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『相関係数』は生き物です・・


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

異なる資産(アセット)を組み合わせても、
以前ほど分散の効き目が得られない、
という説を耳にします。

アセットクラス間の
相関性の上昇というのは、

紛れもない事実だと思います。


たとえば、1995年以前は、
世界の資本移動が
完全に自由化されておらず、

また、インターネットも
まだ普及していませんでした。

アセットクラス間の
相関は今よりずっと弱かったのです。


また、同じ資産の中でも、
たとえば、

日本株式と先進国株式を
合わせて保有すれば、
『分散の効果』が十分得られました。

(つまり、ポートフォリオ運用の
うまみ」が、
今よりずっと大きかったということ)


ちょうどITバブルの頃から
同じアセットクラスの中で
相関関係が強まり始めました。

たとえば、
アメリカ株が高くなると、
オーストラリアも
日本も高くなる・・、

というようなことが起き始めたのです。


そして、
2008年のリーマンショックを経て、

アセットクラス間の
相関性の上昇は
さらに顕著になっていきます。


KKR(国家公務員共済組合連合会)
の情報開示資料に、
基本ポートフォリオの見直しについて(附属資料)』
がありますが、

こちらの6ページ(PDFファイル)を
ご覧いただくと、
【相関係数表】(2003年~2013年)の中で、

相関係数がマイナスになっている
ふたつの資産の組み合わせが
まったくないことに気付きます。


ではもう、
ポートフォリオ運用を行う
意味がないかというと、
そんなことはありません。

通常、
【相関係数】が+0.75を超えると
強い相関と呼ばれます。

+0.25 ~ +0.75は
中程度の相関、

-0.25 ~ +0.25は
弱い相関と捉えられます。


先ほどの
KKR(国家公務員共済組合連合会)
の【相関係数表】の中で、

相関係数が+0.75を超えているのは
2ヵ所だけです(負債のところを除く)


理論的には、
【相関係数】が+1以外の
すべての資産の組み合わせで、

リスクの総量が
(リスクの)加重平均より
小さくなるわけですから、


⇒ 何かひとつの資産を
選び切ってしまうより、

異なる資産を
いくつか組み合わせたほうが
いいに決まっています。
(リスク量が減るわけですから・・)


pie-chart.png


ただし、
この『リスクの量が減る』という概念を、

どのような期間に当てはめて
イメージするのかは重要です。



なぜなら、
相関係数は「生き物」だからです。


たとえば、
先月の8月下旬の1週間を取れば、

日本株式、
先進国株式、
新興国株式間の
各『相関係数』は、

限りなく
「プラス1」に近かったかもしれません。
(すべてが似通った値動き・・)


では、
『相関係数』は
長い期間を対象にしたものを
見ればよいかというと、

そうとも言えません。

たとえば
過去30年のデータであれば、
グローバル化が進展する前の
相当期間も含んでしまいます。

つまり、実態よりも、
『資産の値動きが異なる度合い』が
大きく見えてしまうわけです。


当然ですが、
あなたが現に投資している
複数の対象(アセットクラス)の
リターンの表れ方は、

毎年、毎年違ってきます。

したがって、
複数の資産間の【相関係数】も
毎年、毎年変わってくるわけです。


株式も、債券も、
長期的に見れば、

先進国と新興国の
「パワー・オブ・バランス」が
変化していくわけですから、

(同じアセットクラス内で)
相関性が上昇し続けるかどうかは、
誰にも分かりません・・。


ところで、
この2、3年は、

「カンさん、
新興国株って全般的に不調で、
もう持ってても
あまり意味ないと思うんですが・・」


というご質問を
コンサルティングの中で
受けることがあります。


「新興国株式が
全般的に不調で」と言うとき、

それは、
先進国株式と比べて、
ということですね。

(あくまでこの2、3年の話ですが、)
先進国株が堅調なのに、
新興国株が下がっている、


この『状況』を
あなたはどう思いますか?

official_charts_company_logo_detail.gif

「ああー、イヤだなあ。」
と嘆きますか?

それとも、

「おっ、
そこそこ値動きが違っていて、
分散投資の効果があるじゃん。」
と思えますか?


人は運用を続けていると、
どうしても、
それぞれの投資対象のリターンが
気になってしまいます。

これは、
それぞれの「木」の育ち具合を、
単独で見てしまっているということ。



【値動きの異なる度合い】
という尺度を持つとは、
いったいどういうことなのでしょうか?

それは、

「AとCとDは、
成績がプラスだったけど、
BとEはマイナスだった。」

という事態に対して、

「やったー!」
と思えることなのです。


(ちょっと、日本語がヘン?)


なぜなら上記では、
分散投資の効果が働いている、
ということなのですから・・。



このように、
あなたが投資している対象を
【ひとつの森】として捉えることが、
ポートフォリオ運用ということなのです。



【値動きの異なる度合い】
という尺度を持てば、

「今年は、
AもBも
CもDもEも、すべてプラスだった。」

という状況は、

「あーあ、
分散投資の効き目が限られているな。」
と、少しガッカリしてよいのですよ・・。

似顔絵



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