2017年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年03月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

インデックスファンドの低コスト競争と、商品の持続性はどっちがより重要なのか?


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

以下、三菱UFJ国際投信の
発表(リリース)を受けて、
すでにさまざまな意見が飛び交っています。

インデックスファンド『eMAXISシリーズ』に、
業界最低水準の運用コストをめざす新たな仲間、
『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』を追加


上記リリースのポイントはここです。

他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、
機動的に信託報酬を引き下げることによって、
業界最低水準を目指し続けるインデックスファンドです。


これは事実上、
「他社がコストを引き下げてきたら、
こちらはコスト最安に対応しますよ!」
という宣言です。

これは、
私たちはいつもコスト最低水準で!」
という意味であると同時に、

他社が動かなければ、私たちも動きません!」
という意味でもあります。


この発表を受け、
少なくとも4大資産(日本債券、先進国債券、
日本株式、先進国株式)については、

【インデックスファンドの低コスト競争】に
打ち止め感が出るとわたしは考えます。

なにせ、
<eMAXIS Slim シリーズ>の
三菱UFJ国際投信は
【最安】のボタンを握っており、

「(他社が動いてきたら)
いつでもスイッチ押しますよ」
と言っているわけです。


それを見ている、
<購入・換金手数料なしシリーズ>
ニッセイアセットマネジメント

<たわら ノーロード シリーズ>
アセットマネジメントOne

<iFreeインデックスシリーズ>
大和証券投資信託委託などの、
インデックスシリーズは、

(少なくとも)4大資産については、
コスト引き下げに動かない公算が
高いのではないでしょうか・・。


ところで、三菱UFJ国際投信が
わざわざ「Slim」という、
ひとつのブランド内で
新たなシリーズを立ち上げたのは、

信託報酬(運用管理費用)の
引き下げにおいて、
60を超える販売会社の同意を得ることが
できなかったためでしょう。

しかしながら、
マザーファンドも同じで、
まったく同じインデックスファンドなのに、

ひとつの「ブランド」内で、
継続コストがまったく違うというのは
いかがなものでしょう・・。



【ここからちょっと「寄り道」】

実はETFの分野では、
かつてi シェアーズが同じようなことを
やっています。

新興国株式ETFとして有名な「EEM」
i シェアーズ iShares MSCI Emerging Markets ETF
があります(年間経費率は0.72%)

ETFのコスト競争が激しくなったため、
2012年に、

ほとんど投資対象が同じの、
i シェアーズ コア MSCI Emerging Markets ETF
(IEMG)を上場させたのです。
こちらは年間経費率がなんと0.14%!

(厳密にはIEMGのベンチマークは
MSCI エマージングマーケッツ
インベスタブルマーケットインデックスで、
小型株も含むため、EEMより投資対象が
広範になります・・)

【「寄り道」おわり。】


eMAXISシリーズに戻りますが、
既存のファンド保有者は
(今回の「Slim」導入で)
蚊帳の外に置かれた格好になります。

このような
三菱UFJ国際投信の決断に対して
消費者がどう反応するのかは、

今後の「Slim」の資産残高を
見ていけば自ずと分かってくるでしょう。


Change-.jpg


三菱UFJ国際投信の
「低コスト競争でなんとか
生き残りを図りたい!」
という気持ちは分かります。

でも、

もう、
このあたりで、

【新規設定の低コストインデックスファンド】が
続々登場するのは、
終わりにしてもよいのではないでしょうか。

この数年を振り返って、
圧倒的に投資信託の継続コスト
(= 運用管理費用)が下がってきたことは、
素晴らしいことだと思います。

(声を上げれば、
ホントに物事は変わるんだ!
という実感もあります)


が、しかし、です。

広く投資信託というマーケットを見渡すと、
『インデックスファンド』は
まだまだメジャーな道具ではありません。

【新規設定の低コストインデックスファンド】が
どんどん増えるというのは、
一体どういうことでしょう?

【供給】の本数が
どんどん増えるということです。


仮に、この日本で現在、
インデックスファンドに対する需要が
100あるとして、

4つのインデックスファンドシリーズで
その需要を分け合う状態であれば、
なんとか均衡を保てるかもしれません。

(かつ、商品提供会社としても
採算ベースに乗りやすいかもしれません)

しかし、
7つのインデックスファンドシリーズで
その需要を分け合う、

いや、
そのうち1社が、
同じようなラインアップを、
違う手数料で「品揃え」しているとすると、

実質8つのインデックスファンドシリーズで、
100ほどある需要を【分け合う】となると・・。

(※ 8つという数字は例として挙げたのみで、
具体性を示唆しているわけではありません)


最悪、どの運用会社も
目標の純資産残高に届かない。

ということが起こらないとは限りません。

もちろん、
これから【需要】も伸びていくでしょう。

しかし、ビジネス上の
投資時間の中で、


【供給】の増加に対し、
【需要】の伸びが果たして追いつくのか、
という『不安』もあります。


安さ安さの追求は、
それが一回完結型のサービス、

たとえば、
「グアム島3泊4日の旅」ならよいですが、

投資信託という商品のサービス完結は、
もう、とてつもなく、遠い地点にあるわけです

(長くサービス提供を続けてくれることが
大前提!)

繰り返しになりますが、
継続コストが安いことは重要です。

(バランスファンドなど、
もっと低コストを希求していただきたいです。

また、確定拠出年金用に作られた
超低コストのファンドを開放していただきたい
という気持ちも強いです)

しかし、

それ以上に重要なのは、
自分が保有するインデックスファンドの
「けいぞく・持続性」ではないでしょうか

尾瀬


★ なぜなら投資信託は、
何十年とそのプロダクトが存続して、
それと付き合い続けて、
そして徐々に解約をしていって、

はじめて
効用(効き目)が実感できるわけですから



今回の
三菱UFJ国際投信の決断で
見えてきたものがあります。

それは、
【販売会社】が絡んでいると、
運用管理費用の引き下げに困難が伴うということ。

ETFは販売会社を持ちませんし、
バンガードも直販のファンドだからこそ、
機動的に『継続コスト』を下げられた側面があります。


「カンさん、
低コスト競争と、商品の持続性どっちが
より重要ですか?」と問われれば、
わたしは迷わず【持続性】と答えます。

◆ 参照記事 
NightWalkerさん
3つのインデックスファンド

いっさん
【サスティナブル(維持可能)とフィデューシャリーデューティー(受益者のために働く者の義務)

似顔絵




関連記事

| インデックス投資全般 | 18:08 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

| PAGE-SELECT |