『インデックス投資ナイト』 第3部はいかがでしたか?
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
昨日(1月11日)新宿のFACEにて
『第6回 インデックス投資ナイト』が開催されました。
毎年申し上げていますが、
このイベントは個人投資家の有志による
「手作りのイベント」です。
(出演者も全員、手弁当で参加しております)

このようなイベントが回を重ねて6回目を迎えたこと、
そして、今年から会場を400名収容の「大きな箱」に移して
盛大に開催できたこと自体、
(ホントに)素晴らしいことだと思います・・。
さて、わたくしは第3部
「新時代のインデックスvsアクティブ最終決戦」の
司会をさせていただきましたので、
こちらに絞ってお話をしたいと思います。
(1/2くらい、司会者の立場を忘れながら?)
4名のパネラーの皆さんのお話を興味深く伺えて、
(単刀直入に)面白かったです!!
第3部の概要は
『"いい投資"探検日誌 from 新所沢』のm@さんが
コチラでレポートされています(まずはご覧ください)
わたしは
「インデックスvsアクティブ」の論戦を
激しく!行うことには
大いなる意味があると思っています。
このような論戦を通じて、
少しでも多くの人が、投資信託そのもの、
そして資産運用に深く関心を持つ
「きっかけ」になると考えるためです・・。
まず、藤野さんが(アクティブファンドの運用者でありながら)
「90%のアクティブファンドはダメだ」と喝破されていました。
(驚き!)
これって、
日本の運用業界の問題の根深さを示すものだと思います。
(以下、m@さんの記事を随時引用させていただきます)
藤野:本当のアクティブが少ない。
インデックスに近い運用をしながら
アクティブの信託報酬をとっている。
ほとんど一緒なのに信託報酬が高い。そういうのが多い。
今井:今の会社に来る前に銀行系研究所にいた。
日本株旗艦ファンドを調べたが愕然とした。
アクティブリスクが低すぎる。
指数に対してどのくらい違う銘柄構成や値動きなのか?
あまりにく低かった。
インデックスファンドに近いファンドも多かった。
それで1.5%とるのはどうかと思った。
(※ アクティブリスクとは、そのアクティブファンドが
指数に対してどのくらい違う銘柄構成や値動きなのか?を
示す指標のこと)
平山:周りを見て運用する人が多いから。
競争相手は他社。
そうすると他人よりちょっとよければよい。大損したらやばい
んー、要するに、アクティブファンドの【評価軸】が
「他者と比べてどうか?」に偏ってしまっているのですね。
(相対評価!)
これってちょっと寂しいことです・・。
運用会社のほとんどが、
経営の自由度が制限される
大手金融グループの子会社(いわゆる「系列」)
であることが関係していると思います。
人と違っているのが
「アクティブのアクティブたるゆえん」だと思いますし、
それを目指すためには、
もっと独立系の運用会社が増えてしかるべきですね。
また、ファンドマネージャー、そして
運用チームの皆さんの【評価制度】【報酬制度】を
もっとインセンティブが働くような、
『仕組み』に変えていく必要があると思います。
(要は頑張った人が報われるしくみ!)
「インデックス派のカンさんが、なぜそんなこと云うの?」
とあなたは思われるかもしれません。
でも、これって
インデックス投資に大いに関係アリなのです。
健全なアクティブファンドが多数存在してはじめて、
健全なインデックスが存在するからです。
次に、今井さんに
『インデックス運用で楽しいことってあるんですか?』
と伺いました。(これ、ぜひ聞きたかったのです)
今井:自分は実はパッシブ運用をした経験がない。
そこで当社のFMに事前に聞いてきた。共通していたのが
エキサイティングではない。単調の繰り返しで。
大きなファンド、小さいファンド、
伸びている、伸びていないとある。
目立たないのをコツコツヤルのがいいという人も
注目をあびるのがいい人もプレッシャーでやだという声もある。
草食系志向がつよいひと・・
(やっぱり、あまり面白くないんだ・・)
そして、わたしも思わず苦笑いしたのが、
平山さんの発言です。
平山:アクティブのほうが人間っぽい濃い顔をしている
インデックスは平安時代のような人
飲みに行ったりまったくしません。宗教違いますから。
アクティブ ⇒ 人間っぽい濃い顔の人
インデックス ⇒ 平安時代のような人 ← 薄い顔?(笑)
(わたしって、平安時代っぽいですか・・?)
実は上記発言は、わたしが平山さんに
「インデックス運用している人と、アクティブ運用している人は、
夜、一緒に飲みに行ったりするのですか?」
と質問させていただいた回答の部分です・・。

続いて、藤野さんの「市場の非効率性のお話」も
興味深かったです・・。
藤野:アメリカ株はかつ自信が無い。効率的だから。
日本の場合はあと10年は勝てると思っている。
そこまで効率的でない。機関投資家の質が低い。
個別に会うといい人ががんじがらめの中で非効率的な運用をしている。
マーケットに巨大な非効率がある。
アメリカの本を見ると市場は効率的と書いてあるが、
日本を見るとそうであった時期はなかった。
しかもここ10年は非効率がつよまってきた。
藤野さんは、リーマンショックのあと、
小型株運用を行う人たちの90%が解雇され、
小型株にアクティブ投資する人がいなくなり、
そこに『非効率性の巨大な穴がある』と
発言されました。
また、投資信託業界では
もうひとつ『大きな問題』があります。
藤野さんの発言によると、
投信の販売部門に重点が置かれてしまった結果、
優秀な人、資金などが
「販売部門」に偏ってしまっているとのこと。
投資信託という商品の、あらゆる意思決定において、
「販売部門」に権力・パワーが集中し過ぎている、
(これが結果的に、投資家の潜在ニーズを捉えた
商品設計につながらない最大の原因だとわたしは思います)
換言すると、
【作り手】である運用会社がほんらい持っている
「メーカー」としての個性が失われてしまっているのです。
さらに藤野さんの発言は続きます・・。
藤野:ふえたし、でかい会社の経営者の質が低い。
そういう会社はめちゃくちゃパフォーマンスが悪い。
そこを除くとパフォーマンスがいいのに。
かなりだめな経営者でも首にできない。
ドコモや三菱UFJGなどは株価が劇下げしてるのに
2期4年やって会長をやっている。
アメリカなら首になる。アクティブなFMが少ないので
お前はくびだという人がいない。だから非効率があがる。
なるほど・・。
本当にアクティブな、
【アクティブファンド】が多数あれば、
銘柄選択を通じて「あなたはクビですよ」と、
ダメな企業に印籠を渡すことができるのですね。
(つまり、市場の【新陳代謝】が働くということ・・)
そして、わたしは今井さんに
「市場の非効率性について、
インデックス派はどう思いますか?」と伺いました。
今井:効率性が高まっているかはよくわからないが。
今の価格を受け入れてるだけ。アクティブ運用は価格を疑っている。
アプローチの違いだと思う。
はい、インデックス投資とは
良い意味でも悪い意味でも
【受け身】なのです・・。⇒ だから「パッシブ」
(わたしはよくセミナーで、
「インデックス投資家は世の中を達観しています」
という言い方をします・・)
※ 「あれ?文中で、山崎さんの引用部分がないよ」
と思われる方がいるかもしれません。
山崎さんの絶妙の突っ込みは
文脈上でお読みいただいたほうが腑に落ちると思います。
⇒ m@さんの『レポート』で。
また、平山さんは
チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」を
引き合いに出して次のように述べられました。
平山 アクティブがいいときとわるいときが
繰り返すとおもっている。
いまはアクティブがいいとき。だいたい20年単位。
アメリカも80-90年代だめだった。
右肩あがりで金利が下がっている時。
敗者のゲームを書いたのはこの時期の話。
2000年代をアップデートした本を読むと違った議論がされている。
(これも興味深いですね・・)
あと【指数】に関しての藤野さんの発言。
藤野:東証や日銀にも
オールジャパンインデックスを作って欲しいと言っている。
日本証券取引所の全てに。JASDAQやマザーズまで含めて。
これ一番いいじゃないですか。時価総額加重平均にしないと
運用上の問題があるので。二つあればいい。
オールジャパンと
上位100社のぞいた中小型株があればいいと思ってる。
それができたらそれと戦うのはいやだ。
ほおー『オールジャパンインデックス』と、
『上位100社のぞいた中小型株指数』ですか・・。
(買ってみたい気がします!)
★ お読みいただくとお分かりの通り、
「アクティブ」について考えるとは、
「インデックス」を再考することであり、
「インデックス」について思慮を巡らすことは
「アクティブの本質」にたどり着くことにつながるのです。
最後に、これは
今井さんに質問したことなのですが、
インデックスファンドはどうしても、
【手数料】の比較のみで取捨選択されがちです。
なるほど、インデックス商品は、
キャッチコピーひとつ考えるだけでも
一苦労なのですが、
『手数料の安さ』以外のセールスポイントを、
マーケティングと絡めて希求していく必要があると感じました。
(山崎さんも言われていた通り、
「インデックスにはまだまだ可能性がある」と
わたしも思います・・)
どうでしたか・・。
当日のイメージの幾ばくかでも伝わりましたでしょうか?
【おまけ】
実は第3部出演者の集合時間は15時で、
4名のパネラーの皆さんとの『大いなる雑談』も
けっこう楽しかったです・・。
(日本の大学の現状、教育制度全般、
仕事(労働)やお金に対する価値観について、
あるいは格差社会の行く末など、
座談会とは関係のない内容ですが
大いに盛り上がりました・・)
4名のパネラーの皆さま、
お忙しい中、本当にありがとうございました!
・今井 幸英さん
日興アセットマネジメント株式会社ETFセンター長
・平山 賢一さん
東京海上アセットマネジメント投信チーフストラテジスト
・藤野 英人さん
レオス・キャピタルワークスCIO
・山崎 元さん
経済評論家 楽天証券経済研究所客員研究員
最後に、えんどうやすゆきさんはじめ、
運営実行委員会の皆さん、そしてサポートスタッフの皆さん、本当にほんとうにお疲れさまでした!!
【追記。2014.5.11】
こちらの完全レポート記事も必見です。
(隅から隅まで第3部を再現してくれていますよ)
【インデックス投資ナイト2014エンドロール】
| イベント・メディアなど | 18:13 | comments:6 | trackbacks:1 | TOP↑
Re: タイトルなし
ありがとうございました! わたし自身、大いに勉強になりました。
| カン・チュンド | 2014/01/17 12:16 | URL |