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海外ファンドを長期で積み立てることが流行っているようですが、ズバリどうなのですか? その2)


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

いわゆる伝統的な投資手法ではない
【オルタナティブ投資】について、

わたしが本格的に知るようになったのは、
(実は)弊所のお客様を通じてでした。

「カンさん。すごいファンドがあるんだよ・・」
ということで、

はじめて
「Man AHL Diversified Futures Ltd」という
海外ファンドの存在を知りました。

(今から10年以上前のことです・・)

そのお客様は香港に在住する日本人の
IFAから上記ファンドを購入している
とおっしゃっていました。


世の中では俗に
「ヘッジファンド」と呼ばれますが、

○ 要は【市場の歪み】を
システマティックに捉えて、
そこから収益を得ようという「投資手法」のことなのです。

「Man AHL Diversified Futures Ltd」の場合、
さまざまなアセットクラスに対して、
(株式、債券、金利、先物、オプション、転換社債など)

空売りや裁定取引、
グローバルマクロなどの戦略をとることで、

マーケットリスクを抑えながら、
リターン獲得を目指しています。


(その後、よく調べてみると、
わたしが口座を持つ香港のBOOM証券でも
上記ファンドを取り扱っていることが分かりました・・)

さっそく「Man AHL Diversified Futures Ltd」の
ファクトシートを覗いてみましょう。
こちらです(PDFファイル)

とにかく、過去の成績はすごい・・。

当該ファンドは1998年に運用を開始していますが、
年率のリターンは+11.2%です!

しかし、話の本題はここからです・・。


仮に仲川さんが
「海外ファンド」を検討していて、
IFAとか投資助言会社の担当者の人から、

「海外ファンドは
マーケットがどんな状況にあっても、
安定的にプラスのリターンを出してくれるんですよ」

みたいなニュアンスで、
ファンドの説明をされているとしたら、
ちょっと注意が必要でしょう・・。

○(常識的に考えて)過去も、未来も、
完全無欠である金融商品なんて、
ほとんど存在しませんから・・。


(あくまで一例ですが・・)
年率+11.2%のリターンを叩き出している
「Man AHL Diversified Futures Ltd」ですら、

リーマンショックの余波が
轟々と響いていた2009年のリターンは
-16.4%でした・・。

ファクトシートの3ページをご覧ください。

年別、月別の【結果リターン】が載っていますね。

直近で見ますと、当該ファンドは
2011年からは3年連続でマイナスの成績となっています。

(要するに、いい年もあれば、悪い年もあるのです


特に、市場の歪みを突く
「ヘッジファンド」の場合、

1.市場の歪みの発生状況
2.その歪みにどの程度、
競合のファンド資金が殺到しているか

3.また、ファンド自体が機動的に動ける資金規模かどうか


など、さまざまな「要因」が
ファンドのリターンに影響を与えます。

(また、2010年には有効だった戦略が、
2014年も同じように有効であるとは限らないのです・・)


月並みですが、

公募の投資信託であろうが、
海外ファンドであろうが・・、
【未来のリターンは、不確定なのですね


それと、
年率+11.2%のリターンを叩き出している
「海外ファンド」があることは事実ですが、

総体としての海外ファンドの【成績】は、
格上げされて伝わっている可能性が 強いです。

えっ??

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その1)でお話ししたように、
海外ファンドはそもそもセミプロ向けに作られた
「私募ファンド」であるため、

情報開示に限りがあります・・。

たとえば、2012年に設定した
「ABCヘッジファンド」があるとしましょう。

(あくまで架空の話です・・)

このファンドは運用成績が振るわず、
結局、10ヶ月程度でクローズされてしまいました。

しかし、この「早く死んでしまったファンド」は、
レコード(記録)に残りません。


いや、そもそも私募ファンドですので、
レコードに残す必要がないのです。

そういう情報開示は、
(もともと)求められていないのです。


仮に、海外ファンドが1000本存在するとして、
過去10年を振り返ってみると、

その【平均・結果リターン】が年+11%だった
と仮定しましょう・・。


どこかで上記のような
【宣伝文句】を目にしたとしても、

それは、「生き残った海外ファンドのうちで」
過去10年の平均を取ると+11%のリターンでした、
という【事実】に過ぎません。


じゃあ、「死んでしまったファンド」は??

「死んでしまったファンド」は、
そもそも(平均に)カウントされないのです・・。


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このように、
【生き残ったファンド】のみで
過去のリスク・リターンが計測され、

過去のパフォーマンスそのものが
過大評価されてしまうことを、

米国では
サバイバーシップ・バイアス(survivorship bias)
と呼んでいます。

(海外ファンドに投資を検討している人は、
この「サバイバーシップ・バイアス」の存在について
知っておくべきでしょう・・)


もう一度、

公募の投資信託であろうが、
海外ファンドであろうが・・、
【未来のリターンは、不確定なのです】

に戻ってみましょう。


投資の基本の「き」のところですが、
未来のリターンが不確定であるに対し、

コストは「確定事項」です。

この手数料という【マイナスリターン要素】を
いかにコントロールするか、あるいはしないかで、

投資に対する「基本姿勢」が変わってきます。

今一度、
「Man AHL Diversified Futures Ltd」の
ファクトシート(4ページ)をご覧いただくと、

Management fee【継続コスト】は
3% と記されています。

(ほかに成功報酬として 20%という数字も見えます)
けっこう大きなコストですね・・。

この、Management feeは、
当該ファンドを保有する限り、
ずーっとかかってくるコストです。

仮に、投資助言会社を窓口に、
いくつかの「海外ファンド」に投資を行う場合、

ファンドのManagement fee(継続コスト)にプラスして、
投資助言会社に投資助言料を継続して支払う必要があります。


これは私見ですが、
さまざまな投資対象の海外ファンドで
ポートフォリオを組んだとしても、

年間の【継続コスト】として、
仮に3~4%も手数料がかかる「スキーム」だとすれば、

長期の資産形成にふさわしい仕組みであるとは
わたしには、到底思えません・・。

毎年、3~4%の「マイナスリターン」のハードルが
目の前にそびえているのですから・・



ちなみに、日本国内に上場するETFで
以下のようなポートフォリオを作り
自身で運用を行うと・・、

ポートフォリオ全体の
継続コスト(信託報酬)は
おおよそ0.35%程度で済みます・・。

(下記銘柄コード、
先進国株は1581、新興国株は1582、
フロンティア株は1583、先進国債券は1677、
金ETFは1326という想定です・・)




似顔絵




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