ときに、日本の財政危機について考えてみる その2)
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
突然ですが、
日本では、
赤ちゃん向けのオムツより、
大人向けのオムツの販売量のほうが
多くなっています。
これ・・・、
人類史的な出来事です。
赤ちゃん用の紙おむつ市場は
2011年で約1400億円。
2012年には、
大人向け紙おむつ市場が1500億円に達し、
逆転したのです。
そう、これこそ
『超少子高齢化社会』の象徴ですね。
先日、
日本の財政について、
『預貯金等によって
国の借金は賄われている。』
とお話ししましたが、
『超高齢化社会』が進展すると、
―具体的には、
1949年生まれの団塊の世代の方が、
後期高齢者になるのが2024年ですが、―
預貯金は、
徐々に取り崩されていきます・・。
今のところ予想されているのは、
2020年代のどこかで、
【預貯金の総額が減り始める時期】が来る、
ということ。
これも・・・、
衝撃的な事実です。

つまりは、国の借金が、
預貯金等で賄いきれなくなる日が来る、
ということです。
じゃあ、国債価格の暴落。
長期金利の急上昇。
国は、借金の利払いが急増して、
もう、にっちもさっちも行かなくなり、
やっぱり『破たん』してしまうのでしょうか?
いいえ、物事は
そんなに単純には進まないと思います。
国債価格の暴落。
長期金利の急上昇。
国は、借金の利払いが急増・・
の状態になると、
文字通り、
【財政危機】が表面化することになりますが、
(実は)ここで、
【財政危機】を名目として、
国に出来ることがあるのではないでしょうか。
国の『財政問題』を解決するためには、
1.収入を増やす ⇒ 増税
2.支出を減らす ⇒ 構造改革
3.人為的にインフレを起こす
しか、ありません。
3.は今、
まさにやろうとしていますが、
うまく機能しているとは言えません。
1.については、
消費税の増税は既定路線です。
(もちろん、
「収入を増やす」には、
国の「経済成長率」を
引き上げることによって、
「税収」(法人税・所得税等)を増やす、
ということも含まれます)
また、2.を行うためには、
具体的には【社会保障費の見直し】に
着手する必要があります。
(何しろ、国の支出の3割以上は、
医療、年金、介護などへの出費ですから)
しかし、たとえば
「公的年金の削減」などは、
受給者の【財産権】に関わることですから、
平常時にはなかなか触れにくいものです。
逆説的になりますが、
● 政治の常として、
【危機的な状況】にあるからこそ、
【聖域】に踏み込める、という側面があります。
日本の「財政問題」を
突き詰めていくと、
結局のところ、社会保障関連費、
特に、
・公的年金を縮小できるか、
・医療費負担を抑えることができるか、
という「命題」に行き着くのではないでしょうか。
(もちろんそれは、
個人の負担増につながりますが・・)
このような痛みを伴う改革は、
【財政危機】を名目にしないと、
着手できないと思うのです、政治的に・・。

また、
国債価格の暴落。
長期金利の急上昇。
借金の利払いが急増。
株安、円安の状態が続き、
経済状況が悪化し続けることで、
(逆説的ですが)
国は『大胆な行動』が
取りやすくなる面があると思います。
たとえば、
1.国が保有する資産を売却する。
国が保有する土地、建物はもちろん、
国立病院、国立大学、国立の各種公的機関など。
また、
国の補助金でもっているような
公的な組織、機関も一部解散させる。
特殊法人も廃止。
また、
国の政策融資で生き残っている会社も売却。
各種天下り団体も廃止。
2.支出の圧縮をする。
地方交付税交付金の削減。
特別会計にメスが入る。
国家公務員の削減、給与の引き下げ。
社会保障費の圧縮。
社会保険料の更なる引き上げ
年金支給の更なる繰り延べ
年金支給額の減額
3.増税政策を実施する。
消費税の更なる増税
各種控除、優遇措置の縮小・廃止
新しい税の創設?

たとえば、
「公的年金の縮小」を例に取ると、
仮に将来の時点のどこかで、
【日本を財政破たんさせますか?
それとも(国民が痛みを分け合い)
社会保障費の削減に同意しますか?】
というような、
【決断】を迫られる場面が
来ないとも限りません・・。
(現実問題として、
財政が破たんしてしまうより、
年金の削減のほうが「まし」なわけです)
【財政危機】が表面化することは、
もちろん深刻なことですが、
『財政破たん』に至るまでに、
1.~3.のように、
国に出来ることは実にたくさんあります。
わたしは、
【財政危機】が表面化することと、
【財政破たん】してしまうことの間には、
大きな大きな『距離』があると考えます・・。

| 経済よもやま話 | 19:03 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑