中田たろうさんの『オリンピック時間』
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
少し人生訓的になってしまいますが、
【個性】っていったい何だと思いますか?
あなた自身は
当たり前と思っている「考え」や「感触」が、
(実は)世の中全般とはズレていて、
でも、その【ズレの部分】を
メリットとして認識できることだと思うのです。
上記、↑ 文章にしてみると、
へえ~と思っていただけるかもしれませんが、
『人と違っている。』というのは、
実生活ではなかなかタイヘンなこと。
特に【投資という現場】においては・・。
一般に「投資」では、
「上り坂」でいかにうまく振る舞うかが
強調されます。
○【今、上がっているんだよ。乗り遅れないで!】
みたいな・・。
でも、本当の「投資家」は、
○「下り坂」のときこそ、自分の出番であると
自覚しています。
なぜなら(これは単純な事実ですが)、
【資産価格が下がっているときに、
いかにたくさん買えるか】が、
長い目で見た場合、投資の成否のカギを握るからです。
(ここ、重要!)
マーケットというところは、
『中期的』(4~5年)に、
大きなうねり【= 波】を現出します。
これは
中学生の健太くんにも分かることですが、
要は、上がったり下がったりという
【波】を繰り返すのが、
マーケットの【中期】の性格なのです。
それを、
田中一郎さんの【人生記】のような
『長期』(20年~30年)のスパンで見ると、
『中期で』存在していた波は、
少し興奮したり、落ち込んだりという
「感情の起伏」程度に押し留められ、
【ほら、長い目でみたら市場は成長しているでしょ。】
という一言で片づけられてしまいます・・。
ただ、困ったことに
私たちは毎日息を吸って生活しているため、
『短期的な動き』がマーケットの動きであると
勘違いしてしまうのです・・。
ズバリ申し上げると、
★ 資産運用の要諦は、
時間の尺度をテッテイして
【オリンピック感覚】で持つことです。
(つまりは中期【=4年程度】の感覚・・)
1996年 アトランタ五輪
2000年 シドニー五輪
2004年 アテネ五輪
2008年 北京五輪
2012年 ロンドン五輪
2016年 リオデジャネイロ五輪
2020年 東京五輪・・
オリンピックって、
それが訪れるたびに、
「そういえば、4年前は○○で開催していたよね。」
と、友達同士で前の開催地のことを思い出します。
(すなわち4年という「時間スパン」)
じゃあ、
ロンドン五輪とリオデジャネイロ五輪の間は?
あのー、申し訳ないですが、
(その間、オリンピックのことは)忘れているのです。
大きな市場のうねりの中で、
『中期的に』アップダウンを繰り返し、
そのたびに【狂喜】と【恐怖】を催すのが
マーケットというもの・・。
その、アップ(上り坂)のときに、
周りの人々、メディアは過剰に反応し、
今のときが、
二度と来ないかけがえのない一瞬で、
「今こそ資金を投入しないと!」と、
あなたを煽り立てます。
でも、ちょっと待ってください。
(別に投資に限ったことではないですが)
○【多数派】がいつでも正しいとは限らないのです。
⇒ 仮にこれから、
マーケットの【上昇局面】を目撃し、
(それはそれで嬉しいのだけれど、)
心の片隅で、ぽっと咲いた花のように
一抹の『寂しさ』を感じるようになれば、
あなたは、本物の投資家です。
⇒『オリンピック時間』を
体内に獲得する中で、
「あーあ、また、
大きく下げる局面が来てくれたらなあ・・」
と、ひとり忍び笑いできるようになれば、
あなたは、本物の投資家です。
先ほど、
【資産価格が下がっているときに、
いかにたくさん買えるか】が、
長い目で見た場合、投資の成否のカギを握ります、
と云いましたが、
金融商品の価格がどんどん下がる中で、
そのたびに、自分の判断で
【買い注文】を入れるのは至難の技、です。
そこで、
資産価格がどんどん下がる中でも、
半強制的に、
しくみが毎月金融商品を買ってくれるのが、
何を隠そう【つみたて投資】なのです。
中田たろうさんのブログ、
中田たろうの投資日記に
【「リーマンショックから5年」で思うこと】
という記事があります。
これを読むと、
【オリンピック時間】で『恐怖』を振り返る、
ひとりの投資家の赤裸々な声が聞こえてきます・・。
当時は、私がインデックス投資を始めて1年と数か月のときでした。
あれよあれよと株安、円高がすすみ、
保有資産は大きなマイナスを抱えてしまいました。
2009年1月末には、リターンがマイナス40%まで下落しました。
そのような状況の中でも、
「落ちるナイフをつかむ」かのように、
淡々と積み立て投資を行っていました。
んー、これって一見、
M(マゾ)的な行為に写りますが、
かつ、
世間一般(多数派)から見ると、
とても【奇異な行い】に思えますが、
いえいえ、投資家としては
至極まっとうな、誇れる行為 なのですよ。
皆が汚れた手拭いを振りながら、退散する中で、
ひとり、自分の旗を掲げて、
粛々とマーケットに向かっていく・・。
★ なぜなら、彼/彼女は、
【オリンピック時間】で
マーケットを捉えているからです。
当該記事を読んで、
感じたことがいくつかあります。
・暴落を経験することの重要性。
・その中で資産を【買う】ことを経験することの重要性。
・また、のちに資産価格が上昇し、
利益の大きさを実感できることの重要性。
そして、なにより、
・上記一連の経験を、40代までに
経験しておくことの重要性です・・。
中田たろうさんも
記事内で言われていますが、
○ 大きなダウンを
資産形成の途上で経験するからこそ、
【オリンピック時間】を、
余裕を持って自分の体内に持てるわけです。
また、中田さんが
どんどん資産価格が下落する中で、
(途中で止めてしまわずに)金融商品が買えた要因は、
【ポートフォリオ】で
ご自身の投資を自覚されていたからでしょう。
アセットアロケーションの目標比率を維持するために、
値下がりしていく株式投信をどんどん買い増しました。
つまり、行為としては
(下がっているモノを)買い増しする、
あるいは(上がっているモノ)を売却する、
ということになるのですが、
ご本人の頭の中では、
アセットアロケーション
(ポートフォリオ)の【比率】を崩さないようにしよう、
という意識が強かったため、
割合を元に戻す、という意思の中で、
(結果として)
下がった株式ファンドを
買い増しすることができたのでしょう。
最後に、
中田さんはこうおっしゃっています。
今後も「○○ショック」による株価急落は、
おそらく数年おきに繰り返されるでしょう。
あのリーマンショックを乗り越えることができたのだから、
どんなことがあっても恐れるものはない、と今は思っています。
運用でリスクを取りすぎないように、
アセットアロケーションで自分の目標比率を守って、
リタイアまでコツコツと資産形成していきます。
素晴らしい・・。

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