均等型インデックスとは?(S&P500均等型ETFの実例)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
わたしはしばしば、
『市場全体に投資を行うのがインデックス投資です』
という言い方をしています。
「でも、市場全体って一体なに?」
はい、そうです・・、
現実的に、株式市場全体を隈なく捉えることは
そうそう簡単なことではありません。
(ちょっと細かくなりますが)
たとえば、トピックス(東証株価指数)の場合、
1700社の会社が指数に組み入れられています。
1700社!
もちろん、
大きな会社もあれば、小さな会社もあります。
そこで、今の市場の『勢力図』そのものを、
最大公約数的に捉える、という意味合いで、
『市場全体』を 時価総額加重平均 で再現し、
それをインデックスファンドやETFに落とし込む
という「手法」が広く採用されています。
つまり、大きな会社は大きく組み入れ、
小さな会社は小さく組み入れる「手法」ですね・・。
これが、浮動株調整後の『時価総額加重平均』という
「市場平均」の考え方なのです。
(伝わっていますか?)
トピックスも、S&P500も、香港ハンセン指数も
みな、「時価総額加重平均」という名の市場平均です。
これはこれで↑、
優れた『市場平均』なのですが、
「時価総額加重平均」は、
今の株式市場の【勢力図】を忠実に再現するので、
たとえば、大きな会社で、かつ、
その会社の株価が買い上げられている場合、
(市場平均に占める)組み入れ割合は
それだけ大きくなってしまいます・・。
つまり、「時価総額加重平均」は、
マーケットの動向の『後追い』となる特徴があるわけです。
(別に↑上記が悪いと云っているわけではありません。
そもそもインデックス投資では、現在の株価を疑うことは
しませんから・・。)
1月11日に開かれた
「第6回インデックス投資ナイト」の中で、
東京海上アセットマネジメント投信の平山賢一さんが
興味深いことを言われていました。
平山:私はいい時が分かれると思うので。インデックスは普通時価総額加重に
なっていますが、他に等金額ポートフォリオというのがあります。
時価総額加重と等金額ポートフォリオを比較すると面白いんです。
等金額にすると、アクティブファンドに近い結果になります。
サルが適当にダーツを30回なげた銘柄買うサルダーツと同じことになるんです。
("いい投資"探検日誌 from 新所沢』のm@さんの「レポート」より)
『等金額ポートフォリオ』とは、
たとえばトピックス(東証株価指数)のイメージでいいますと、
1700社の会社をすべて【等分に買い付ける】手法です。
・・『トピックス均等型』と云えますね。・・
大きな会社は大きく組み入れ、
小さな会社は小さく組み入れるのが
「時価総額加重平均」ですから、
「均等平均」にしてしまうと、
大きな会社も、小さな会社も、
【組み入れ比率】が同じになる、ということです。
すると・・・?
すると、
中小型株が買い上げられるという、
いわゆる『中小型株効果』が期待できるわけです。
【トピックス均等型指数】というものが
仮に存在するとして、
それに連動するETFは、
インデックス型の金融ツールですが、
実際的には、きわめて、
アクティブな金融商品となるのです。
この点を捉えて、平山さんは
―等金額にすると、
アクティブファンドに近い結果になります。―
と発言されているのでしょう。
この手法は、
運用業界では『スマートベータ投資』とも呼ばれます。
たとえば「ファンダメンタルインデックス」では、
バリュー株が買い上げられる傾向があり
バリュー株効果が働くと云われています。
★ 要は『スマートベータ投資』とは
時価総額加重平均の投資に
ある種の「バイアス」(偏り)をかけ、
時価総額加重平均と
値動きが異なるようにしたものなのです・・。
(ところで)「均等型インデックス」のことを
英語では『equal weight index』と呼びます。
(とてもアクティブなインデックスなのです)
実際、S&P500の『均等型インデックス』が
米国には存在します。
『S&P 500 Equal Weight Index』
そしてなんと、
S&P500均等型インデックスとの
連動を目指すETFも存在するのです。
「Guggenheim S&P 500® Equal Weight ETF」(RSP)
当該ETFの運用開始は2003年4月で、
年間経費率は0.40%です。
純資産額は約65.8億ドル(およそ6600億円)
直近3ヶ月の1日当たり出来高は
約708,000口となっています。
(そこそこ、人気があるのですね・・)
ただし、Holdings(保有銘柄)の欄を見ると、
500社すべてが「均等」ではなく、
組み入れ割合は0.12%~0.27%とばらつきがあります。
(業種別でもバランスよく組入れが分かれるようです)
そして注目すべきはパフォーマンスです。
当該ETFのファクトシートを見ると、
当該ETFのNAV(理論価格)のリターンは
直近10年から直近3ヶ月まで、
恒常的にS&P500を上回っています。
(すごいですね・・)
では、たとえば
【トピックス均等型指数】に連動する
ETFが作れるかというと、
これが現実的には無理なのだそう・・。
これはインデックス投資ナイトの中で、
日興アセットマネジメントの
今井幸英さんが言われていたことですが、
中小型株では流動性が乏しい銘柄も多数存在するため、
(大きな会社と)同じ比率でこれらの株式を買い上げるのは
現実的には厳しいらしいのです・・。
ともかく、インデックス(指数)は
その【作り様】によって、
個性的、かつアクティブな
「銘柄の集合体」になり得るということなのですね・・。

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