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アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 (フィデリティ・日本成長株・ファンドを検証する) その3


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

(突然ですが)、
あなたはザ・ピーナッツが
1972年にリリースした、

【さよならは突然に】という曲を、
ご存じですか?

「・・・・・・・。」

スミマセン。


(実は)まさに
さよならは突然に』のようなことが、

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』で
起こりました。

2007年3月1日のことです。

何から『サヨナラ』なのかというと、
それまで、

ジェイ・タルボット氏ひとりが
ポートフォリオ・マネージャーを務めてきた、
いわゆる『シングル・マネジャー方式』から

サヨナラし、

『マルチ・マネジャー方式』に
運用体制が一新されることとなったのです。

新聞


わたしの手元に
2008年3月3日(月)付の
日本経済新聞があります。

「最大の日本株投信」支える

と題した、
『フィデリティ・日本成長株・ファンド』を
取り上げている記事です。

記事内では、当該ファンドが
マルチ・マネジャー方式」に
変更になったと紹介しています。

株式運用を担当する
【ポートフォリオ・マネージャー】は5人で、

○ 海老原 佐京 氏
○ ロラン・デル・グランデ 氏
○ ロバート・ローランド 氏
○ 橋本 好美 氏
○ ジェイ・タルボット 氏

の名が記されています。

(ジェイ・タルボット氏は
引き続き運用を担当・・)


これって、
一体どういうことなのでしょう?

実は、5人の各マネージャーが
自分の運用スタイルに合わせた銘柄を
各自選んでいく、ということ。


その集合体が、
『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の
運用となります・・。

同日付の日経新聞は、

各マネジャーは情報交換などはしても、
運用方針は相談しない。


と記しています。

あっ、このニュースを伝えている、
ロイターの記事もあります。
フィデリティの日本株中核ファンド2本、運用体制を変更
(2007年 03月 1日)


もちろん、
5人のマネージャーの外側には、
アロケーターと呼ばれる人がいて、

(同日の日経新聞では、
三津田 恵子 氏が紹介されています)、

その三津田氏が、
各マネージャーの運用内容を見極め、
資金の配分を決定する『役割』を
担っている旨が記されています。

【※ 2015年現在、
当該ファンドのアロケーター、
マネージャーの人数、陣容は
変わっている可能性があります・・】


こういう想像をしてみましょう。

もし、あなたが
当該ファンドの保有者だとしたら、
【1人体制】から【5人体制】へ!
と聞いて、

⇒「安心だなあ・・。」
と思いますか?

それとも、
⇒「んー、ちょっと心配だなあ・・。」
と思いますか?


第2回目でお話しした通り、
アクティブファンドには
『ドラマ』があります。

それはいったい
どんな『ドラマ』かというと、

インデックス(市場平均)から
どの程度離れて、
独自の運用を貫いていくかという
可能性のドラマ』です。

ジェイ・タルボット氏ひとりが
運用を取り仕切っていた
98年4月から2007年2月末までは、

まさに、
タルボット氏の【才覚】が、
当該ファンドの成績を左右していたと云えます。


それに対して、5名の
【ポートフォリオ・マネージャー】で
運用を行うということは?

ひとつの仮定の話ですが、
仮に各マネージャーに1/5ずつ、
資金を配分するとすると、

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の
成績は、
5名のマネージャーの選択の平均値
ということになります。


financial_planner.png


第2回目でお示ししたデータを
覚えておられますか?

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は
98年、99年と、
運用の初期にとくに素晴らしい成績を
挙げていますが、

それはジェイ・タルボット氏の
貢献によるところですね。

(もちろん、その後、
ベンチマークに負ける年も
ありましたが・・)


市場平均から離れて
独自の銘柄選択、
独自の銘柄保有比率を貫く、
ということは、

アクティブ・リスク】なるものを、
背中に背負うということです。

その具体的な表れのひとつとして、
【保有銘柄数】が挙げられます。


2002年12月2日時点
第5期【運用報告書】を見ると、
(18ページ目)

保有銘柄数について、
前期末: 102銘柄
当期末: 108銘柄 と記されています。

ジェイ・タルボット氏が
『ポートフォリオ・マネジャー』だった頃、
当該ファンドは概ね100~110前後の
銘柄数を保っていました。



もちろん、
銘柄数をある程度絞り込むことは、
アクティブ・リスクを
取っていくことに繋がります。

しかし、わたしは、
アクティブらしい運用は
ある程度『銘柄数』を絞らないと
できないと考えます。


わたしの手元に
第13期【運用報告書】があるのですが、

前期末(2009年11月30日時点)の
銘柄数として、
237銘柄 と記されています。

(※ 運用体制の変更があったのは、
2007年3月)


最新の第17期【運用報告書
(14年12月1日時点)では、

当期末銘柄数として、
276銘柄 と記されています。

<んー、日本株のアクティブファンドで、
この銘柄数はどうなのでしょう・・>

5名の『マルチ・マネジャー方式』ですと、
銘柄数が増えてしまうのは半ば自然な現象ですが・・。



いや、ちょっと待ってください。

本質的に重要なのは、
この【運用体制の変更】が

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の
成績に、どのように影響しているのか、
ということですね。

前回ご覧いただいた、
当該ファンドの
【第1期から第17期】(98年~2014年)の、

ファンドと、ベンチマークの
各期の【騰落率の表】を再び見てみましょう。


フィデリティ

赤字にしている期は、
ファンドがベンチマークを上回る
リターンを挙げたことを示しています。


運用体制の変更が起こった
「第10期」
(2006年12月1日~2007年11月30日)の途中以降、

つまり、
後半部分の運用成績(対ベンチマーク比)は、
前半部分と比べて【鈍化】していると言わざるを得ません。


もちろん、これとて、

これとて、というのは、
17年近い運用期間のことですが、―

長い運用の、【途上】のお話に過ぎません・・。


わたしがあなたに申し上げたいこと、
それは、

アクティブファンドを評価するためには、
長―い時間軸が必要、ということです。


決して、直近6カ月や
2、3年の優れた成績で、
その投資信託を
『全評価』してしまわないよう、ご注意ください。


what is indices


話は逸れますが、
わたしが
『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の
運用体制の変更を知るきっかけになったのは、

お客様とのコンサルティングでした。

⇒ この
『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は、
確定拠出年金にも広く採用されています。


2008年の初頭、
会社型確定拠出年金のご相談で
お客様から、

「フィデリティ・日本成長株・ファンド」って
どうなんですか?
という質問をいただいたのが
きっかけだったのです・・。


仮にあなたが2000年頃から
当該ファンドを保有していて、

【長―い時間軸で付き合っていこう。】
と思っていても、

今回お話ししているような
重大な『運用体制の変更』を
知らされるのは、


いつも・事後のこと・です。

『変更』がある前に、
注意喚起を受けることもほとんどないでしょう。


アクティブファンドの場合、
人の能力にお金を託している】わけですから、

【人の変更】はある意味、
あなたがそのファンドを保有する
『前提条件』が変わるくらいの
大ごとだとわたしは思います。


運用体制の変更そのものも、
【人が決断】することですから、

アクティブファンド最大のリスクは、
人のリスク】と云えるでしょう・・。

◆ 関連記事
アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 その1
アクティブファンドの評価には長―い時間軸が必要 その2

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