いてくださいね


もし、何か勧められているような
様子が伺えたら、

金融商品の特殊性について、
【次の点】を説明して差し上げましょう。

〇 金融商品(特に運用商品)は、
たとえば、
家電製品を買うこととは、本質的に異なるんだよ。

どういう点で異なるかというと、
家電製品の販売員の人に、
どの製品がお勧めですか?」
と聞くことは間違っていないが、

金融機関で
「どの商品がお勧めですか?」
と聞くことは
【決してよくないよ】とお話ししてあげてください。

  ↑
あなたのご両親に「ふさわしくない商品」、
つまり、向こう側が【売りたい商品】が
出てくる可能性がきわめて高いす・・。


また、家電製品なら、
その製品の「効用」は一定であり、
(新品を買うなら)
製品の「効用」が損なわれている可能性は非常に低いです。

しかし、
金融商品(特に運用商品)は、
その「効用」すなわち、効き目というものが、
(残念ながら)
【最初から、ぜんぜん決まっていません!】

ここが、
家電製品とまったく異なる「」ですね。


要するに、
銀行や証券会社の方が、
自信満々で、笑顔を振りまいて勧めてくれても、

「儲かるか、損するか、
全然分からないのだ・・」
ということを、

優しく、できるだけ噛み砕いて
説明してあげる必要があります。

特に「損になってしまった場合」ですが、
この場合、

家電製品のような
「故障・修理受付」などは
存在していません・・(-_-;)


「損になってしまった場合も」
金融機関の人は、

〇 なんの補償もしてくれないし、
〇 助けてくれることもない、ということを、

(これも)できるだけ分かりやすく
説明してあげてください。

そもそも、
心に寄り添うようなトークを投げ掛けてくる
金融商品の販売員(営業マン)の方に、

・こちらから、
・冷静に、
【質問してみる余裕があるといいね】と、
ご両親にお話ししてみましょう。


crisis-management.png


その「質問」とは??

1. (この金融商品を勧めてくれているけど)
あなたは買っているの?

2.(この金融商品を勧めてくれているけど)
じゃあ、あなたのご両親にも勧められる?
です。

【これは必ず、覚えておいてくださいね】


皮肉なことに、
親子間で【お金に関する情報共有】が
為されていないため、

親御さんは、
・仕組みが複雑で、
・コストが高い「投資信託」を

・銀行や、証券会社の「店頭」で、
・相手のペースに乗せられて、買ってしまい、

また、
娘さん、息子さんは、
ネットを使って「理論武装」し、

・仕組みがシンプルで、
・コストが安い「投資信託」を、
・ネット金融機関で、
・(あくまで)自分のペースで、買っています。


これが、
【投資信託という商品の中で】
起こっている「二極化」です・・・。

eMAXISのインデックスファンドシリーズを持つ、
三菱UFJ投信も、
国内ETFで華麗なラインナップを持つ、
日興アセットマネジメントも、

「二極化」の前者、
つまり、
・仕組みが複雑で、
・コストが高い「投資信託」を売りつつ、

・仕組みがシンプルで、
・コストが安い「投資信託・ETF」も、
売っているわけです。


これは結構【重たい事実】であり、

・仕組みが複雑で、
・コストが高い「投資信託」を売ることで
【利益】を確保できているから、

・仕組みがシンプルで、
・コストが安い「投資信託・ETF」に
【注力】できている、

という側面も(事実)あるわけです・・。


あなたの親御さんが、
もし、ネットが得意でない場合、
(あなたの力が、発揮できるわけですから)

懇切ていねいに、
ネットについて教えてあげてくださいね。

そして、ネットが
決して恐いものではなく、
「自分たちの、利益になるツール」だ
ということを、お伝えしましょう。


また、わたくしのような、
一介のFP事務所の話ですが、

・仕組みが複雑で、
・コストが高い「投資信託」から、
・仕組みがシンプルで、
・コストが安い「投資信託」への【シフト】が、

断続的に、
長い息を持った【大きな流れ】として、
現に起こりつつあることも、付け加えておきます。

⇒ あなたが、
親御さんのお金のことに関心を持ち、
優しく接し、手助けしてあげることで、

上記の【大きな流れ】は、
さらに加速すると思われます。

考えてみてください・・。

お父様、お母様がお金のことで困らず、
お金についてハッピーな状態であるということは、

娘さん、息子さんである、
あなたにとっても「ハッピーなこと」ですよね?

似顔絵




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カネダくん、
ひとつ告白してもいいですか?
「えっ、何ですか、急に」

実は筆者は昔、
三井住友・日本株オープンが好きでした…。

(「愛の告白」ですか?)

当該ファンドの運用管理費用は
アクティブ・ファンドであるにも関わらず、
年0.84%(税込)なのです。

カネダくん、
この20年弱でファンドの運用管理費用は
右肩上がりになってしまいましたが、

その原因は
運用会社の取り分があまり変わらないなか、
販売会社の取り分だけが増えたことにあるのです..。

第74回 日経新聞「電子版」コラム【はじめての投資信託】
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