1990年、バンガード、初の外国株式インデックスファンド
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
昨年の9月1日に届いた
バンガード・ニュースレターは、
バンガードCEOビル・マクナブさんからの
シンプルでストレートな『メッセージ』でした。
タイトルは・・、
「市場が乱高下しているとき、何をすべきか?それは「何もしない」こと」
どうです?
すーっと腑に落ちる【格言】だと思いませんか?
長期投資に本当に必要な『原則』を、
このように包み隠さず語ってくれる
運用会社があることに、
わたしは心底ほっとします・・。
長くこの業界に居ますと、
「風が吹いて、ときどき母屋が揺れるのが、
マーケットの本質」なのに、
母屋が揺れるたびに、
「わあっ、もしかしたらタイヘンかも。」
「別の建物に移動します?」
「あんなことも、こんなことも起こるかもしれませんよ!」
というふうに、
人の【不安】に乗じて
(結局のところ)
金融商品の売り買いをさせたがる
(= 自分たちの利益を確保するために)
金融機関が多いことに、
辟易してしまうことがしばしばあります・・。
ところで、
バンガードが世界ではじめて
個人向けの「インデックスファンド」の運用を
始めたのは、1976年のことです。
吊られた男さんのブログ記事
【日本のインデックスファンド/インデックス投資の歴史 「インデックスファンド/インデックス投資年表 (2015年版)」】
によりますと、
『日本初のインデックスファンド』の登場って、
1985年のことなのですね。
それ以降、
さまざまな投資対象の
インデックスファンドが登場したのは
(もちろん)嬉しいことですが、
わたしは
(こと日本においては)、
【インデックスファンド・シリーズ】の登場こそが
エポックメイキングな出来事であったと考えます。
具体的には、1998年に登場した
【日興パレット】というインデックスシリーズです。
(日興アセットマネジメントが運用)
複数のインデックスファンドを、
ひとつのカゴの中で
【同時に品揃えしてくれることには】、
実は深い意味があります。
よーく考えてみましょう・・。
ひとつのカゴの中で、
『複数のイ・ファンド』を
同時に品揃えしてくれていると、
「えーっと、
このイ・ファンドと、
あのイ・ファンドを組み合わせてみようかな・・」
みたいな【行動】を
(自然に)促すことになると思いませんか?

これって、
リビングに
複数の積み木が無造作に置いてあったら、
なんとなく組み合わせてみたくなるのと
同じノリです。
つまり、
【インデックスファンド・シリーズ】の
登場によって、
私たち投資家は『理屈』ではなく、
半ば『感性』、『情緒的』に、
(異なったモノを)組み合わせるという、
「ポートフォリオのエッセンス」を
会得していったのだと思います・・。
多くの投資家が無意識的に
資産の組み合わせを実践しているさまが、
たとえば、
eMAXISシリーズの
各インデックスファンドの
『残高分布』を見ると分かります。
⇒ 注目していただきたいのは、
純資産(億円)のところ。
日本国内で設定され、
日本人を購入者として想定しているのに、
★ 外国株式、外国債券のイ・ファンドの
純資産残高が、
ずいぶん大きいと思いませんか?
(多くの投資家が自然に、
『国際分散投資』に踏み出しているのです!)
じゃあ、
インデックスファンドにおいて、
一介の個人投資家が、
『国際分散投資』の一歩を踏み出したのは
いったいいつのことなのでしょう?
前述の吊られた男さんの『記事』によると、
1986年11月 インデックスUSA登場
日本初の海外インデックス連動ファンド
と記されています。
たしかに、
上記は海外株式インデックスファンドですが、
これは『一ヵ国の株式』ですね。
一介の個人が、
複数の国々の株式を股にかけて、
『インデックスファンド』の形で
海外に投資が出来るようになったのは、
実はバンガードが1990年に設定した
『外国株式インデックスファンド』が最初です。
米国バンガード社のホームページ
『A remarkable history』⇒ Historic milestones
を見ると、
1990
Expanding the horizons for index investors,
Vanguard creates the first international stock index mutual funds.
と記されています。
~インデックス投資家の地平を拡げるため、
最初の外国株式インデックスファンドを組成。~
(フム・・。
わたしはその、
『first international stock index mutual funds』が
何なのかをちょっと探してみました・・)

おそらく、
以下のふたつのインデックスファンドが
1990年に運用を開始した、
はじめての
『外国株式インデックスファンド』だと思われます。
『Vanguard European Stock Index Fund Investor Shares』
(いわゆる『ヨーロッパ株式インデックスファンド』ですね。
当該ファンドは現在、
FTSE Developed Europe All Cap Indexとの連動を目指しています。
西ヨーロッパの17ヵ国が投資対象です)
『Vanguard Pacific Stock Index Fund Investor Shares』
(こちらは現在、
The FTSE Developed Asia Pacific All Cap Index
との連動を目指しています。
日本、韓国、オセアニア、香港、シンガポールが投資対象)
繰り返しになりますが、
両ファンドとも、
運用を開始したのは1990年。
(今から26年前のことです・・)
当時のアメリカの投資家はどんな反応をしたのでしょう?
日本人以上に、
アメリカ人にとっては、
『外国の株式』というものは、
遠く、かつ、得体の知れない投資対象であったと推察します。
わたしは
(もちろん)一ヵ国の株式のインデックスファンドも
重要だと思いますが、
★ 自分が行ったことも見たこともない
遠い遠い場所に、
難しく考えず、広く・浅く、
低コストで投資を行えるという点こそが、
「インデックス投資」の
もっとも優れているところと考えます。
それに、
(日興パレットと違って)
上記ふたつのインデックスファンドは
今でも、元気に運用を続けていますよ。 ← ココ、重要。
日本でも、
「設定来28年を経て、
ますます元気な○○株式インデックスファンドです!」
みたいなキャッチコピーが定着することを
願って止みません・・。

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