第10回『お客様からの質問コーナー』(アメリカの長期国債の価格は、どのように動くのですか?)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
当オフィスのお客様から頂戴した
さまざまな『ご質問』に回答していく、
『お客様からの質問コーナー!』
第10回!
片岡 尚也 さま(仮名)50代 神奈川県
【質問!】
カンさん、ご無沙汰しています。
アメリカの長期債券、例えば30年物の国債の価格は、
何を要因として動くのかを教えて下さい。
短期の国債は、FFレートで金利が決まり、
それに伴い価格が決まることは分かりますが、
長期の国債だとその値段の決まり方が分かりません。
市場参加者の景気の予想に伴う
需給で決まると考えてよいのでしょうか?
片岡さん、ご質問ありがとうございます!
まずは「教科書的」な確認から・・。
元来、中央銀行が
金融政策として行ってきたのは、
『短期金利の誘導』です。
・・景気が悪い時)
政策金利 = 短期金利を引き下げ、景気の浮上を目指す。
・・景気が過熱している時)
政策金利 = 短期金利を引き上げて、景気の熱を冷ます。

ただ(アメリカを例に挙げますが、)
短期の国債は
FFレート(米国の政策金利)のみで、
その価格と利回りが
自動的に決まるわけではありません。
これも「教科書的」な言い回しとなりますが、
中央銀行は、
『金融政策』の変更を通じて、
マーケットの短期金利水準に
働きかけてきたに過ぎないのです・・。
具体的に言いますと、
満期が1年未満の『短期国債』も、
機関投資家によって
市場で売り買いされ、
その価格が常に変動しています。
折しも本日(28日)の豊島逸夫さんのブログには
以下の文言が・・。
以下、引用)
米国債は3か月物から30年債まで、
全ての利回りが
FFレート(米政策金利)を下回るという
「金利沈没」現象が不安感を煽る。
引用、終わり)
ちなみに以下、
最新の米国国債の価格と利回りです。

画像元:Bloomberg United States Rates & Bonds
では、どうして
国債の利回りは、
中央銀行の『金融政策』によって
自動的に決まってしまうという印象を、
私たちは持つようになったのでしょう?
それは先進各国の中央銀行が
(まさに異次元というべき)
『非伝統的』な金融政策を
行うようになったためなのです。
リーマンショック後、
先進各国の中央銀行は
景気浮揚のために、
短期国債だけでなく、
長期国債も含めた『買入れ』を通じ、
長期金利までも含めて
金利をコントロールする政策に踏み出しました。
さあ、ここからですよ。
片岡さんのご質問に「教科書的」に答えますと、
長期国債の価格は、
市場参加者の売り買いによって日々変動します。

(株式と比べると、)
債券の世界では
〇 数は少ないが、
〇 莫大な資金を有する機関投資家が、
国債の売り買いを担っているのです。
意外に思われるかもしれませんが、
株式より、
債券のほうがマーケットとしては
いまだ大きいのです。
(おおむね株式市場の倍の大きさを
債券市場は有しているとお考えください。)
ただし、現在では
中央銀行という
【巨大な買い手】が出現しています。
たとえば、
ドイツ10年もの国債の利回りが
「マイナス0.6%」になっても
機関投資家がこれを喜んで買うのは、
中央銀行が(それを)買ってくれるという
安心感があるためなのです。
そう、中央銀行の存在が
長期国債の健全な価格形成を妨げているわけです。
(・・きわめて、異常な事態です(汗)
片岡さんの今回のご質問は、
先進各国の、
異次元の金融政策を理解する上で
たいへん有意義だったと思います。
(ご質問ありがとうございました!)
〇 こちらの記事もご参考に!
【デンマークの銀行がマイナス金利の住宅ローンを提供(期間10年)】

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