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MSCIエマージングマーケット指数の25年を振り返ってみると・・


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

私たち投資家は毎日生活をしています。

そのため、
ついつい毎日のマーケットの値動きや、
直近3カ月や6ヶ月のアップダウンに
心を奪われがちです。

(どうしても気になってしまう?)

目先の上昇、目先の下落を
何事もなかったようにやり過ごすためには、
なんと云いますか、
ある種の【いい加減さ】が求められるのです。

上記は
「口で云うは易し、行うは難し」でありまして、
これを克服するひとつの方法が
歴史』を知ることだとわたしは思います。

( = 過去を振り返り、それを検証すること。)

振り返る過去の時間が長ければ長いほど、
私たちは、遠く長い未来の時間を、
具体的に想像しやすくなるのではないでしょうか。


たとえば、
今年26歳になるあなたへ・・。
(なんだか手紙みたいですが。)

あなたが生まれた年、つまり1988年に
「MSCI エマージングマーケット指数」は
その算出を始めています。

当時、新興国は『発展途上国』と呼ばれており、
まだベルリンの壁も崩壊しておらず、
東西冷戦の時代でした。

今年26歳のあなたが、
40歳になっても、60歳になっても、
「MSCI エマージングマーケット指数」の計測は
おそらく続いています。

(それが『歴史』というもの・・)

あなたが68歳になったとき、
新興国株式市場というところは、
いったいどんな様相になっているのでしょうか?

遠い未来を夢想しながら、
過去25年の
「MSCI エマージングマーケット指数」を
検証してみましょう。


MSCI 25Years of Emerging Markets Indices and Counting

ご注意)
このPDFファイルはたいへん重いです。
(表示されるまで時間がかかるかも・・)

まずは指数の『チャート』を見てみましょう。
「えっつ?」と、
意外に思われるかもしれません。

1988年から2002年までの
「MSCIエマージングマーケット指数」のリターンは
なんとも月並みです・・。

1990年代、アメリカ、西欧などの株式市場が
【劇的な伸び】を示したのとは対照的ですね。

あなたが毎朝読む新聞に、
「新興国の記事」が増え始めたのは
2003年頃からではないでしょうか・・。

(ゴールドマン・サックスの
エコノミストだったジム・オニール氏が、
投資家向けレポートで「BRICs」(ブリックス)の
名称をはじめて用いたのが2001年のことでした)

★ ここでは、1988年来の、
5年ごとの【上位組入れ5ヵ国とその割合】

もっともリターンが高かった国、
もっともリターンが低かった国を挙げておきましょう。

(また、エマージングマーケット指数に
新たに組み入れられた国については、
年に関わらず逐一列挙いたします・・)


1988年は?

マレーシア 29.5%
ブラジル  25.5%
メキシコ  10.0%
タイ     9.9%
チリ     7.8%


もっともリターンが高かった国)
アルゼンチン 97%
もっともリターンが低かった国)
ポルトガル -33%

MSCI EMに新たに組入れられた国)
アルゼンチン、ブラジル、
チリ、ギリシャ、ヨルダン、
マレーシア、メキシコ、フィリピン、
ポルトガル、タイ

1989年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
インドネシア、トルコ

1992年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
韓国(ただし時価総額の20%部分のみ)

1993年は?

マレーシア 25.9%
メキシコ  20.7%
タイ    13.3%
ブラジル  10.9%
アルゼンチン 5.8%


もっともリターンが高かった国)
トルコ  208%

もっともリターンが低かった国)
ヨルダン 18%

1994年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
コロンビア、インド、
パキスタン、ペルー、
スリランカ、ベネズエラ

1995年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
イスラエル、ポーランド、
南アフリカ共和国

1996年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
中国、チェコ、ハンガリー、
台湾(ただし時価総額の50%部分のみ)

1997年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
ロシア

1998年は?

ブラジル  11.9%
メキシコ  11.3%
韓国    10.7%
南アフリカ 10.3%
台湾    10.0%


もっともリターンが高かった国)
韓国  138%

もっともリターンが低かった国)
ロシア -83%

2001年
MSCI EMに新たに組入れられた国)
エジプト、モロッコ

2003年は?

韓国    18.3%
南アフリカ 13.7%
台湾    12.2%
ブラジル  9.2%
中国    7.9%


もっともリターンが高かった国)
タイ   134%

もっともリターンが低かった国)
マレーシア 23%

【2008年は?】

中国   18.18%
韓国   13.62%
ブラジル 12.94%
台湾   10.88%
南アフリカ 8.40%


もっともリターンが高かった国)
モロッコ -10.9%

もっともリターンが低かった国)
ロシア  -73.8%

2013年第二四半期までは?

中国   18.20%
韓国   14.58%
台湾   11.88%
ブラジル 11.30%
南アフリカ 7.18%


もっともリターンが高かった国)
フィリピン 8.7%

もっともリターンが低かった国)
ペルー -29.3%

そして、それ以後も
「MSCI エマージングマーケット指数」は
変化しています。

(2001年より先進国であった)ギリシャが
新たに組み入れられ、モロッコが外され、
この5月から、
カタール、アラブ首長国連邦が新たに加わります。

私たちは後ろを振り返ることではじめて、
長期で物事を捉える大切さを学べるのですね・・。

似顔絵




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インデックス投資の歴史 その3)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

このブログは2004年にスタートしていますが、
もう、何十回、何百回と
『市場平均』という言葉が登場しています。

私たちはなにげにこの
『市場平均』という単語を使っていますが、

⇒「市場平均」を観測することと、
 「市場平均」を作ることは、
  まったく意味合いが異なります。


毎日ニュースで見る『市場平均』とは、
日々厳密に計測される
「市場の体温」のようなもの・・。

「今日のダウ平均はいくらだった?」
これを克明に記録しているわけです。

しかし、たとえば
「ダウ平均と同じ運用商品を作る」
ということは、

『市場平均』というリターンを実現する
金融商品の開発なのです
(ホントです!)


たまたま、
チャールズ・シュウェイダーさんの
お父さんがサムソナイトの経営者であり、

同社の年金基金の運用を、
ウェルズ・ファーゴ銀行に任せたことから、
史上初の壮大な実験が始まります。

すなわち、
『市場平均』の金融商品を作ろう!

1971年、ウェルズ・ファーゴ銀行は
世界初のインデックス・ファンドを組成しました。
当時の運用元本はおよそ600万USドル。

ウェルズ・ファーゴ銀行は
ニューヨーク証券取引所に当時上場していた
1,500社の株式をすべて同じ割合で保有し、
バランスを保とうとしたのです。

ところが、運用の実態は、
後年ウィリアム・ファウスが
「まるで悪夢のようだった」と述懐するように、
お粗末なものでした・・。


運用チームは
全株式の組み入れ割合を均等に保つため、
頻繁にリ・バランスを行いました。

(すなわち、保有株数の一部を売却し、
一部を買い増しする作業です・・)

1971年当時、株式の売買手数料は
まだ自由化されておらず、
取引コストが予想以上にかかってしまったのです。

結局、ウェルズ・ファーゴ銀行の
運用チームは、1973年に運用方法を変更します。

(S&P500指数との連動を目指す
運用に切り換えました。
時価総額によって銘柄の組入れ割合に
ウェイトをかける方法ですね)

同じ1973年に、
アカデミックの分野でも
新しい動きがありました。

プリンストン大学のエコノミスト、
バートン・マルキールが
【ウォール街のランダムウォーカー】を出版します。

最新のランダムウォーカーはこちら。




翌年74年には、
ポール・サミュエルソンが
ノーベル経済学賞を受賞しました。

サミュエルソンは投資の新たな選択肢として
「インデックス・ファンド」の必要性を説き、

どこかで誰かが個人投資家向けに
インデックス・ファンドを
立ち上げるであろうと予測しています。

このような流れの中、
個人投資家向けに
「インデックス・ファンド」立ち上げを
決意したのが、
ジョン・C・ボーグルさんでした。

ボーグルさんはフィラデルフィアの
ウェリントン・マネジメントに入社後、
社長にまで上りつめますが、
合併の影響などで会社を追われました。

その後、ボーグル氏は
ウェリントン・マネジメントが運用する
ファンドの「運用管理」を、
新たに設立したバンガード社で行ったのです。

(バンガード社の設立は1974年でした・・)

そして1975年12月31日、バンガード社は
個人向けで初めてとなるインデックス・ファンド
「First Index Investment Trust」を設定します。

(S&P500との連動を目指すものでした)

★ この試みは当初、
“Bogle's Folly”(ボーグルの愚行)と
呼ばれたのです・・。

フィデリティインベストメントの
エドワード・ジョンソン氏のコメント

「多くのアメリカ人が市場の平均で満足するなんて考えられない。」


また、インデックス・ファンドは
アメリカ人にフィットしない商品であるとも言われました。

(なぜなら、アメリカ人は
年少の頃から「平均」ではなく、
他者に抜きん出ることを目標に行動するよう
教えられているからです・・)


ここで話は少しそれますが、
ダイヤモンドオンライン上で

セゾン投信代表の中野晴啓さんと、
バンガード・インベストメンツ・ジャパン前代表の
加藤隆さんの【対談記事】が掲載されています。

『世界最大の投信会社は7年間資金が減り続けた…。
バンガードはなぜ資金を集めることができたのか?』


この中で加藤隆さんは、
バンガード社は1977年に早くも『直販』を
スタートさせたと語っています。

(『直販』= 運用会社が直接投資家にファンドを販売すること)

中野 直販からスタートしたのには、
何か理由があったのでしょうか。

加藤 日本と同じですよ。
結局、販売金融機関にファンドを売らせると、
どうしても手数料の高いファンドをすすめたり、

手数料収入の最大化を目指して、
短期売買に顧客を誘導するインセンティブが働きがちです。

当然、それは投資家の手数料負担を増やすし、
ファンドの運用にとっても良いことではない。
ということで、バンガード社は直販をスタートしたのです。


しかし、バンガード社の経営が
最初から順風満帆だったかというと
まったくそうではありませんでした。

加藤隆さんは対談の中で、
こうおっしゃっています。

加藤 それはもう苦労の連続だったと聞いています。
さっき、バンガード社がスタートする時点で、
預かり資産が
25億米ドル(2500億円)ほどあったと言いましたが、

会社をスタートさせてからというもの、
ずっと資金流出が続いたのです。

何と80ヵ月連続ですよ。約7年間ですね。
約6億米ドル(600億円)まで減ってしまいました。
そして、ようやくそこから資金純増に転じたそうです。


1980年、バンガード社はファンド名を
「バンガード500インデックス・ファンド」に
変更しますが、

結局1985年になるまで、米国内で
インデックス・ファンドを設定する他の運用会社は
一社も現れなかったのです・・

(んー、いつでも多数派が正しいとは限らないのですね)

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インデックス投資の歴史 その2)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

『ナニワ金融道』で有名な漫画家
青木雄二さんは、こんな言葉を残しています。

~世の中には得をする側の人間と、
損をする側の人間がいる。~

(なるほど・・)

では、
株式市場という舞台では?

~市場では、
利益を得る人と、損失を被る人がいます。~

んー、たしかに・・。

でも、よく考えてみますと
上記は【当事者の視点】のみで
語られていますね。

得をしようとする人も、
損をしてしまう人も、
自分が(市場における)『主人公』で、

自身が市場と対峙しながら
上手くいくかどうかということのみに
注力しています。

仮に、
【当事者の意識】を排して、
物事を遠くから眺めてみると・・。

世の中そのものに、
損も得もありません・・。

あるいは、株式市場そのものに
損も得もありません・・。
(市場の成長があるか否か、だけです)


先日お話した
ユージーン・ファーマさんが云う、
『市場って、そもそも効率的なんですよ。』
という理論は、

あなたやわたしの【主観】で
自分の投資はなんとかなる!
という考え方とは
(ある意味)『真逆』です。

このファーマさんの理論が、

もしかすると自分が他者を出し抜いて
上手く投資を続けるのは難しいのかも・・」
と発想する『きっかけ』を作ったと、
わたしは思うのです。

友だちとお酒を飲んでいて、
そろそろ酔いが回り始めた頃に浮かぶ
『突飛な発想』のように、

もし、
他者を出し抜くのが難しいんだったら、
違う投資の方法論として、
市場の銘柄を全部保有したりするとどうなの?

つまり、
『市場の平均』を再現できるように、
マーケットの銘柄をすべて買っちゃうと
一体どんな投資になるの・・?

という【アイデア】が発露しても
おかしくはないですよね。

これこそ、
人間のピュアな好奇心です・・。


★ インデックス投資とは、
人がマーケットを深く知る中で見出された
投資の【ふたつ目の選択肢】なのです。

「市場平均」である、
ダウやS&P500は
ずいぶん前から存在しましたが、

『指数』というものは、
市場全体の体温を示す「物差し」であり、

それそのものが、
投資の道具となり得るなんて
誰も考えつかなかったわけです。



実際、ファーマさんの理論が触媒となって、
「市場平均」への投資を実践しようとする人が
現れました。

ジョーン・マックーンさんという人です。

マックーンさんは、
シカゴ大学のビジネスマン向けセミナーで
効率的市場仮説について学んでいました。

わたしはシカゴに住んだことがないので、
シカゴという街が持っている
『進取の気性』というものがどんなものか
理解できないのですが、

ちょうどこのとき、
マックーンさんはシカゴ大学内で、
同大学のビジネススクールの生徒だった
チャールズ・シュウェイダーさんと接点を持ちます。

(シュウェイダーさん自身も
効率的市場仮説に関心を持つ学生でした)

ここに、
ファーマ教授 → マックーンさん
→ シュウェイダーさんという
『つながり』ができます。


1970年、ウェルズ・ファーゴ銀行の
ジョーン・マックーン、ウィリアム・ファウス、
ジェームス・バーティンは、

初めて市場平均との連動を目指す商品の開発に
乗り出したのです。

(実はマックーンさんは
ウェルズ・ファーゴ銀行の人間でした)

ところで、
インデックス投資の誕生において、

チャールズ・シュウェイダーさんと
お父さんの【仲が良かった】というのは
とても重要なことです。

(おそらく)マックーンさんから
インデックス・ファンド開発の話を聞いていた
シュウェイダーさんは大いに興味を持ち、

父親に以下のような提言を
したのではないでしょうか。

「お父さんの会社の年金運用を、
インデックスでやってみたら?」


実はシュウェイダーという学生は、
旅行カバンで有名な
「サムソナイト」を経営する
シュウェイダーさんの息子だったのです・・。

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インデックス投資の歴史 その1)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

私たち人間にとって、
いちばん新しいお金の習慣って何でしょう?

(お金を)使うこと?
貯めること?

いや、やっぱり
育てようとすること【投資】でしょうね。

『不確実な未来』に向けて
あなたのお金を託すことって、
そうそう簡単ではありません・・。

古今東西、私たちの先人は
さまざまな『投資』を行ってきましたが、

それがどのような投資対象であっても、
また、投資資金の多寡にかかわらず、
投資の歴史のほとんどは、
【何かを選ぶ行為】でした・・


あの銘柄ではなく、これを選ぶ。
あちらを選んだので、こちらは売ろうなど・・。


初期の市場では
人間の欲望が露骨に渦巻いていましたが、

目利きが効く者の中には
ダイヤの原石を見つけ、
大きな利益を手にする者も現れます。

時代が下り、
市場(マーケット)が整備され、
取り扱われる商品数が多くなると、

今度は投資家の代わりに、
「銘柄を選んで私たちが運用してあげましょう!」
という者が現れました。

そうです、
投資信託の登場ですね。

ここでも、
運用会社が(投資家の代わりに)
【何かを選ぶ】ということに変わりはありませんでした。

⇒【選ぶ投資】というものは、
  人の本能を映し出します。



私たちの祖先は
厳しい自然と向き合い、
その猛威を克服しながら、活動範囲を広げてきました。

常に何かを選び取り、
瞬時に行動に移さなければ「死」が待っていたため、
【選ぶ】ということは、
私たちの深層意識に深く沁みついているのです。

投資 = 『選ぶこと』であり、
たとえば【選ばない投資】なんて、
ちょっと考えられません・・。

★ 歴史的に見て、
4、50年前までの投資は、
すべて『アクティブ運用』だったのです。

さて、先ほど
市場(マーケット)という言葉を使いましたが、

市場と聞いて真っ先に思い浮かべるのが
「株式市場」でしょう。

売り手も買い手も、
市場の参加者は他者を出し抜き、
いかに「利益」を上げるかに血眼になっています。

あなたも彼も彼女も、
市場という舞台の上で、
自分こそが『主人公』と
思っているのです。

ところが、
市場(マーケット)がそこそこ成熟してくると、

『ここの現象って、ちょっと面白そうじゃん。』
と感じる、
ちょっと風変わりな人が現れてきます。

その人は、別に
株や債券に興味があるわけではありません。

その人は、
マーケットで繰り広げられている
【現象そのもの】に関心があるのです。

「カンさん、それって誰?」

はい、彼の名前は
ユージーン・ファーマという、
イタリア系アメリカ人です。

ファーマさん


⇒ 当事者(市場参加者)から見ると、
マーケットとは
自分が主人公になる『舞台』ですが、
ファーマさんにとっては『実験場』に過ぎません。

彼は少し離れた場所から
株式市場を冷静に眺めます。

そして、その場所を
『不特定多数の人が集うひとつの社会』
と捉えました。

1965年に発表されたファーマ氏の博士論文は、
いわゆるランダムウォーク理論のはしりであり、

将来の株価って
過去の株価とはまったく独立していて、


過去の株価の動きを見ても
未来の株価を予測することはできないよ。』

と喝破してしまったのです。

そして1970年、
シカゴ大学の教授になっていたファーマさんが
Journal of Finance 紙に、

『Efficient Capital Markets:
A Review of Theory and Empirical Work』
というタイトルの論文を発表します。

いわゆる【効率的市場仮説】
EMH(Efficient Market Hypothesis)の
原型となった論文です。


えーっと、あなたが他者を出し抜いて
株で儲けようとするのはほとんど無理な話ですよ


たとえば、A社に関するあらゆる情報
(良いものも・悪いものも)は、
市場の中で「瞬時に」かつ「あまねく」
伝わってしまうので、

それらの情報は
すぐに「株価」に反映されてしまい、

あなただけが
株価が上がるまえにこっそり買って儲けるなんて、
ほとんど無理な話なのです・・。」

なんてことを言ってしまったのです。
(なんとも夢のない話・・・)


当時、マーケットの中で
銘柄を買ったり売ったりしていた人たち、
また、株の売買の仲介に
従事していた証券会社の人、

あるいは、自分の目利き力で銘柄を選択して
投資信託を運用していた人たちにとっては、
まさに青天の霹靂でした。

この人、いったい何言ってるの・・?
(もしかして、頭がオカシイのでは・・)

★ 舞台の上で必死に動き回る人には、
舞台の全景、そして
舞台そのものの性向は
なかなか把握することができません。

200年の歳月をかけて、
少しずつ成熟してきた株式市場というところを、
【客観視】する人たちが、
ようやく登場し始めたのですね。


ファーマさんはさらに続けます。

「あなたがA社の財務諸表を読み込んだり、
他の誰かがA社のチャートを分析したりして、
必死にA社を【評価】しようとします。
そして、株の売り買いをしますね。

そのように、
何千、何万の人が必死の思いで
株式を評価し、株の売買を行えば行うほど、
株価は【適正価値】に近づいてしまうのです。

つまり、
他者を出し抜いて儲けてやろうという、
あなたのような人間が多くなればなるほど、

市場は【効率的】になっていく・・、

結果、他者を出し抜いて儲けることが
難しくなるのですよ。」

はあー、なんだか、
興ざめしてしまいますね。


もちろん、
今日の市場(マーケット)においても、
投資家の実際の行動には
『非合理的な側面』が多々あります。

瞬時に伝わらない情報もあり、
市場(マーケット)には
「効率」だけでは説明できない
大いなる変則性 =【アノマリー】も存在します。

しかし、ファーマさんは
それまで当然と思われていた
ヒトが何かを選ぶ投資
自分は他者を出し抜けるという考え】に
はじめて疑問符を投げかけたのです。

そうです、
歴史的に見て、
インデックス投資のアイデアは
アカデミックの分野からやって来たのですね・・。

似顔絵




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『投資信託・ハテナ?』 〜ファンドの3つの会社を覚えよう!〜


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

らくご3分動画【投資信託・ハテナ?】は、
職場のパソコンで見るのは避けたほうがよいでしょう。

(音が出ますし、内容が「落語調」ですから・・)

投資信託を
【カンタン・面白く】ご理解いただくために、
新たな動画サービスを始めています。

〜ファンドの3つの会社を覚えよう!〜



【投資信託・ハテナ?】の
全動画をご覧になりたい方は
以下のバナーからどうぞ!

らくご3分動画投資信託ハテナ




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グローバル・ソブリン・オープンの功罪とは?


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

先般、投資信託の【純資産額】のランキングで、
大きな動きがありました。

約12年にわたり
純資産額トップを維持してきた
「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 」が
その第1位の座を、

フィデリティ投信の
「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」に
譲り渡したのです。

「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」 が
運用を始めたのは1997年のことでした。
(17年も前のことです・・)

グロソブは2007年の最盛期、
純資産額が5兆円を超えていたのです。

この金融商品は、
さまざまな【功罪】をもたらしましたが、

⇒ そのもっともたるものは、
投資 = 【不確実性が存在するよ。】という事実を、
麻痺させてしまったことでしょう・・。

これって、大きな『罪』です。

ほんらい的に、投資を続ける =
【不確実性と付き合い続けること】です。

そこでは、なんと云いますか、
『こころの耐性』というものが必要になってきます。

『こころの耐性』・・?

はい、この
こころの耐性』には2段階あります。

1.不確実なことを連続して経験する。
それそのものに慣れる、ということ・・。

2.短期で変動するマーケットを抽象化し、
少しずつ「長い時間軸」を獲得していく、
ということ・・。


はっきり言いまして、
『こころの耐性』を身に付けるのは
簡単なことではありません。

(そしてまさにココが、
貯蓄と大きく異なるところなのです)

シンプルに申し上げると、
【貯蓄】とは、
○ 今、そこに落ちている木の実を拾うこと・・。

【投資】とは、
○ 山の向こうにある小さな実を、
「大きな木の実になる」と信じて託すこと・・。

「ぜんぜん違いますね!」

どちらがタフな行いかといえば、
もちろん【投資】のほうです。

たとえば、

【時間軸】で云うと、
貯蓄 ⇒ 今 であり、
投資 ⇒ 未来 ですね。

【確かさ】
貯蓄 ⇒ 確実 であり、
投資 ⇒ 不確実 です。


【リターン】
貯蓄 ⇒ 小さな実 であり、
投資 ⇒ 大きな果実 です。(← でも、約束されたものではない)


「グローバル・ソブリン・オープン」という投資信託は、

・今(現在)、
・確実に、
・この「小さな実」が手に入りますよ、という、

あなたの耳に心地よいだけの、
『誤った事実』
を伝えてしまった
先がけの金融商品と云えるでしょう・・。

その罪の重さは、
何十万人というシニア層が
このファンドを買っていることからも明らかですが、

実は知名度が上がるにつれ、
20代、30代の『若い世代』にも、
グローバル・ソブリンの人気は高まっていったのです。

今すぐもらえる
【毎月の分配金】によって、

・不確実性に慣れ、
・今ではない、将来に
大きな果実を得ようとする、

【投資の本質】が忘れ去られたことは
なんとも残念なことですね・・。


「グローバル・ソブリン・オープン」は、
1998年~2000年にかけて、
(基準価格あたり)
月60円の分配金を出していました。

2001年の1月以降、
7年半以上も 月40円の分配金を出し続けました。

そして、2009年8月から2013年12月までは
月35円の分配金でしたが、

今年(2014年)の1月17日に
「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は、
第193期の決算を迎え、

当期の分配金を(基準価格あたり)、
「35円」から「20円」に変更しています。

・・なぜ分配金を
「20円」に引き下げざるを得なかったかは、
分かりますね?



現在(4月17日)の
グロソブの『基準価格』は5355円、
『純資産額』は1兆1730億円です。

(当ファンドは 基準価格10000円で
運用をスタートさせています・・)

私見ですが、わたしは
グロソブの純資産額が1兆円割れになるのは
時間の問題だと思っています。

★ 今すぐもらえる
【果実の大きさ】をあてにしている
多くのファンド保有者にとって、
もはや魅力的な商品ではなくなったためです・・。

ファンドの『解約』→『資金の流出』が続くと、
「分配金」の確保をしながら、
効率的な運用を行うのはますます難しくなります。

17年をかけて、
グロソブが凋落に向かうのは、
わたしは【投資の本質】を学ぶうえで、
良いことだと思っています・・。

「カンさん、たしかに
グロソブの基準価格は5339円ですけど、
ずっと毎月分配金を出してきたのだから、

それを合わせると、
基準価格の価値は13000円を超えてるんですよ!」

はい、それはおっしゃる通りです。


でも、わたしが
「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」を
評価しない【第一の理由】は、

⇒ 当ファンドが単純に、
外国債券マーケットの「平均点」に
負け続けているからです。

端的に申し上げると、
「SMTグローバル債券インデックスオープン」のような
外国債券インデックス・ファンドを

ずっと持っていたほうが
より儲かっていたということ・・。

少しだけ、お手間ですが、
こちらのURLをクリックしてみてください。

上記はグロソブの「運用レポート」です。

1枚目、いちばん下、
ファンドとベンチマークの騰落率】の表を
ご覧いただくと、

その事実は一目瞭然です・・。

ファンドの騰落率(名目上のリターン)が、
ベンチマークである、
外国債券の指数(平均点)に負け続けていますね。


話を『大枠』に戻しましょう・・。

私たちが今後、
資産運用という大海を泳いでいく中で、
大きく、ほんとに大きく
投資のスタイルを【2つの種類】に分けてみると、

それは
『ニワトリ型』か『タマゴ型』になります。

ニワトリ

ニワトリ型とは?
「わたし、タマゴ(定期収入)は要らないけれど、
ニワトリ(資産)そのものの成長に期待し、
それを大きくすることに注力するわ。」

それが【運用の目的】ですね。

タマゴ型とは?
「わたし、ニワトリ(資産そのもの)を買って、
定期的にタマゴ(定期収入)をもらうことに注力するわ。
別にニワトリは少しずつ痩せていってもいい。」

それが【運用の目的】です。

あなたは、どちらのタイプですか・・?

この設問は、
「良い・悪い」ということではなく、

あなたがどちらの
『投資スタイル』を志向しているのか

という問題です。(とっても重要です!)


世の中には、
【タマゴ型】の金融商品がたくさんあります。

・満期が決まった「債券」
・毎月分配型ファンド
・不動産投資もそう・・。

また、
・「配当」を期待して
個別株を買うこともそうでしょう。
(2011年以前は、東京電力株がその代表格でした・・)

以下は蛇足になりますが、
個別株の「配当」で云いますと、
興味深いデータがあります。

2014年3月期の
東証1部に上場する企業の配当金は、
過去最高になると予想されています。

⇒ 東証1部に上場する企業の、
『平均・配当利回り』(加重平均)は
1.53%です(2014年1月現在)

⇒ 一方、長期金利の指標となる
10年物国債の利回りは0.58%です。
(2014年2月末現在)

あれ・・?
なんか、おかしいですね。

そうです・・、

⇒ 債券(10年物)の利回りより、
株式の配当利回りのほうが
高くなっているのです・・。

これはいったい、何を意味するのでしょうか?

「カンさん、すごいじゃない。
債券の利回りより、
配当利回りのほうが高いっていうことは、
株を買うのがお得ってことじゃない!」

んー、たしかに・・。

それって物事をひとつの側面から見た場合の
『事実』ですね。

しかし、180度ずらして
【別の側面】から上記の事実を眺めてみますと、

★ 多くの投資家が、
もはや日本株に投資を行って、
【ニワトリ】が大きくなることに
さほど期待していない・・、


という表れでもあります。

★ 今ではない、未来に
『大きな果実』に育つことを期待せず、
また、
その『こころの耐性』も持っておらず、

「まあ、とにかく、
半年、1年ごとに、タマゴをくれよ!」
という【投資姿勢】になっている証左ではないでしょうか。


もう一度、お聞きしますよ・・。

あなたは、
「タマゴ型」or「ニワトリ型」、
どちらの【投資スタイル】を求めているのですか?

あなた自身が、
「ほんとうはどっちなの?」を熟考してから、
投資の行動を起こされるべきだとわたしは思います。

(ところで、)
当オフィスのスタンスは・・・
『明確』です。

そもそも、
投資の本質は「ニワトリ型」であると考えます。

そして、
複数の「ニワトリ型」商品を組み合わせて、
ポートフォリオを組まれることをお勧めしています。

★ その理由は明快で、
「ニワトリ型」商品を、
ファンド(投信・ETF)のカタチで保有すれば、

仮に「タマゴ」が欲しいときには、
ファンド(投信・ETF)を一部解約することで、
「タマゴ型」の需要を満たせるからです・・。

■ 参照記事
とよぴ~さんのブログ
高配当ETFで戦略的インデックス投資日記
毎月分配や高コスト投信が不要だとわかる比較

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