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ラップ口座にご用心!


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

資産運用に携わる金融機関にとって、
もっとも恐いものは何でしょうか?

それは、
金融庁と相場の下落です・・。

今年に入って金融庁が
投資信託の販売会社に対し

「乗り換え販売」に偏らないよう、
具体的に言及し始めていますが、

(たとえば、
日経電子版のこの記事など)

銀行や証券会社は、
それなりの【危機感】を持って
この事実を受け止めているのではないでしょうか。

つまり、

販売手数料を主な収入源とし、
その収入規模を維持するための
ファンドの「乗り換え販売」の実施が、

もうすぐ出来なくなるかも・・
という【危機感】です。


「そうだな。
じゃあ、新しい収益の取り方を考えないと・・。」
と、思ったかどうかは知りませんが、

ラップ口座】なるものが
預かり資産残高を伸ばしているようです。
(本日13日の日経新聞に記事が出ていましたね)

ラップ口座とは
いったい何かと云いますと、
投資一任サービス』(投資一任口座)のことです。

たとえば、顧客であるあなたが、
サービスの窓口となる証券会社さんに、

⇒ どんな金融商品をどのような割合で買って、
また、どんなタイミングで売買を行うのか、

投資の実際を
【すべてお任せする】(一任する)
サービスのこと・・。

(※ ただし、
利益の保証をしてくれるわけではありません)


現在、有店舗の銀行や証券会社で
実施している【ラップ口座サービス】は、
そのほとんどが投資信託を用いたものです。

以下、その【問題点】を
2点挙げさせていただきます。

1.トータルコストがたいへん高い。

ラップ口座では、
ラップフィーと呼ばれる【手数料】を
継続的に支払う必要があります。

これには
「固定報酬型」と「成功報酬型」があります。

仮に「固定報酬型」で
年1.5%のコストを支払うとすると、
私たちはこれに加え、

実際にチョイスされ、
運用される投資信託にかかる
「信託報酬」も併せて支払う必要があります。


ちなみに、
『SMBCファンドラップサービス』では、
固定報酬型のコストは、

お客さまの純資産総額に応じて基本報酬率(上限年間1.512%〈消費税込〉


と謳っています。

【SMBCファンドラップサービス概要】
※ SMBCファンドラップサービスは
三井住友銀行のサイトで確認しました。

当サービスは、
SMBC日興証券が提供する
投資一任サービスであり、

三井住友銀行は
SMBC日興証券の代理人となっています。

つまり、サービスの窓口は
三井住友銀行ですが、
契約の相手方は
SMBC日興証券であることに注意が必要です。

f_02.gif


さて、手数料のお話に戻りましょう・・。

仮にラップ口座の「固定報酬」で年1.5%、
保有する投資信託の
「平均信託報酬」を年1.2%とすると、

ラップ口座における
トータル継続コスト】は年2.7%となります。

【継続コスト】年2.7%とは、
選択した投資信託たちが、

コンスタントに
プラス2.7%の名目リターンを
獲得してくれてはじめて、

あなたの実際の収益が±ゼロになる、
というほどの手数料比率なのです。


(とてつもなく高い手数料ということが、
イメージしていただけますでしょうか?)

※ ちなみに、
ほとんどのラップ口座サービスでは、
この継続コストのインパクトを薄めるためか、

ファンドの購入時手数料が
不要であることを強調しています。


2.ラップ口座に採用されている
投資信託に限りがある。かつ、偏りがある。


多くの【ラップ口座サービス】では、
ラップ専用のファンドを用意しています。

たとえば、
前述した『SMBCファンドラップサービス』では、

投資一任運用の投資対象として、数多くのファンドの中からSMBCファンドラップ用に厳選した15本のファンドをご用意しています。


と謳っています。

これって果たして、
選りすぐりの、すごい投資信託たち、なのでしょうか?

『SMBCファンドラップサービス』に充てられる
投資信託を見てみましょう。

ファンド15本のうち14本は、
なぜか、
大和住銀投信投資顧問が運用を行うファンドです。
(あとの1本は、日興MRFです)

ちなみに、

大和住銀投信投資顧問の
主要株主の一社として、
三井住友フィナンシャルグループが入っています。

大和住銀投信投資顧問のサイトには、
『SMBCファンドラップサービス』に採用されている
投資信託14本が載っています。


SMBCファンドラップ・欧州株
SMBCファンドラップ・欧州債
SMBCファンドラップ・コモディティ
SMBCファンドラップ・G-REIT
SMBCファンドラップ・J-REIT

SMBCファンドラップ・新興国株
SMBCファンドラップ・新興国債
SMBCファンドラップ・日本グロース株
SMBCファンドラップ・日本債
SMBCファンドラップ・日本中小型株
SMBCファンドラップ・日本バリュー株

SMBCファンドラップ・米国株
SMBCファンドラップ・米国債
SMBCファンドラップ・ヘッジファンド


上記14本の投資信託は、
コモディティのファンドを除いて
すべて『アクティブ・ファンド』となっています。

(インデックス運用する、という選択肢が
そもそもない・・)

また、上記14本の投資信託のうち、
11本が【ファンド・オブ・ファンズ形式】の
投資信託となっています。

14本のファンドの費用については
こちらをご覧ください。

(継続コストが高くなる
ファンド・オブ・ファンズ形式」に
わざわざすること自体、
ちょっと理解しがたいですね・・)


いや、すみません・・、
もっとも大きな『問題』は、

ラップ口座サービスを提供する金融機関の多くが、
自らと資本関係にある運用会社の投資信託を、
「ラップ専用ファンド」として選んでしまっている点でしょう。


「ひょっとして、
自分だちの利益を増やすため?」
と疑ってしまいますね・・。

とても、選りすぐりのファンドたち、
とは言えないです・・。

(別の視点から言えば、
顧客の利益を第一に考えていないわけです)


img01.jpg

(円定期預金との抱き合わせで
「ダイワファンドラップ」を提供するキャンペーンの例)


えー、ここで
一点注意していただきたいのですが、

わたしは【ラップ口座】そのものが、
「悪いサービスだ」と言いたいわけではありません。

低コストのインデックスファンド、
ETFの作り手として
世界的に有名なバンガード社も
【ラップ口座】(投資一任サービス)
を行っています。

(12年にバンガード本社を訪れた際に書いた
詳しい記事はこちら。)


真の問題は、
銀行や証券会社さんの、発想法、なのです。

発想法??
そうです。

以下、まったくわたしの私見です。

冒頭にお話ししたように、
金融庁の方針により
投資信託の回転売買に対する
「風当たり」が今後きつくなることが予想されます。

(= つまり、これから先、
販売手数料頼みのビジネスがやりにくくなる)

「次は、どうしよう・・?」
と考えた際に、

銀行や証券会社が
【継続的な報酬】で収益を維持していく
『戦略』を取りつつあるのでは・・、

とわたしは思っています。


ここには、

まだ無知な消費者の
【知識の獲得具合】を
しっかり見据えている、

金融機関の老練な手腕?が
見え隠れします・・。


つまり、
多くの消費者は、

投資信託を買う際のコスト
(購入時手数料)には敏感になりつつあるが、

継続的な費用である「信託報酬」や、
ラップ口座で必要となる「継続コスト」には
まだ、そんなに敏感ではないのではないか?と、

彼ら/彼女らは考えているのではないでしょうか・・。


つまり、
大手金融機関が何より重視しているのは
次なる『収益の獲得手段』であり、

たまたま【ラップ口座】なるサービスが、
その目的を達成するために
利用されているだけではないかと
わたしは思うわけです。

【投資一任サービス】の本質とは、
実は、顧客にふさわしい
ポートフォリオ(資産配分)の提案を行うことであり、

また、顧客の資産を増やすための、
金融商品に係るコストの
合理的な削減にあるはずです。


現に、米国では継続コストが低い
ETFのみを推奨する
投資一任アドバイザーもいます。
こちらの記事もご参照ください)

また、とよぴ~さんのこちらの記事によれば、
日本でも、ETFに特化した
投資一任業務を行う会社も登場しているようです。

本日の日経新聞の記事は、
ラップ口座の問題点に一切言及しておらず、
業界寄りのお手盛り記事になってしまっているのが
たいへん残念です・・。

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