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アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 (フィデリティ・日本成長株・ファンドを検証する) その1


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

日本で投資信託が広まる
「最初のきっかけ」は、
1996年に当時の橋本首相が表明した
日本版ビッグバン構想』だったと思います。

2年後の1998年12月には、
あのお堅い銀行で、
リスク商品である「投資信託」の販売が始まりました。

そんな中、
98年の4月に運用を開始したのが、
フィデリティ投信が運用する
フィデリティ・日本成長株・ファンド』です。


当該ファンドは今年の4月で
丸17年の運用期間を迎える
「日本株アクティブファンド」です。

長い運用履歴があるということは、
『そのファンドを包括的に評価できる』
ということ。

また、純資産額は現在3,000億円以上あり、
主な日本株ファンド」のひとつとして
今でもしばしば取り上げられます。

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このファンドには
いくつかの『特徴』があります。

1.銀行の窓口販売を意識して作られた。

90年代当時はまだ、
投資信託の流通経路は
典型的な『タテ割り』でした。

えっ、何それ・・?

あくまで一例ですが、
たとえば(投信の販売会社として)
野村證券がある。

身内の野村アセットマネジメントに
「こんな投資信託作ってよ」
と言ってファンドを作らせる。

野村アセットマネジメントで作られた
ファンドは、
野村證券で独占販売・・。

これが、
同グループの運用会社
⇒ 同グループの販売会社という
タテ割り』です。


フィデリティ投信は
外資系の運用会社(本社:米国ボストン)ですので、
自前の強力な『販売網』を持っていません。

そこで、
旧来の『タテ割り流通』を打破すべく、
銀行での窓口販売に力を入れようとしたのでしょう。


2.信託報酬(運用管理費用)を
大幅に引き上げた張本人のひとり。


今となっては信じられないことですが、

1990年代半ばまでは、
「日本株アクティブファンド」でも

信託報酬(運用管理費用)は
年1%程度までのものが大半でした。

一例として、
1994年9月に運用を始めた
三井住友・日本株オープン」があります。

当該ファンドの
運用管理費用は現在、年0.864% です。
(今でも元気に運用しています!)


先ほどお話ししたように、
フィデリティ投信は
旧来の『タテ割り流通』を打破すべく、
銀行での窓販に力を入れようとしました。

銀行の人たちに
自分たちのファンドを
売ってもらうためには?

(何をしないといけない?)

―頭を下げて、お願いします、と言う。―

それも大事ですが、
要は・・【お金】です。 (はあー。ため息)


フィデリティ投信は
1990年代後半、

信託報酬(運用管理費用)の
【振り分け方】において、
実に思い切ったことを行います。


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それは何か・・?

信託報酬における
【販売会社の取り分を
大幅にアップさせたのです。】


『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の
投資信託説明書(交付目論見書)を見ると、

ちょうど6ページ目のところですが、

年1.6524%の
信託報酬(運用管理費用)のうち、
それぞれの会社の【取り分】は、

委託会社 0.7884%
販売会社 0.756%
受託会社 0.108%


となっています。
(委託会社とは運用会社のこと)


投資信託の運用の主役は
(もちろん)運用会社ですが、

ここでは、
運用会社とほぼ同等の【報酬】を
販売会社が得ていることが
分かります。

つまり??

つまり、高い報酬で
インセンティブを付け、
ファンドを売ってもらおうという戦略なのです。

それで、何がどうなったのか?


『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は
1998年4月の運用開始時から、

信託報酬(運用管理費用)が
年1.6% と、

とても継続コストが高い
ファンドのひとつとなったのです。
(※ 当時は消費税が5%だったため)


その結果・・・、何がどうなったのか?

投資家が負担する『継続コスト』が上昇し、
同じ名目リターンなら、
投資家の実績リターンが下がる、
という事が発生しました。

当該ファンドは、
このような【悪しき慣例】を作った
張本人のひとりなのです・・。

(ふつう、投資信託という商品の
競争が激しくなれば、
消費者にとっての【コスト】は下がるはずなのに、
とてもおかしな現象だと思います・・)


ごめんなさい・・、
なんか悪口ばかりのトーンになっていますが、

3.分配金を一度も出していない。

これ、褒めてあげてください。

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は
設定以来、一度も分配金を出していません。

毎期出される運用報告書には、
次の文言が載っています。

当期につきましては、
長期的な信託財産の成長を追求する
観点から無分配とさせていただきます。


ごもっとも、ですね。
これは素晴らしいと思います。

国税当局との兼ね合いで
あからさまには
「当ファンドは分配金は出しません!」
とは言えないでしょうが、

しかし、当該ファンドは
今後も分配金を出すつもりはないでしょう・・。


4.当該ファンドは
2007年の3月に、
運用体制を抜本的に見直しています。


それが今までのところ、
結果として good と出ているか、
bad と出ているかについては、
追々解説していきたいと思います・・。

【続く。】

◆ 関連記事
アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 その2
アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 その3

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COMMENT

Re: インデックス派の見方

コメント、ありがとうございます。
たしかに実際、
下記のようなことはありそうですね。

> 3.3年後に華々しい成果を上げたファンド「のみ」大々的に金融機関に、3年の実績と共に売り込みます(華々しく無かったファンドは解散か吸収して消します)

| カン・チュンド | 2015/02/10 11:42 | URL |

インデックス派の見方

「優秀なファンドマネージャー」というものが存在する前提で書かれてますが、インデックス派としては下記の解釈も成り立つのでは?
---
1.モーニングスターの様な投信評価は過去3年の実績を元に評価を出します

2.投信会社は複数のファンドマネージャーに「アクティブファンドを複数」作らせて、3年の運用実績を作らせます

3.3年後に華々しい成果を上げたファンド「のみ」大々的に金融機関に、3年の実績と共に売り込みます(華々しく無かったファンドは解散か吸収して消します)

4.ここで純資産額が大幅に増えます

5.華々しい成果は偶然の成果なので、やがてベンチマークを下回り出します

6.企業としてはこれ以上リスクを取ってもメリットは無いので、インデックス運用に切り替えることで、初期の偶然の成果を薄めながら「最近の成績はインデックスに60%負けてますが、設定当初からの成績は優秀です(そんな長期ホルダーは純資産の5%しかいませんが)」という言い訳と共に、年率1.6%の信託報酬を奪い続けるのでウマー

ーーー

参考文献「間違いだらけの投資法選び」ラリー・E・スウェドロー

| ほんじょ | 2015/02/09 13:05 | URL | ≫ EDIT

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。誠に申し訳ございませんが、弊所ではオンラインセミナーは現在実施しておりません。もし、個別のご相談でも構わないようでしたら、「コンサルティング専科」のご利用をご検討くださいませ。

| カン・チュンド | 2015/02/08 17:49 | URL |

ご縁があるまま、バフェット式や海外年金積み立てなど勉強しましたが、
理解できないものに投資はしないのがお約束なので、難しくて無理でした。
今までいろいろ見た中では、カンさんのインデックスファンドが一番分かりやすいから、合っているのかなあと思います。
たぶん個別銘柄は、死ぬまで勉強しても分からなそうな気がします。
地方なので、オンラインセミナー希望です。

| はるもも | 2015/02/07 20:17 | URL | ≫ EDIT














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