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ピクテ新興国インカム株式ファンドの例 ⇒ ファンド・オブ・ファンズ形式を悪用する毎月決算型ファンド


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

このブログを偶然目にした人の中で、
「毎月分配型」「毎月決算型」のファンドに

よい印象をお持ちの方がおられたら、
それは要、要注意ですよ・・。

一見良さそうな毎月分配型ファンドの仕組みを
裏で支えているのは、

「ファンド・オブ・ファンズ」形式という
禁断の方法かもしれないのです・・。


投信協会のホームページ、
「統計データ」のところを見ると、

「株式投信の新商品分類別内訳」という項目を
見ることが出来ます。

2013年5月末現在、新たに設定された
株式投資信託5兆円あまりのうち、

毎月決算型のファンドが
2兆6500億円あまり・・。

そして、ファンドオブファンズ形式のものが、
2兆円あまりあります。

これだけを見ると
「ふ~ん」で終わるのですが、

実は、
【毎月決算型のファンド】と
【ファンドオブファンズ】は、相思相愛の仲 です。


「具体例」を挙げてみましょう。

ピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型)
という投資信託があります。

その「月次レポート」(2013年5月31日現在)を
見てみましょう・・。

(※ 運用リポートは、
その投資信託の中身、実力がひと目で分かる大切な情報源です)

上記リポートの冒頭で、
このファンドの2つの特色が述べられています。

○「新興国の高配当利回りの株式に投資します」
○「毎月決算を行い、収益分配方針に基づき分配を行います」


このファンドは
2008年1月31日に運用をスタートさせていますが、

現在、1万口あたり
毎月「75円」の分配金を出しています。

この、毎月75円の分配金、
聞こえはよいですが、
そもそも、分配金の原資ってどこから出るのでしょう?

それは・・、

「ファンドが保有する
 新興国株式の配当や値上がり益です。」

(そうですよね?)


ところで、
新興国株式の配当や値上がり益って、
あらかじめ確定しているのですか?

「いいえ、残念ながら確定していません・・」

あれ??

そもそも、

○ 不確定なリターンを前提にして、
毎月確定した分配金を出すことには、
ムリが存在すると思いませんか?

ここ、大事なところですよ・・。


当該ファンドが保有する
新興国株式の配当や値上がり益の【範囲内】で
分配金を出していれば、

つまり、
ファンドが儲けた【範囲内】で
分配金を出していれば、

ファンドの基準価格は10,000円を
下回っていないはずですが、

実際は、
ファンドの価値の上昇分以上に
「分配金」を出し続けているので、

当該ファンドの基準価格は下がっています。

※7月5日現在、
当ファンドの基準価格は4,584円となっています。


また、ファンド運用会社に毎月
「分配金支払い」の仕事をさせることで、

結果として私たちファンド保有者は
割高な手数料(運用管理費用)を
支払うことになってしまいます。


しかし、この投資信託の
【真の問題点】はほかにあるのです。

月次レポート」の7ページを見ていただくと、

このファンドの
運用管理費用(信託報酬)が記載されています。

あれ?
「運用管理費用」の数字が2種類載っていますね。

○ 年1.2075% (税抜1.15%)
○ 最大年率1.9575% (税抜1.9%)程度

何ですか、これは・・?


それぞれの左側には、

○【運用管理費用】という言葉と、
○【実質的な負担】という言葉が記されています。

実質的な負担??

これこそ、
この投資信託が
「ファンド・オブ・ファンズ形式」である証拠です。


○ 実はピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型)は
そのファンドの中に、

「新興国ハイインカム株式ファンド」と
「ショートタームMMF JPY」という、

ふたつのファンドを内包した
「ファンド・オブ・ファンズ形式」なのです。


したがって、
当該ファンドそのものの運用管理費用(1.2075%)に加え、

内部で抱えている「新興国ハイインカム株式ファンド」と
「ショートタームMMF JPY」の
運用管理費用が別途かかるため


実質的な運用管理費用は
最大年率1.9575%程度になります。

さらに「月次レポート」では注意書きとして、

※この値はあくまでも目安であり、
ファンドの実際の投資信託証券の組入状況により変動します。
と記されています。


ちょっと
月次レポート」の1ページ目に帰ってみましょう。

【資産別構成比】のところをご覧ください。

当該ファンドの資産の約97.8%は
『新興国ハイインカム株式ファンド』に
投資を行っていますが、

『ショートタームMMF JPY』(いわゆる円建てMMF)には
わずか1.0%しか投資をしていません・・。

これって、意味あるのですか?


だって、そもそも
この投資信託は

「新興国の高配当利回りの株式に投資します」
と謳っているわけですし、

わざわざ運用管理費用が高くなる
「ファンド・オブ・ファンズ形式」にする理由が
まったく見当たりません・・。


この投資信託は、
そもそもどんなファンドでしたか?

毎月決算をして、
毎月「分配金」を出すファンド、でしたね。


○ 実は、
ほとんど意味のない「ショートタームMMF JPY」を組み入れ、

「ファンド・オブ・ファンズ形式」にしているのは、
分配金の原資を増やすためなのです

このファンドが悪質だと思うのは、
当該ファンドが内包する2つのファンド

『新興国ハイインカム株式ファンド』と
『ショートタームMMF JPY』を運用する会社も、
同じピクテグループの会社であるという点でしょう。

当該ファンド
「ピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型)」と、

その内部に組み込まれている2つのファンドの運用会社が
どちらも同じピクテグループだと、

手数料を(同じグループ内で)
二重に取ることが出来ますね。

実はこの投資信託の「投資信託説明書」の冒頭に、
次のようなキャッチコピーが刻まれています。

「毎月の分配に、新たな成長力を。」


嗚呼、開いた口が塞がりません・・。


○ 参照記事
モーニングスター朝倉智也さんのブログ記事
日本の運用業界は「運用力」ではなく「商品開発力」では世界一?

似顔絵




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| 投資信託をディープに理解する | 12:45 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

Re: タイトルなし

以下、おっしゃる通りだと思います。
相手(消費者)が知らないので、ズルをしている印象が否めません。
> 毎月決算型であろうがなかろうが、この手の信託報酬二重取りはあくどいということでいいんじゃないでしょうか。

| カン・チュンド | 2013/07/07 18:55 | URL |

無分配型ファンド(あるいは、年1回分配で実質無分配のタイプ)で、この手の信託報酬二重取りをするあくどいやつはないんでしょうかね。
毎月決算型なら、二重取りしてても、特別分配金で元本を少しずつでも返金するという最小限の良心を発揮してるといえますけど。
無分配型ファンドで二重取りなら、それすらせずにひたすら資産を食い潰してるわけで、よりあくどいともいえます(マイナスの複利効果が効いてくるでしょうし)。

記事のタイトルも内容も、「毎月決算型」だけを貶めるような不当な印象操作のように見えました。
毎月決算型であろうがなかろうが、この手の信託報酬二重取りはあくどいということでいいんじゃないでしょうか。

| | 2013/07/07 13:03 | URL |














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