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ショート・ショート・ストーリー



ある春の日、
わたしは28階のレストラン街に行くために、
1階でエレベーターを待っていました。

そのとき偶然、高校時代の同級生、
五反田くんに会ったのです。

「えっ? なんで!」
「つうか、久しぶり。」

私たちは握手を交わしました。
彼も28階のレストラン街に行くと言います。

五反田くんはわたしの予想通り、
親父さんの水道工事店を継いでいました。

わたしがファイナンシャルプランナーの
仕事をしていると言うと、
少し興味を持った様子で、

「でもさ、投資って、けっこう難しいんだろ?」
と聞いてきます。

―ちょうどそのときエレベーターが来ました―。


わたしはエレベーターに乗り込みながら、
「いいや、そんなことないよ」と答えます。

「大事なのは3つだけ。
まず、バランスの取れた投資信託という道具を選ぶこと。
それから、一度に買わずに、少しずつ買い続けること。
最後に、低コストを心がけること。


「・・へえー、そうなんだ」

「ところでお前、もう結婚してるんだろ?」と聞くと、
五反田くんは少しはにかみながら、
娘さんの写真を見せてくれました。

「みのりっていうんだ」
「へえー、かわいい子だな」
「ちょうど1年生になったところ」

「今から結婚式が心配だな。ぜったい泣くよ、お前!」
ふたりは申し合わせたように笑い出します。

―エレベーターが28階に着きました。―


わたしも彼も仕事の会食だったため、
別の方向に歩き出します。

「じゃあ、そのうちな」
「おう、またな」

別れ際、わたしは彼に言いました。
「(投資のことだけど)途中で止めずに、
淡々と続けるだけだよ」

五反田くんは右手をあげて、
応えてくれました。

投資とは実に、30秒の会話の中で、
語り尽せるのです・・。


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