「世界経済インデックスファンド」の運用報告書で感じたこと
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
「世界経済インデックスファンド」が
運用を開始したのは2009年1月です。
先日第9期の『運用報告書』が出たので、
丸9年が経過したことになります。
(運用報告書【全体版】はこちら)

当期(2017年1月20日~2018年1月22日)の
当ファンド騰落率はプラス16%でした。
(バランスファンドとしては、
「出来過ぎ」と云えるでしょう・・)
なかでも株式(日本株式、先進国株式、
新興国株式)は、
すべてプラス20%以上の
リターンを上げており、
稀にみる【好成績】です。
(まあ、こんな年もたまにはあります。
が、当ファンドのようなバランスファンドでも、
10年のうち3回程度は
『マイナスの成績』になると思っておきましょう)
<評価するところ>
〇 今期も分配金を出さなかったのは
良いと思います。
(これで3年連続「分配金なし」です。
このままこの状態をぜひ続けてください!)
〇 マザーファンドはいずれも潤沢
上記運用報告書【全体版】によると、
6つの『マザーファンド』はいずれも潤沢です。
・国内債券マザー 300,760,248,405円
(17年5月29日現在)
・国内株式マザー 162,440,685,298円
(17年5月29日現在)
・外国債券マザー 219,477,315,263円
(17年5月29日現在)
・外国株式マザー 306,484,502,440円
(17年5月29日現在)
・新興国債券マザー 31,411,284,446円
(17年11月10日現在)
・新興国株式マザー 47,713,718,509円
(17年11月10日現在)
マザーファンドがこれだけ大きいと、
当該ファンドの「存続性」について
安心感が高まります。
<世界経済インデックスファンドの資産配分>

<希望・要望です>
運用報告書の
『基準価額の主な変動要因』(3ページ)のところで、
6つの投資対象の
「騰落率」を示すだけでなく、
為替の影響度について、
詳述してほしいと思います。
たとえば、
【外国株式】の騰落率 プラス19%
株式そのものの収益 プラス26%
為替差損 マイナス7%
(期間の騰落率) プラス19%
のように・・。
なぜなら、
当該ファンドは
約9割が「外貨建て資産」であり、
ファンド保有者は、
為替の変動が
収益にどの程度影響しているかへの
関心が高いと思われるからです。
<気になるところ>
〇 運用会社(三井住友トラスト・
アセットマネジメント)の戦略が見えにくい。
換言すると、
「世界経済インデックスファンド」の
【立ち位置】が分かりにくいのです。
同社はつみたてNISAを想定してか、
昨年8月に
「SMT 世界経済インデックス・オープン」を
設定しています。
このファンドは、
「世界経済インデックスファンド」と
ほぼ同じコンセプトなのですが、
微妙に配分割合が異なります。

仮に、
「SMT 世界経済インデックス・オープン」の
運用管理費用を超低コストにするなら、
意気込みも感じるところですが、
「世界経済イ・ファンド」に
遠慮しているのか、
同じ運用管理費用(年0.54%)
となっています。(よく、分からない・・)
同じようなモノがふたつ並んでいるのは、
なんとも「もったいない」印象です。
また、
販路拡大という面で、
iDeCO(個人型確定拠出年金)は
重要ですが、
同じマザーファンドを持つ
「DC世界経済インデックスファンド」が
あるからでしょうか、
「世界経済インデックスファンド」は
iDeCOでは扱いがないようです。
(つみたてNISAには選ばれていますが・・)
直球的なネーミング、
分かりやすいコンセプトを持つ
当該ファンドは
まだまだその潜在可能性に比べて、
【上手にアピールされている】とは言えません。
運用会社さんには、
SBI証券、楽天証券とも、
1月度【投信積立・設定件数】で
「第8位」になっている事実を、
―つまりは、多くの地味で真面目な
【ファンド保有者】が存在していることを―
今一度噛みしめてもらいたいと思います。
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菟道りんたろうさん
【新興国が素晴らしいパフォーマンス
―「世界経済インデックスファンド」の第9期運用報告書を読む】
じゅん@さん
【世界経済インデックスファンド 第9期運用報告書(2018年1月) 】

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