インデックス・ファンドがオリンパスに対して損害賠償請求訴訟を起こしていた?
こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。
仮にわたしが
「ローソン」の株式を持っていれば、
『議決権』が付与されます。
でも、
「トピックス日本株式インデックスファンド」を
持っていても、
わたし(ファンド保有者)には
ローソンの『議決権』は与えられません。
(まあ、それはそうでしょう。)
投資信託って
たくさんの株式を保有しますが、
それらの株式の『議決権』って、
ファンドの運用会社が
行使することになります。
たとえば
さわかみファンドを運用する
「さわかみ投信」では、
サイト上で
『個別の議決権行使の結果』を
公表しています。
(これは↑分かりやすい!)

投資信託の運用会社は
それぞれ個性があり、
議決権の行使のしかたにも
「主義主張」があって当然だと思います。
また、ファンドの規模
(マザーファンドベースでの大きさ)が
大きくなると、
かなりの『議決権』を有することになり、
その投票行動そのものが
個々の企業のあり様、
ひいては社会全体に
影響を及ぼすことになります。
でも、です。
投資信託そのものが、
保有する株式(企業)に対して
損害賠償請求訴訟を起こすことなんて、
まあ、ないような・・。
いいえ、あります!
実際、
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」(以下、三井住友日本株イ・ファンドと記します)は、そのマザーファンドを通じて、
オリンパスに対して
損害賠償請求訴訟を起こしています。
それっていつ?
2014年にです。
そもそもなんで?
TOPIX配当込みとの連動を目指す同ファンドは
当然「オリンパス」を組み入れていますが、
同社は2011年に
巨額の損失隠しが発覚し、
株価が大きく下落・・。
当該ファンドが損害を蒙ったため、
その回復を目的とした訴訟なのです。
そう、
モノ言うインデックス・ファンド!
『インデックス・ファンドなんて、
市場全体を漫然と保有するだけだ。』
という批判がありますが、
アクティブに
意思表示を行う
インデックス・ファンドもあるのですね。

さて、
2014年に起こしていた
損害賠償請求訴訟が
去年(2018年)ようやく
『和解』に至ったことが、
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」の【第7期運用報告書】(全体版)を見ると分かります。

注目は以下の部分。
本訴訟でかかった費用10,056,959円と
和解金192,946,492円は
2018年9月4日に
当該マザーファンドに計上しております。
訴訟には当然「お金」がかかります。
そしてその費用を負担するのは?
(当然)ファンド保有者になります。
今回は和解金が入ったため、
(金銭的には)プラスになっているわけです。
とよぴ~さんの以下記事に詳しいのですが、
『主要インデックスファンドの成績 2018年7月~9月』
「三井住友日本株イ・ファンド」では、
2018年9月4日に
ベンチマークから
上方にかい離があったことが、
複数のブロガーによって確認されています。
ん??
でも(そもそも)
インデックス・ファンドの運用目的は?
ベンチマークとの連動を目指すことです。

であれば
当ファンドを保有する投資家にとっては、
ベンチマーク(指数)との『かい離』は
ほんらい望むところではありません。
(実は)当該ファンドがスゴイのは、
決算期末において、
(途中の上方かい離が修正され)
ほぼ、ベンチマーク(TOPIX配当込み)との
連動が維持された点であります。

【第7期運用報告書】(全体版)より。
つまり、
大量の株式を保有する「株主」として
しっかりモノ申すいっぽう、
インデックス・ファンドとしての役割も
忠実に果たしたわけです。
(ココ、評価してあげるべきでは。)
(※ もちろん、
仮に敗訴していた場合には
費用が持ち出し(マイナス)になり、
ベンチマークに対して下方にかい離する
リスクも併せ持っていたわけですが・・)
私たち投資家は
『インデックス・ファンド』を選ぶ際に、
・ベンチマークとの連動性
・運用管理費用
・運用管理費用を含めたトータルコスト
・
・マザーファンドベースでの純資産額
・運用経過年数
・税制優遇口座併用の可否
・販売会社の数
・運用会社そのもののガバナンス など、
さまざまな『物差し』を
比較検討するわけですが、
数多の企業の「株主」として
積極的にモノ申すインデックス・ファンドと、
そうでないインデックス・ファンドという
『評価軸』も、
加えてあげてよいのではないでしょうか?
【追記】
ちなみに2017年、
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」はそのマザーファンドを通じて、
東芝に対して損害賠償請求訴訟を起こしています。
(リリースはこちら)
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