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バンガードさん、どうして世界進出しないのですか?(バンガード社探訪記)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

バンガード社視察ツアー、
2日間の講義で印象的だったのは、
講師の方に「十分な質問時間」を取っていただけたことです。

それも、講義の最後に
「質問ないですか?」という形ではなく、
お話の途中で、まさに今、

話されたトピックについて質問が出来たので、
その点、とても良かったです。

また、それとは別に、
事前に「文章での質問」も受け付けてくれました。

たとえば、
弊所のコンサルティングでもしばしば話題に上る
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
という「世界株式ETF」があります。

このETFは文字通り、
日本を含む先進国、新興国の株式に網羅的に
投資を行う金融ツールなのですが、

去年の12月より当ETFが連動を目指す「指数」が
【FTSEグローバル・オールキャップ指数】に
変更されました。

それってなぜ??」
ということを質問してみたのです。

回答)

FTSEグローバル・オールキャップ指数では
より広範な「分散」が可能になる。
従前の指数では「小型株」をカバーしていなかったが、
当該指数ではおよそ12%、小型株に投資を行うことになる。

さらに、当該指数では
(従前指数に比べて)カバーできる会社が約4500社増える。

(※ たしかに日本語サイトを見てみると、
構成銘柄数は従来の2,927銘柄から
7,400銘柄超と増加しています、と記載されている・・)

つまり、連動を目指す指数を変更することで、
【トータル・ワールド・ストック】(すべての世界株式)
という、当ETFのコンセプトにより近づいたよ、
ということなのでしょう。

このように、バンガードという会社は
【基本のルール】を重んじます。
自社の【理念】に本当に忠実です・・。

○ この、真面目さ、よい意味での頑なさが、
たとえば、
ETFマーケットへの参入を遅らせた面があると
わたしは思います。

米国初のETFが登場したのが1993年のこと。
(スパイダーS&P500 ETF)
また、1996年には、
BGI(バークレイズ・グローバル・インベスターズ)が、

WEBS (World Equity Benchmark Shares)という
外国株式ETFの運用を開始します。
(正確にはモルガンスタンレーのETF運用部門から
譲り受けたものですが・・)

そして、バンガードのETF参入は・・
2001年でした。

バンガード社の投資理念は、
ズバリ【低コスト】【分散】【長期投資】です。
これはまさに、バンガード社の【看板】です。

ところがETFは
株式市場に上場する「銘柄」でもあるため、
トレード(取引)の道具になってしまう可能性がある、

(つまり、長期投資が阻害される恐れがあるとして)
バンガードの上層部は当初参入に難色を示したのだとか・・。

また、インデックス・ファンドの分野において
「圧倒的な成功」を収めていたからこそ、
ETFマーケットへの参入が遅れた可能性もあります。

私見ですが、バンガード社がもう少し早く
ETFビジネスに参入していれば、
今のシェア(数字)は
だいぶ違っていたのではないかと思います。

バンガード社の行動規範は、
よい意味で「慎重」であり「保守的」です。

実は、わたしは
【海外進出】においても、
バンガード社の性格が如実に表れていると思います。

金融会社であれ、アパレル会社であれ、
食品会社であれ、自分たちが作るものが
「本当に良いもの」なら、
目指すべきところは、
「できるだけ多くの人にその商品を届けること。」

すなわち【世界進出】であるはずです。

たとえば、バンガードのETFは、
カナダ、イギリス、
オーストラリア等には上場していますが、
まだ、世界進出という意味では緒についたばかりでしょう。

(バンガード社は現在、13,000人以上の社員がいますが、
海外の社員数は数百人程度なのだそう・・)

たしかに、米国で圧倒的な支持を得、
純資産額も順調に成長している
【国内企業】としてのバンガードは、
リスクを取って「海外進出」する必要性は低いのかもしれません。

それに、バンガード社は、
ファンド保有者が会社を保有する独特の会社形態により、
顧客第一主義」を徹底的に実践しています。

リスクがある海外マーケットへの本格進出に、
慎重になるのも当然でしょう。

(リスクを取って大々的に投資し、
万一「海外進出」がうまくいかなかったら、
これは「顧客の不利益」になってしまいます・・)

しかし、資産運用業とは、
文字通り【規模の商売】です。

バンガード社自身「規模の利益」をもって、
米国で圧倒的な低コスト体系を構築することができました。

(1975年時点で0.89%だった年間経費率が、
2011年には0.20%まで下がったのです。
※ バンガードが運用するすべての投資信託、ETFの平均値)

「規模の利益」がすなわち
「顧客の利益」にもつながってきたわけですから、

【世界進出】も、
バンガードブランドを世界に知らしめ、
「さらなる規模の利益」⇒「さらなる低コスト経営」への
道すじと捉えるべきではないでしょうか。

わたしはどうも
「国内企業」としてのバンガード社の成功が、
「世界進出」を妨げている面があるのではないかと思っています。

あくまで一消費者の立場から申し上げますよ。

圧倒的に支持されている、
アメリカのブランド企業で、本格的な「海外進出」を
目論まない会社が果たしてあるでしょうか・・。

たしかにETFに関して申し上げると、
各国の市場の中では、

国内の運用会社が組成する
国内株式のETFが大きなシェアを占めており、
まだまだマーケットとしては未成熟なところが多いです。

しかしながら、
金融商品も、化粧品や飲料や家具や、
お酒や帽子やソフトウェアと同じで、
今や、世界中の消費者が求めるプロダクト」です。

冒頭に記した「事前の質問」の中に、
バンガードETFの香港市場上場の時期について
訊ねた箇所があるのですが、

バンガード社の回答は、
「現在プロダクトや時期等を検討している段階で具体的な時期は未定です。」というものでした。

また、日本市場へのバンガードETFの上場可能性については、

「バンガード・インベストメンツ・ジャパンとしては、日本の個人投資家の資産形成に役立つと思われるETFについて、選別的に、金融庁への届出を行っていく計画です。」という、当たり障りのない回答が得られたのみです。

バンガード社が米国国内企業に留まるのか、
それとも(文字通り)世界ブランドになるのか、
その分水嶺は、
意外と遠くない時期に訪れるのではないでしょうか・・。

バンガード社

写真はバンガードツアー(講義)スタート時の様子

追記)

誤解がないように申し上げておくと、
今回の「視察ツアー」は自費での参加です。
往復の旅費、宿泊費等は
それぞれ参加者が自身で支払っております。

(講義そのもの、一日目のウェルカムディナー等は
バンガード社の負担でした・・。ありがとうございました!)

全額お抱えのツアーでないので、
逆に安心して参加できた、という面があります。
(いずれにしても好きな会社なので、
ついつい辛口になってしまうのです..(^^ゞ)




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| 2012年 バンガード社探訪記 | 13:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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