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成功報酬がないのに、本当に満足度は高いのか?(バンガード社探訪記)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

バンガード社は1975年の暮れに
世界ではじめて個人投資家向けに
インデックス・ファンドの運用を始めました。

知識として「なんかすごい会社なんだろうな・・」
ということは薄々感じられても、
この会社が【実践してきたこと】の本当の意義は、
時代背景をイメージしないとなかなか理解できないと思います。

すべての運用が「アクティブ」であった時代に、
市場平均との連動を目指す金融ツールを作り出し
直接販売することが、
いかに「たまげたこと」だったか・・。

バンガード社が運用を始めた
「バンガード500インデックス・ファンド」は当時、
「ボーグルの愚行」あるいは
「共産主義者!」という言葉で揶揄されたくらいなのです。

どんな職人気質の会社にも存在する、
「俺たちは独自の技術、商品でもって時代を作ってきたんだ」
という自負・気概が、バンガード社にも存在します。


ところで、このコラムをお読みのあなたは、
バンガードの顧客は大部分が「個人投資家」である、
とイメージされているかもしれません。

それは一面では当たっていますが、
別の面では違っています。

たとえば、確定拠出年金(401Kプラン)では、
実際に投資信託を買っているのは個人ですが、
バンガード社にとっての顧客は「企業」です。

たとえば、純粋な意味でいう機関投資家、
そして、確定拠出年金の導入企業、

また、アドバイザーを通じて
バンガードの商品を購入する投資家も広く
「機関投資家等」に含めると、

約2兆ドルのトータル運用資産のうち、
「純粋な個人投資家」
(いやゆるダイレクトに購入している人たち)は
およそ43%、

そして、「機関投資家等」が
約67%の資産残高比率となります。

また、
この43%の「純粋な個人投資家」の資産の
残高ベースでおよそ45%を占めているのは、
なんと預かり資産100万ドル以上の
富裕層の投資家」なのです。

(これはわたし自身意外でした・・。そして、
「富裕層の投資家」の約半分は75歳以上です)


バンガード社では、
個人顧客を4つにカテゴライズしています。
まず、預かり資産が5万ドルまでの
「Personal Investor」と「その他」で大きな違いがあります。

「Personal Investor」
(授業の中では「Core」という表現されていた)では、
口座管理手数料として年20ドルが必要ですが、
「その他」では必要ありません。

「その他」に該当する
3つのカテゴリーのサービスは、
具体的には

「Voyager Services」
「Voyager Select Services」
「Flagship Services」と名付けられています。
詳細についてはバンガード社のサイトにも載っています。


「Voyager Services」は
預かり資産5万ドルから50万ドル

「Voyager Select Services」は
預かり資産50万ドルから100万ドルまで。

「Flagship Services」は、
預かり資産100万ドル以上となっています。
(実はこの「Flagship Services」も
さらに細分化されているのですがここでは割愛します)

「なるほどなあ・・」と思ったのは、
「Voyager Select Services」と「Flagship Services」では、
CFPの資格を持ったファイナンシャルプランナーの
アドバイスが無料で受けられる点です。

また、書面交付がある「ファイナンシャルプラン
作成サービスも無料で受けられます。

(CFPによるアドバイスは
「Core」「Voyager Services」では受けられません・・。

また、「Core」「Voyager Services」で
「ファイナンシャルプラン」作成サービスを受けようとすると、
それぞれ1000ドル、250ドルの費用がかかります・・)

つまり、あのバンガードでも、
預かり資産によって
顧客のサービスに【】を付けているわけです。


ところで、バンガード社の根底には
【低コスト】という哲学がありますが、
もうひとつ、わたしが感じたのは【自社運営】ということです。

コールセンターも本社の中にあり、
バンガードの社員が電話に応対します。
(電話がすべて塞がっている場合は、
コールセンターの職員以外も電話に出るのだそう..)

印刷工場も自社で持っており、社員が働いています。
その他、データセンターも自社で保有しており、
―実際に見学させてもらったのですが
最新鋭のサーバーが何十台も並んでいましたー

またR&D(研究開発センター)も
本社に併設されています。

先ほどご紹介した
CFPによる運用アドバイスのお話に戻りますと、
すべてのアドバイザーはもちろんバンガードの社員です。

これだけ大規模な会社になると、
様々なサービスを「自前」で運営したほうが、
結局のところコスト削減につながるのでしょうが、

○ それよりも、
サービスの質を維持・向上させたい、
また、顧客情報を、
責任を持って管理したいという気持ちが
【自社運営】にこだわる理由ではないかと感じました。

(※ 印刷工場で聞いた話では、
すべての印刷を外注する場合と比べて
年間110万ドル程度のコスト削減になっているそう…)


繰り返しCFPによる運用アドバイスの話になりますが、
個々のアドバイザーに
成功報酬のインセンティブ」はありません・・。

運用アドバイスは主に電話によって行われるのですが、
そのアドバイスで
顧客が新たにファンドやETFを購入しても、
社員であるアドバイザーの報酬には直接結び付かないのです。


さらにサービスの深い部分に入っていきましょう。
バンガード社でもいわゆる「ラップ口座」のサービスがあり、

これは、
「Voyager Select Services」と「Flagship Services」の
顧客が対象なのですが、

先ほどの運用アドバイスとは違い、
アドバイザーが具体的にポートフォリオを組み、
当てはめるファンド、ETFについても助言します。

(こちらはまさに「投資助言サービス」かつ、
「資産管理サービス」に当てはまるでしょう・・)

これはもちろん有料サービスであり、
Vanguard Asset Management Services」と呼ばれます。

手数料(フィー)は預かり資産の総額に対して
0.7%、0.35%、0.2%%となっており、
預かり資産が多いほど、
フィーのパーセンテージが低くなります。

このサービスには、
CFPの資格を持ったアドバイザーが180名ほどいて、
顧客に対して具体的に投資助言を行っているのですが、
(もちろん全員バンガードの社員です、)

これらアドバイザーの人たちにも、
「成功報酬のインセンティブ」は、ないそうです
(これが・もっとも・意外でした)

アメリカの会社で?
しかも、資産運用の会社で・・?

なんだかまるで、
昔気質の日本の会社のようではありませんか。


自分の報酬が増える、ということ以外で、
自身の仕事に誇りを持てる、
あるいは、この会社で働き続けたい、と真に思えるのか・・、

んー、この「答え」って、逆に
私たちの両親世代が知っているような気がしますが、

とにかくバンガード社では、
お金が多くもらえるということ以外に、
仕事に対する満足度がどこかに存在するのだ、
ということが分かった次第です。

バンガード船

(会社の至るところに船の模型、絵が飾ってありました・・)




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| 2012年 バンガード社探訪記 | 15:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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