ETFが生まれた日
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
今から26年前の今日(1月29日)
アメリカン証券取引所に
現存する最古のETFである、
『スタンダード・アンド・プアーズ預託証券』
(現:スパイダーS&P500 ETF 銘柄コードSPY)が
上場を果たしました。
寒さ厳しいニューヨークで
SPYの初日の売買高は100万口を超え、
上場の滑り出しとなりました。
が、
次の日の出来高は約48万口となり、
2月11日までに1日の売買高は
ナント2万口程度にまで減少してしまったのです。

それもそのはず、
ETFという「新しいツール」に対して、
これをどう位置付ければよいのか、
当時の金融関係者には
十分理解されていませんでした。
証券会社は、
「それは株じゃないよね」と云います。
投資信託の運用会社は
「それは投信じゃないよね」と呟きます。
投資信託の販売会社に至っては
「それって販売手数料が入ってこないから、
うちには関係ないよ」という始末。
ETFが開発されるきっかけとなったのは、
1987年10月19日のブラックマンデーです。
市場が(たった1日で)激変する中、
一度の取引で株価指数(S&P500指数)を
機動的に売買できる商品が
求められるようになりました。
以前
【ETF、夜明け前・・『誕生秘話』 その1)】
という記事内で触れましたが、
80年代後半、
アメリカン証券取引所と
ステート・ストリートは
『合同チーム』を作り、
法律事務所とも連携しながら
新たな金融商品(ETF)の誕生を目指します。
しかし
SEC(米国証券取引委員会)を説得し、
ETFが上場の承認を受けるまでに
ナント4年もの月日を要したのです。

この【新種の商品】は
(しかしながら)
たしかに投資家の潜在ニーズを
掘り当てていました。
ETFとは、
投資信託の分散効果と、
株の機動性を併せ持ったプロダクト。
個人も
機関投資家も
まったく同じ条件で
既存の証券口座から
安価に
株価指数が内包する
資産の売買ができたのです。
しかも
(投資信託と比較して)
販売会社が介在せず、
S&P500の構成銘柄からなる
『ユニット』内には
資金の出入りがないため、
結果として(既存の投信より)
けいぞくコストである『経費率』を
抑えることができました。
イノベイティブな投資家は、
自分たちのリズム、
自分たちに合った方法で
勝手にETFを触り始めます。
1993年の終わり、
米国初のETF(SPY)は
紆余曲折がありながらも、
純資産残高が5億ドル程度まで成長しました。
それでも、
米国で2本目のETFが登場するまで
1年以上(1995年3月)待つ必要があったのです。

こんにち、
「スパイダー S&P500 ETF」(SPY)の
純資産額は2400億ドルを超え、
(1ドル100円の計算でも24兆円!)
直近3ヶ月の1日あたりの売買高は
1億2000万口近くを数え、
世界でもっとも大きなETFとして
知られています。
物事は急には変わりません。
しかし、いったん変わってしまった後では、
「当然でしょ・・」という顔をして
そこに座っているのです。
今日はETFが生まれた日ですよ。

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