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2017.02.26 Sun
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
ここに100社の株式に投資を行う
「ABC株式ファンド」があるとします。
前に立っている講師の人が、
「はい、大事なのは純資産額ですよ!」と
声を張り上げています。
純資産額(純資産残高)とは何でしたか?
ハイ、【投資信託の規模、大きさ】のことです。
これってもちろん、
<小さいよりは、大きいほうがよい> わけです。
「じゃあ、純資産額はどのような要因で、
大きくなったり、小さくなったりするの?」
答えはカンタン。
2つの【要因】があります。
上の「ABC株式ファンド」の場合、
1.ファンドが組み入れる株式の価格
(株価)そのものが上下する
2.ファンドに入ってくるお金と
出ていくお金の「差額」
この、1.と2.を合わせたものが、
純資産額のアップダウンに影響します。
(継続的にかかるコストや、
株式からの配当は考慮していません)
仮に、こんなふうに考えてみましょう。
この1か月間
「ABC株式ファンド」に入ってくるお金と
出ていくお金がちょうど「同じ」だったとします。
でも、
ファンドが組み入れる会社の株価が
総じて下がってしまうと、
結局、【純資産額】は減少することに・・。
逆に、
この1ヶ月の間、
「ABC株式ファンド」が
組み入れる会社の株価が
まったく変わらなかったとしても、
ファンドに入ってくるお金より、
出ていくお金のほうが多いと、
結局、【純資産額】は減少することに・・。
今、お話しした、
「ファンドに入ってくるお金より、
出ていくお金のほうが多い」
というのは、
総じて言えば、
「ABC株式ファンド」の購入より、
解約のほうが多かったということであり、
基本的には、
購入した人より、
解約した人のほうが
多かったというイメージになります。
(逆の場合も、しかりです)
あえて、2.の
【ファンドに入ってくるお金と
出ていくお金の「差額」】に注目すれば、
⇒ 純資産額がじりじりと減っているのは、
そのファンドから、
【人】と【お金】が
引き上げていっていることになります。
逆に純資産額が
増えていっているのは?
⇒ そのファンドに、
【人】と【お金】が
入ってきている証拠でしょう・・。
★ そういう意味では、
純資産額の推移は、
その投資信託の、
【未来の元気度】を暗示しています。
この元気度は、
ファンドの成績が元気という意味ではなく、
ファンドの大きさが少しずつ大きくなり、
10年経っても効率的な運用が出来て、
ファンドが健全に存在しているよね・・、
という意味での「元気度」です。

具体的に見てみましょう。
【投信まとなび】の、
ファンドのパフォーマンスのグラフを
見ていただくと、
たとえば、
「ひふみ投信」や
「世界経済インデックスファンド」では、
水色の純資産額の推移が
見事な右肩上がりになっています。
コンスタントに
そのファンドに【人】と【お金】が
入ってきている証拠でしょう。
また、つみたて投資をしている人の
割合が高いことが伺えます。
スポット投資をする人の割合が高いと、
純資産額の推移は、
もっとデコボコする傾向にあるためです。
わたしは(株式では)
SMT グローバル株式インデックス・オープンと、
SMT 新興国株式インデックス・オープンを
積み立てているのですが、
投信まとなびの
「SMT グローバル株式インデックス・オープン」を
見ていただくと、
純資産額は、
2016年はずっとボックス圏で
ちょっと減ってちょっと増えて
という状況だったことが分かります。
(2017年になって少し増えてきていますが・・)
そして、その下、
【月次資金流出入額】 (直近5年 単位:億円)
をご覧いただくと、
2016年の終わりから、
純資金流出になっていることが分かります。
(SMT 新興国株式インデックス・オープンも、
2016年の終わりから、純資金流出の傾向に・・)
これはあまりよい傾向ではなく、
今後の推移をウォッチする必要がありそうです。
この
【月次資金流出入額】で、
「純資金流入」ではなく、
「純資金流出」が続いていけば、
ファンドの【純資産額】が逓減していくことに
なってしまいますから・・。
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2017.02.24 Fri
過去の成績だけを見て、
投資判断をしていませんか?
それってバックミラーだけを見て、
運転しているようなものですよ・・。
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| 今日のひと言
| 19:15
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2017.02.23 Thu
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
今、わたしの手元には、
2006年5月7日付の日経新聞の記事があります。
執筆者は、
日経新聞の田村正之さん。
(田村さんは現在、
日経新聞編集委員です)
記事のタイトルは、
『投資信託 コストに注意』
見出しには
『毎日引かれる信託報酬』とあります。
「ああ、田村さん、昔から頑張ってるなあ・・」
(ところで、
信託報酬(運用管理費用)が、
毎日引かれているのはご存じですよね?)
この記事はもう10年以上前のものですが、
記事内では、
「ノムラ日本株戦略ファンド」と
「フィデリティ・日本成長株・ファンド」と
「さわかみファンド」の
1.基準価格の騰落率と
2.本来の成績(もし信託報酬が
差し引かれなかったら)
3.投資家の最終的な損益
(1.から、販売手数料や信託財産留保額を
引いたもの)
を比較しています。
良記事です・・。
資産運用を行う私たちが
不確かな損益を引き受ける中で、
いかに『コスト部分』の影響が大きいかを
田村さんは喝破しています。
田村さんはこれまで、
投資家の目線に立って、
「資産運用にとって何が大切なのか?」を、
真摯に追い続けてこられました。
そこには、
日経新聞にありがちな、
企業(金融機関)に気を遣いながらの
「なあなあの、総花的なコンテンツ」は
ありません。
短期的なトレンドに基づいた
根拠なき楽観の記事もないですし、
華やかなリターンのみに注目した記事も
書かれていません。
どこに「視座」を置くかという点で
唯一無二のポジションを獲得されているのです。
(その『姿勢』は今もまったく変わっていません!)
田村さんは自身の記事を通じて、
自分自身でコントロールできる
コストの部分を知らしめ、
長期投資 = 資産形成という概念を
伝えようとされているのでしょう・・。

上記2006年の記事内では、
どうして1990年代に、
投資信託のけいぞくコスト
「信託報酬」が大きく上昇したのか
という点について、
投信会社幹部のコメントとして、
外国投信会社(運用会社)が
日本に入った際、
販売会社に売ってもらうため
信託報酬を高めに設定、
それが全体の水準を引き上げた。
と記しています。
【これ、事実です。】
田村さんの記事を読んでいると、
こんなことを思います。
世の中の『流れ』は
実にゆっくりと形成されるもの。
しかし、
その流れを作っているのは、
頑固なまでの人の『意思』であるのだと。
昨今の、
超低コストのインデックスファンドの
隆盛も、
10年以上前からの【流れ】が
辿り着いた結果ではないでしょうか・・。
そのインデックスファンドも、
今から46年前、
1971年に、
小さな産声を挙げたことが、
以下のコラムで分かりますよ。
SMTインデックスシリーズ コラム Vol.15
【インデックス運用の歴史】
インデックスファンドの産声は
1971年、
サンフランシスコのウェルズ・ファーゴ銀行が
年金向けとして立ち上げた、
『株式インデックスファンド』にまで遡ります。
(その年金というのが、
カバンで有名な
サムソナイトという会社の企業年金用だったのです)
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| 投資信託をディープに理解する
| 15:12
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2017.02.19 Sun
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
もうずいぶん昔の話ですが、
橘玲さんの本の中で、
投資家が全員、
「長期保有」になってしまえば、
証券会社は「倒産」してしまいます。
という旨の文章を読んで
「あー、なるほど・・」
と思ったものです。
もちろん、
上記は「個別株」に限った話ですが。
証券会社は、
あなたやわたしに(株式を)
売ったり買ったりしてもらって、
【利益】が上がるわけです。
そして、その頻度が高いほど、
売買委託手数料という名の収入が増えます。
一方、私たちは、
株式を売ったり買ったりしたからといって、
【利益】が増えるとは限りません。
(逆に、売買を繰り返せば繰り返すほど、
リターンが低くなる可能性が・・)
このように、
証券会社と私たちは
本来的に【違う景色】を見ています。
コツコツ投資家にとっては
衝撃かもしれませんが、
ネット証券でさえ(いまだに)
その稼ぎ頭は、「個別株」と「FX」なのです。
たとえば、
2016年3月期の、
楽天証券の収益の37%以上は
株式・デリバティブから。
そして、収益の約17%は
FXからの手数料収入です。
これを合わせるだけで約54%になります。
一方、投資信託からの収益は
11%程度に過ぎません・・。
楽天証券 2016年3月期「決算説明資料」より。
つまり、少々下品な言い方をしますと、
証券会社の収益って
顧客にどれだけ頻繁に
株式や通貨を売り買いしてもらうかに
かかっているわけです。
この事実は、なかなか悲しいもの。
ちょっと周りを見渡してみてください。
世の中には根強く、
特定の株式、通貨を選び、
それをうまく売り買いすることが
すなわち「投資」であるという、
『思い込み』がはびこっていますが、
この種の『思い込み』をはびこらせる
「動機付け」が
(残念ながら)証券会社には存在するのです。
(※ 誤解がないよう申し上げると、
わたしは低コストの投信、ETFなどを品揃えしてきた
ネット証券の表の顔の部分には、
素晴らしい!と拍手を送る者です)
そして、
特定の株式、通貨を選び、
それをうまく売り買いすることが
すなわち「投資」であるという
風潮を後押しするのが『マネー雑誌』です。
わたしはコンサルティングをお受けいただくお客様に
【あなたとお金の親密度を測るための55の質問】を
事前にお渡ししています。
その25番目の質問がコチラ!
(マネー雑誌を買った人がある方のみ)
今年の上昇株(ファンド)はこれだ!というタイトルを見て、
マネー雑誌を買ったことがありますか?
マネー雑誌は
投資信託の情報も載せてくれますが、
投資信託の情報がメインになることは
ありません。
マネー雑誌のコンテンツのメインは
(あくまで)株式、通貨(FX)なのです。
カンさん、それってなぜ?
理由はかんたんです。
マネー雑誌は
『広告収入』で成り立つビジネスであり、
その広告主としてもっとも影響力があるのが
証券会社、FX取引業者だからです。
(つまり原理的に、
マネー雑誌のメインコンテンツは
株式、通貨(FX)になってしまうわけです・・)
わたしは
弊所のお客様で
マネー雑誌を見ている方がおられたら、
「もう、その種の雑誌は
見ないほうがいいと思いますよ」
と申し上げています。

また、マネー雑誌だけでなく、
経済誌、大衆誌でも、
しばしば『株式特集』が組まれますね。
上記の雑誌群は、
いったいどんな時期に、
株式特集の記事を載せるのでしょうか?
これもかんたんですね。
「株価が上がっているとき」です(笑)
多くの消費者は
株価が上昇することによって
株式投資に興味を持ちます。
株価が上がっている状況で
株式購入を考える読者は、
「これからが本番。もっと上がるよ!
こんなにいい材料が揃っているんですから!」
と、
自分の背中を押してくれる情報を
無意識に望んでいるわけです。
その大衆の欲求を、
雑誌の株式特集が満たしている
という側面があります。
その結果、どうなるのか?
世間にはびこる、
特定の株式、通貨を選び、
それをうまく売り買いすることが
「投資」であるという思い込みを、
さらにあと押ししてしまうのです。
そして、
これらの特集記事を読んだ人たちは、
「証券会社」の上顧客になる可能性大です。
(なんと罪深い・・)
ほんとうに読者の利益を考えるなら、
少なくても一流の経済誌は、
「株価が下がって、
マーケットが閑散としているとき」にこそ、
『株式特集』を組むべきだと思いませんか。
なぜなら、そのときこそ
『チャンス!』なのですから。

わたしはFacebook上で
週3回、
「本日の金言(カネゴン)」と題して
お金に関する格言をアップしているのですが、
以前、
こんな格言を載せたことがあります。
週刊現代と週刊ポストが
「日経平均株価2万円越えへ。
上昇相場に乗り遅れない特選銘柄20!」
と言い出したら、そろそろ天井なのです。
はい、そうなのです(笑)
今でも思い出すのは、
2013年の日本銀行の
「量的・質的金融緩和」の導入のあとです。
あの年は株高・円安が進み、
わたしのような者にも、
複数の雑誌から取材依頼がありました。
(すべてお断りしましたが・・)
株価が上昇するとき、
もう、ピークをつけそうなときに
投資関連の情報量は
うなぎ登りに増えます。
たとえば、日本株式の例でいうと、
日経平均株価がどんどん上昇してくると、
株式の売り買いの量は増えるわけです。
あなたがその雑誌を手に取るまえに、
その雑誌の裏面を見てみてください。
もしかすると、ではなく、
けっこうな確率で
証券会社の全面広告だったりしますよ。
あなたは証券会社やマネー雑誌や、
ネット上の諸々のエンターテインメント的な
華やかな情報に惑わされず、
(それらは↑オトナの悪ふざけと達観し、)
地味で目立たないコツコツ投資を
粛々と続けてくださいね。
◆ 参照記事
【娯楽としてのマネー雑誌】
【ネット証券さん、答えはもう左胸のポケットに入っています】
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2017.02.16 Thu
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2017.02.13 Mon
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