『FTSE 世界国債インデックス』って何のこと?
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
どうも「債券」を勘違いしている人が多いようです。
〇 かなり絞り込んでいる・・
〇 よりリスクを負っている・・
そういう自覚があまりないまま、
『ひとつの銘柄』として
なんとなく南アフリカ共和国の国債を
買ってしまったりしているのです(-_-;)
南アフリカだけではありません。
たとえば、一銘柄として
7 年満期の「オーストラリアドル建て債券」を買うことは、
(株式でいうところの)
個別銘柄を買うのと同じです。
具体例を挙げてみましょう。
「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」という
投資信託があります。
これって正確にいうと、
【先進国債券】ではなく、
【世界主要国の債券(国債)】なのです。
なぜなら、
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスが連動を目指す、
『FTSE 世界国債インデックス(除く日本)』は、
↑フッチィーと読みます。
新興国の国債も組み入れているためです。
今現在、日本も含んだ場合の
『FTSE 世界国債インデックス』の
国・地域別の組入れ比率は?
〇 アメリカ 38.38%
〇 西ヨーロッパ 30.69%
〇 イギリス 5.22%
〇 日本 19.29%
〇 その他 6.43%
となっています。

その他には、オーストラリア、カナダ、
マレーシア、メキシコ、ポーランド、シンガポール、
南アフリカなどが含まれます。
そう、マレーシア、メキシコ、ポーランド、
南アフリカといった「新興国の国債」も
組み入れられているのです。
あっ、申し忘れましたが、
この『FTSE 世界国債インデックス』は、
かつて『シティグループ世界国債インデックス』と呼ばれていました。
2017年にシティが指数事業を売却したために
現在の『FTSE 世界国債インデックス』に変更になっています。
(もちろん指数の連続性は維持されています)
次に、
『FTSE 世界国債インデックス』の格付けですが、
〇 AAA が 11.4%
〇 AA が 55.2%
〇 A は 26.04%
〇 BBB が 7.36% となっています。
(もちろん、すべて投資適格債券です)
ただし、
昨今は世界的な超低金利が続いており、
投資対象としての債券の魅力は減るばかりです。
なので、組み入れない?
・・たとえば株式の場合、
高値圏にあるからといって
購入をやめてしまうのでしょうか?
債券を何割持つ、
株式を何割持つという「ポートフォリオ」は
あなた自身の骨太方針であり、
仮に債券価格が下がっていき、
債券の比率が下がれば、
定期の『リ・バランス』でもとの割合に戻す。
ただそれを行うだけです。
株式がこれから先、
どのような軌跡を描くか分からないように、
債券(また金利)の動き方も所詮分かりません。
もうひとつ実例を。
「外国債券インデックスファンド」という、
同じ「FTSE 世界国債インデックス」との連動を
目指す投資信託があります。
こちらは 2001 年の設定。
すでに18年以上の運用履歴を誇ります。
(運用会社は
三井住友トラスト・アセットマネジメント)
この外国債券インデックスファンドの、
18 年間の騰落率は?
およそ113%!
年率リターンでいえば「4%」程度になります。
債券のリターンでいうと、
少し「出来過ぎ」ですね。
ただし、当ファンドはただ漫然と
運用を続けてきたわけではありません。
「FTSE 世界国債インデックス」という物差しが、
【組入れ銘柄(国債)】だけでなく
【組入れ国】も変遷させてきたため、
そこそこ激動の「18年間」だったのです・・。

たとえば、
〇 ギリシャ、ポルトガルは指数から姿を消しました。
〇 マレーシア、ポーランド、南アフリカなどが
新たに組み入れられるようになりました。
国ごとの国債を注意深くみると、
『金利の上下』のしかたはまちまちの部分があり、
また『為替レートの動き』も
相対的でかつ不規則でありました。
たとえば
円という通貨ベースから見ると、
2006~2007年と、
2013年以降の円安トレンド、
また、2011~12年の超円高トレンドという
両極端を、幾度も経験しています。
債券という資産は、
金利の変動、そして、為替の変動に
その『収益』が大きく左右されるだけに、
一個の銘柄のみを買うのは戦術として正しくないのです。
広く銘柄を分散させ、
国も地域も、そして通貨も
分けて持つのが鉄則なのです。
最後に、
「FTSE 世界国債インデックス」(日本含む)の
ファクトシートはこちらです。※英語になります。

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