世界初の投信、「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」はまだ生きています(名前と中身は変わりましたが・・)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
投資の【多様性】という意味では、
今の私たちはとっても恵まれています。
ひと昔前、たとえば前々世紀には、
小市民で少しお金があったとしても、
「投資」を行うなんて、夢のまた夢でした・・。
たとえば、
19世紀後半のイギリスでは、
有価証券を用いた投資がすでに勃興していましたが、
株式のいちば、債券のいちば、双方とも、
云ってみれば
資本家たちの『サロン』のようなものであり、
市民にはまるで縁遠い世界だったのです。
(おまけに証券の購入単価も高かった・・)
ところが、1868年に
投資信託なるものが世の中に登場し、
市民にも「投資」を行う道が開かれました。
世界最初の投信の名は、
「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」
と云います。
この投資信託は、
(イギリスから見て)植民地にあたる政府の債券、
外国の債券に投資を行う、
今でいうところの『外国債券ファンド』でした。
ところで、
当該ファンドはいったいどんな債券(国債)を
組み入れていたのでしょう・・。
【銘柄】 クーポン【%】
アルゼンチン債 6%
オーストリア債 5%
ブラジル債 5%
チリ債 6%、7%
ダニューブ(ドナウ川)債8%
エジプト債 7%
エジプト鉄道ローン7%
イタリア債 5%
ニューサウスウェールズ債5%
ノバスコシア債6%
ペルー債 5%
ポルトガル債 3%
ロシア アングロ・ダッチ債5%
スペイン債 3%
トルコ債 5%、6%
米国債 5%
(国際投信投資顧問のレポートより)
面白いですね・・。
ダニューブ(ドナウ川)債って、
川の造成、護岸工事のための起債だったのでしょうか。

この
「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」、
いくらなんでも、もう存在していないだろうと調べてみると、
・・存在していました (><)!!
名前は、
「フォーリン・アンド・コロニアル・インベストメント・トラスト」
に変わっていましたが・・。
『Foreign & Colonial Investment Trust』
上記サイトを見ていただくと、
F&C Asset Managementという運用会社が
運用を行っていることが分かります。
当該ファンドは現在、世界中の株式に投資を行う
「株式ファンド」になっていますが、
その運用理念は(根底のところで)変わっていません・・。
designed for private investors
to gain access to international investment opportunities,
~個人投資家が
グローバル投資の機会を得るためにデザインされた
(金融ツール)~
これって、1868年当時と変わりませんね。
「フォーリン・アンド・コロニアル・インベストメント・トラスト」は、
世界の500社以上の株式に投資を行っています。
アメリカ、イギリス、ヨーロッパ(除くイギリス)で
組入れ比率が50%を超えます。
また、新興国にも9%弱投資を行っています。
そして、プライベートエクイティ(未公開株式)にも
14%強投資しているのが特徴です。
(マンスリーファクトシートより)
いずれにせよ、146年という時間を経て、
「ジ・オリジナル・投信」が生存しているというのは、
なんとも嬉しいことですね・・。

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