足し算も引き算もしない、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
単刀直入に申しますが、
セゾンバンガードはとてもユニークな投資信託です。
当ファンドは
バランス型ファンドではあるのですが、
(バランス型ファンドがもっとも力を入れる)
各資産の【組み入れ割合の決定】という、
とてもドラマティックな行為を、
ほとんど否定しているのです。
??
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの
サイト、【動画】の部分を観ていただくと、
『資産配分比率』として、
◆ 株式と債券の投資比率
原則として 50:50
◆ 投資対象ファンドの組入れ比率
市場の時価総額等の規模に応じて決定。
月1回の定期的な見直しの実施。
と解説されています。
この、
『市場の時価総額等の規模に応じて決定』
というところがミソで、
最新の『運用レポート』を見てみますと、
2013年9月30日現在の、
『ファンド資産の状況』が載っていますね。
セゾンバンガードは
ファンド・オブ・ファンズ形式ですので、
投資先ファンドごとの配分状況が
当該ファンドの【ポートフォリオ】となります。
【株式部分】を例に挙げてみましょう。
(2013年9月30日現在)
アメリカ株式 24.8%
U.S.500・ストック・インデックス・ファンド
欧州株式 12.7%
ヨーロピアン・ストック・インデックス・ファンド
日本株式 4.4%
ジャパン・ストック・インデックス・ファンド
太平洋株式(除く日本)2.7%
パシフィック・エックスジャパン・ストック・インデックス・ファンド
新興国株式 6.1%
エマージング・マーケット・ストック・インデックス・ファンド
となっています。
(すべてバンガード社のインデックス・ファンドです)
「えっ、なんでこの配分比率になるの?」
「カンタンさ。
世界の株式市場の大きさの「比率」が
上記のようになっているからさ。」
おしまい・・。
ね、すごくシンプルでしょう?
★ つまり、
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、
世界の株式市場を「50」とした際に、
各国・地域の株式市場の大きさ(時価総額)を
加重平均し、それを自らの
ポートフォリオに落とし込んでいるだけなのです。
なんという単純さ・・。(←良い意味で。)
つまり、上記の
各株式ファンドの『配分割合』は、
そのまま、
世界の株式市場の【現況・勢力図】と云えます。
セゾンバンガードの「配分割合」とは、
今、各国・地域の市場の大きさの比率は
こうなっているよ!
という【現状報告】そのものなのです・・。
(債券においては、日本、欧州、米国の
「債券市場の勢力図」となります・・)
普通、運用会社というところは、
自分たちの考えに基づく銘柄選択や
配分割合の決定をウリにしていますよね。
「それをやりません!」と、
この運用会社さん(セゾン投信)は
宣言しているのです。
(唯一、株式50、債券50という主観は持っています・・)
★ 当該ファンドの
もっともユニークな点は、
各種データやマクロ状況などによって
各国・地域の配分割合を、
【予想】し、【決定】するという
「主観の部分」を、
きれいに放棄している点なのです。
達観していますね。
まさに「何も足さない・何も引かない」です。
この、(傍目から見た場合に)
唯一の仕事と思われる部分を放棄するとは、
なんとも大胆不敵です・・。
各国・地域の株式市場の大きさ(時価総額)を
加重平均し、それを自らの
ポートフォリオに落とし込んでいるだけ、
ということは、
どんな資産にも、
どんなマーケット状況にも、
まったく【味方】をしておらず、
これ以上ニュートラル(中立的)には
振る舞えないほどニュートラルであると云えるでしょう。
(あるお客様は「これだとぜんぜん面白くない!」
と言っておられましたが・・(^^;)
たとえば、
インデックス・ファンドを道具として用いても、
運用会社の【主観】で配分割合を決定すれば、
そこには「アクティブな部分」が宿るわけです。
そういう意味では、
セゾンバンガードは
『生粋のインデックス運用』と
云えるのではないでしょうか・・。
しかも、
毎月1回、定期的な見直し
(= 現状の勢力図チェック)を行うため、
現実の『市場の勢力図』を
少し遅れて、
忠実になぞり続けることになります。
少しずつ、少しずつ、
『最新の市場勢力図』に合わせていくので、
★ たとえば、
世界経済インデックスファンドのような、
年に1度の「見直し」
⇒ そして、配分割合を変えました!
みたいな「華やかさ」さえありません・・。
ただ、世の中の現状を忠実に再現し続ける、
水墨画のような雰囲気が漂います。
しかし、だからこそ、
世界の株式市場、
先進国の債券市場の【変化】を
忠実に捉えて、
世界経済の成長と歩みを同じくしているファンド、
と云えるのでしょう・・。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは
足し算も引き算もしません・・。
参考:【バランスファンド リスク・リターン比較まとめ】
(2013年8月末)
(じゅん@さんのブログ「投信で手堅くlay-up!」より)

- 関連記事
| バランスファンド | 14:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑