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長期金利の低下が意味するもの


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

あなたは友人同士、知り合い同士で
お金の貸し借りをしたことがありますか?

(わたしは過去、一度だけあります・・)

ここでいう『貸し借り』ですが、
100円、200円を貸す、
という世界ではなく、

また、
今日借りて、明日返すという話でもありません。

たとえば、
10万円以上のお金を、
1ヶ月以上貸している状態
ってどうでしょう?


そのような場合、
あなたはお金を借りている人に
利息』を請求できますか?

んー、どうでしょう?

知り合い同士であれば、
なかなか「利息」など求められないのでは?
(元本のみを返してもらえればいい?)

では、100万円を貸していて、
それが1年に及んだらどうですか?


(もしかすると、
借りているほうも、
幾ばくかの『利息』を払わないと・・
と思われるかもしれません。)


お金もひとつの『商品』ですから、
この場合、【利息】とは、
お金を借りる際のレンタル料のようなもの。

そして【金利】とは、
そのレンタル料の料率のことです・・。


歴史を振り返ってみますと、
人も会社も、
ずいぶん昔から、

【レンタル料】を支払って、
お金を借りてきました。

また(お金を貸す側は)
【レンタル料】を
ちゃんともらえるかどうか

(あるいは、
元本をちゃんと返してもらえるか)
不安がありながら、
ずっとお金を貸してきました・・。

これは、
お金を貸す側も、借りる側も、
なんと云いますか、

明日に対して、
楽観 していたから。

出来たことだとわたしは思います。

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そう、
楽観 がないと、
お金の貸し借りなど、出来ませんよね。

(もちろん、経済活動においては、
お金の貸し借りが主役ではなく、

そこから派生する、
購買活動や投資活動が主役であるわけですが。)


また、お金を貸し借りする際には、
金利』が決められます。

私たちが『金利』と聞いて
いちばん最初に思い当たるのが、
長期金利】ではないでしょうか?

(長期金利の「指標」となるのは、
10年物の国債の利回りですね)

わたしは
【金利】とは、
明日に対する 期待値
であると思います。


たとえば、
インドの長期金利が7.8%であるのは、

インド国内で、
「これから1年後、2年後の【変化】って、
それなりに大きいよね・・」
という 期待の表れ なのでしょう。

(もちろん、その期待値は
上がったり下がったりしますが・・)


翻って、
昨今、先進国の長期金利が

歴史上、
異様とも思えるような水準まで
下落しているのは、

明日に対する 期待値 が
限りなく低くなっていることを、
物語っている
とわたしは思います。


「カンさん、何言ってるの。
先進国の長期金利が異様に低くなったのは、

リーマン・ショックのあと、
量的金融緩和を行ったせいでしょ。
これはあくまで一時的な現象よ。」

という 声 が聞こえてきそうですが・・。


わたしは、
先進国の長期金利が低いのは、
一時的な現象ではないと思っています。

先ほどの
『お金の貸し借り』に戻ってみますと、

【金利】というレンタル料の率が
限りなくゼロに近づいても、

以前ほど(人も会社も)
お金を借りたいと
思わなくなっている・・。



これって、
世の中の根本的なところが
(以前とは)違ってきている
ということにはならないでしょうか?

具体的に言えば、
ある種の『飽和』を
示唆しているのではないでしょうか・・。


水野和夫さんの
資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)
を読みますと、

米国では1941年に
長期金利が1.85%になっていることが
分かります。

(これには第2次大戦という
特殊要因が関係しています。

戦争費用を賄うため、
多額の「アメリカ国債」が発行される中、
FRBが短期国債を買い取って、
金利を低位に保っていたのです・・)


一方、
イギリスでは1897年に
長期金利が2.21%になっています。

(イギリスは19世紀後半大不況を経験し、
デフレ経済となりました)

さらに時代を遡れば、
17世紀初頭、

イタリア・ジェノヴァの
長期金利が1%台となり、
1619年には1.125%まで下がります・・。


私たちは
歴史を頭の隅にイメージする際、

『前の時代』のあとに、
『次の時代』が来るという
ある種の分かりやすさを求めてしまいますが、

実際は、

『前の時代』の終わり部分と、
『次の時代』の始まり部分は
大いに重なっています・・。

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イタリア・ジェノヴァの金利が
1.125%にまで下がったとき、

いわゆる
『地中海経済』の終わり部分と、
『大航海時代の経済』の始まりの部分が
重なっていたわけです。


イタリア国内を見れば、
これまで積み上がった経済は
すでに成熟し、

人も企業も、
新たな『ニーズ』を感じて、
より多くを求める・・、
ということをしなくなってきました。

(ある種の『飽和』が訪れたわけです)

それ以降、
ヒトは何度も何度も
『飽和』と『不足』を経験し、

この500年で、
物質的に信じられないくらい豊かになりました。


これから先、
先進国の人々が

新たなフロンティアを求め、
新たな『ニーズ』を感じ、
より多くを求める・・、

というような状態になるためには、

たとえば、
モノ(物質)と
精神(メンタル)を比べたときに、

メンタル(精神)の部分に
より大きな経済的ニーズを感じるようになる、
というようなことが必要なのかもしれません・・。


私たちが新興国の国々で、
年々名目需要が増していくあの光景に
言いようのない『懐かしさ』を感じるのは、

私たち(先進国)が
それだけ老いた証拠である、
とわたしは思います・・。

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