第34回「ETFが投資の半径を広げてくれる」(ETF解体新書)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
マネックス証券より許可を得て、
コラム【ETF解体新書】第34回目を転載いたします。
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晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。
米国の著名なファイナンシャルプランナー、
リック・エドルマン氏の著書に
「The Lies About Money」があります。
同書の中の「ポートフォリオ事例」を見ると、
アメリカ人がいかに自国の株式に偏っているかが分かります。
ポートフォリオの52%を株式に充てる中で、
アメリカ株式43%、海外株式9%という
「内訳」になっているのです。
しかし、
アメリカ人の投資家のみが特別なのではありません。
ドイツ人はドイツ株に過剰に投資を行い、
マレーシア人はマレーシア株に偏って投資を行っています。
(自国の資産に投資が偏ることを
「ホームバイアス現象」と呼んでいます)
特にアメリカ人は、
自国のマーケットが巨大であるため、
株式投資=アメリカ株と思い込んできた節があります。
それが変化するきっかけとなったのが、
実はETFなのです。
1996年にモルガン・スタンレーが
17本の海外株式ETFをはじめて米国市場に上場させました。
ADR(米国預託証券)を除いて、アメリカ人が
自国の株式市場ではじめて出会う海外の株式が
ETFだったのです。
これまで、世界は国境で分断された
「独自の株式市場」と「独自の個別株」で
成り立ってきました。
それが様変わりし始めています。
Barchart.comで7月19日の米国上場ETF
「出来高トップ10」を見てみると、
10本のうち2本が海外株式ETFとなっています。
出来高トップ10の第4位はなんと日本株式ETF、
i シェアーズ MSCI Japan ETF (EWJ)です。
当該ETFは東日本大震災が発生した
2011年の3月から4月にかけて、
出来高が急増しました。
大震災・原発事故 → 日本を買うのか
それとも売るのかという思惑のもと、
米国の投資家は「ETF」というツールを
選択していたのです。
海外の「ひとつの企業」という尺度では
情報量が乏しいため、
なかなか投資の判断が出来ません。
ところが、
「ひとつの国」という尺度になれば投資対象が明快で、
情報収集も
「国レベル」に終始すればよいことになります。
実は今、世界のあちらこちらで、
国内では「個別株」を選び、
海外資産では「ETF」を選択して
広い半径の投資を行う投資家が増えています。
翻って、日本人は
果たして投資の半径を広げているでしょうか?
日銀の「資金循環統計」によると、
個人金融資産に占める外貨建て資産の割合は
わずか2.4%にすぎません(2013年3月末)。
先日、ETFの上場市場が
東京証券取引所に統合されました。
こちらのページを見ていただくと、
国内上場のETF・ETNがひと目で把握できます。
「東証 ETF・ETN一覧」
自国の株式マーケットに中国やアメリカ、
タイやブラジルや南アフリカの株式が
(ETFとして)存在することがお分かりいただけるはずです。
すでに私たちは、日本に居ながら
世界の海に漕ぎ出すことが出来るのです。
引き続き東京湾のみを眺めるのか、
それとも七つの海を投資の半径とするのか・・、
それはあなたの選択次第です。

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