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ETFをめぐる苛烈な戦い?(証券会社 VS. 運用会社 VS. 指数提供会社)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

ETFを巡る主導権争いといいますか、
仁義なき戦いが米国では巻き起こっています。

以前、このコラムで、
ETF取引の【窓口争い】のお話をしました。

ETFの運用会社が「証券会社」を兼ね、
多くの投資家の窓口になろうとする一方、
証券会社が「ETFの運用会社」を兼ね、
顧客の囲い込みを図ろうとしています。

(それだけETFがホットな金融商品となっているのです)

一方、運用会社指数提供会社間の
【主導権争い】も熾烈です。

ETFは
「特定の指数」との連動を目差す商品ですから、
ETFの組成・運用に「指数」は不可欠です。

(なんと言いますか、
ETFにとって指数とは【帽子】のようなものなのです)

たとえば、
同じ新興国株式ETFという図体でも、
MSCIエマージングマーケット指数という
【帽子】を被っているのか、

FTSEエマージング指数という
【帽子】を被っているのかによって、
ETFそのものの
「中身」「見え方」が違ってきます。

これはビジネス的な話になりますが、
ETFが運用を行う際、

連動を目差す「指数」を算出、管理している
【指数提供会社】に対して、
「その指数を継続して使わしてもらいますね」
ということで、
ライセンス料」を支払う必要があるのです。

これが、ETFマーケットが大きくなるに従って
とても大きなビジネスに変貌しているのです。
(特に指数提供会社にとって!)

ETFを運用している新興の会社は、
【指数提供会社】に「ライセンス料」を払っていたら
採算合わないよ、ということで、
(もちろん独自色を出す戦略もあって)


たとえば、WisdomTree や、
Market Vectors のようなETF運用会社は、

自分たちで「独自の指数」を算出して、
それを自分たちのETF運用に生かしています。
(自社開発すれば「ライセンス料」を払う必要が
なくなりますよね・・)

WisdomTreeやMarket Vectorsなどの
「ブティック型の運用会社」なら、
上記のような対応が出来ますが、

i シェアーズ、スパイダー、バンガードのような
大手ETF運用会社は、
取扱うETFも多岐にわたっているため、

外部の【指数提供会社】との
健全な関係作りが必要になってきます。
(つまりそこには、
運用会社と指数提供会社の駆け引きが存在するのです)


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・・・と、前置きが長くなりましたが、
そんな中、

バンガード社がインデックス・ファンド22本
(ETFを含む全シェア・クラス)の【ベンチマーク】、
つまり使用する「指数」を変更することとなりました。
(これはとても大きなニュースです!)

詳細についてはコチラからどうぞ。

ここでは日本で登録済みのETF、
ファンドのみについて記載します。

ベンチマークをFTSEに変更するファンド
・バンガード・MSCI・ヨーロッパETF(VGK)
現行のMSCIベンチマーク
MSCIヨーロッパ指数
変更後のFTSEベンチマーク
FTSEディベロップド・ヨーロッパ指数

・バンガード・MSCI・パシフィックETF(VPL)
現行のMSCIベンチマーク
MSCIパシフィック指数
変更後のFTSEベンチマーク
FTSEディベロップド・アジア・パシフィック指数

・バンガード・MSCI・エマージング・マーケッツETF
(VWO)
現行のMSCIベンチマーク
MSCIエマージング・マーケッツ指数
変更後のFTSEベンチマーク
FTSEエマージング指数

ベンチマークをCRSPに変更するファンド
・バンガード・トータル・ストック・マーケット・
インデックス・ファンド、および バンガード・トータル・
ストック・マーケットETF(VTI)

現行のMSCIベンチマーク
MSCI USブロード・マーケット指数
変更後のCRSPベンチマーク
CRSP USトータルマーケット指数

・バンガード・スモールキャップ・インデックス・
ファンド、および
バンガード・スモールキャップETF(VB)

現行のMSCIベンチマーク
MSCI USスモールキャップ1750指数
変更後のCRSPベンチマーク
CRSP USスモールキャップ指数


「あのおー、カンさん。
採用する指数が変わるって、そんなに大したことなの?」

はい、大したことです
ETFが被る【帽子】が、変わってしまいますから・・。

ここでは、
バンガード・MSCIエマージングマーケッツETF
(VWO)にフォーカスしたいと思いますが、

まず、運用会社のバンガードの立場から見てみると・・。

顧客のために「低コスト」を貫くことが
同社の理念ですから、

MSCIの「ライセンス料」が高かったことが
ETF運営の大きなネックになっていたのでしょう。
結果、FTSEの指数にチェンジすることに・・。

(バンガードはライセンス料の支払いを安定させるため、
FTSEと長期の契約を結んだようです..)

(これはわたしの私見ですが、
MSCI指数そのものに不満があったわけではないと
思います..)

一方、MSCI社にとっては・・・。
大きな打撃でしょう。


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VWOは2012年で見ると、
世界中でもっとも資金流入が多いETFであり、
純資産残高も世界第3位となっています。
(いわば超メジャーなETFなのです)

実際、このニュースを受けて
MSCI社の株式が急落したのだとか・・。

(バンガードが最終的に
MSCI社の指数をすべて外すことになれば、
その影響は甚大になります..)

さて、ここで整理しておきましょう。
同じ「新興国株式ETF」という図体でも、

MSCIエマージングマーケット指数という
【帽子】を被っているのが、
iシェアーズMSCI エマージングマーケット・
インデックスファンド(EEM)
です。

(まったく私見ですが、MSCI社は
iシェアーズに対して、
「指数を変えたりしませんよね?大丈夫ですね」
と確認の会合を開いているのではないでしょうか..)

今回、FTSEエマージング指数という
【帽子】を被ることになった
バンガード・MSCIエマージングマーケッツETF
(VWO)


そして、
スパイダー(SPDR)の新興国株式なのですが、

これは、
S&PエマージングBMI指数という【帽子】を被る
スパイダーS&P 新興国株式 ETF (GMM)があります。
(楽天証券で購入可能です・・)

つまり、3本のETFとも、
違う【帽子】を被ることになったのです。

ということは・・、
3本のETFは違う「中身」となり、
(当然)リスク、リターンの様相も違ってきます。

三者三様ということは(換言すると、)
【指数提供会社】と【運用会社】間で、
健全な競争が働いている証左でもある、
ということではないでしょうか..。

さて、指数そのもので言いますと、
いちばん「大きな違い」は、

FTSEエマージング指数と
S&PエマージングBMI指数では、
韓国が入っていません。】
(韓国は先進国の扱いです..)

一方、MSCIエマージングマーケット指数では
韓国が入っています。】

(ちなみにIMF、世界銀行もすでに
韓国は先進国の扱いとなっています...)

その他、FTSEエマージング指数には
アラブ首長国連邦が入っています。
FTSEエマージング指数「ファクトシート

同じ投資対象でも、
採用する指数が違えば、
それはまったく【別の商品】となります。

採用指数が多様化し、
ETFの様相も多様化していく中で、

それぞれの特徴、
メリット、デメリットをしっかり説明できる
アドバイザーにならなければと、肝に銘じる次第です。

似顔絵




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COMMENT

Re: 意外に多いです

たしかに、指数の世界もとても広くて深いですね!

| カン・チュンド | 2012/10/11 08:01 | URL |

意外に多いです

WISDOM TREE社のようなファンダメンタル・インデックスを作る運用会社だと、配当加重平均、利益加重平均と言う独自のインデックスを作っていますね。VAN ECH社(MARKET VECTORS)の場合だとGAMING ETFのようにそもそもMSCI社にそんなベンチマークがあったのか?と思われるETFがあります。
細かい所を見てみると・・・ベンチマークが?の物は意外と見つかります。

| タカちゃん | 2012/10/10 22:12 | URL | ≫ EDIT














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