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「停電の夜に」は、三度も読んでしまいました


こんにちは。カン・チュンド です。

どういえばいいのでしょう..
甘酸っぱい、というのでもない。
胸が高鳴るような高揚感もない。

どちらかというと、
物語は淡々と進んでいきます。

それはまるで、
日常のひだをひとつひとつなぞっていくような、
とても繊細で、気配りの行き届いた文章です。

ときどき読んでいてはっとさせられるのは、

食事中に交わすことばであったり、
車を運転する情景であったり、
屋根裏の収納庫の様子であったりします。

また、ほろ苦いストーリーの中にも
くすっと笑えてしまう場面があります。

登場人物、場所は違えど、
ひとつひとつの作品には
人の息遣いがあり、そこには心の起伏があります。

「日常の中にこそドラマは隠されている。」
そう思わせてくれる短編集が
停電の夜に】(ジュンパ ラヒリ著)です。

わたしが想像するに、
作者は幼いころから
人を観察するのに長けた人物だったのだと思います。

人の思いを汲み取ることに
ある種の喜びを感じられないと、
あのようなセンシティブな物語は書けないと思います。

そして、どの作品にも言えるのですが、
終盤の盛り上がりに比べ、

ラストはまるで潮が引き、
そのあとにただ風が吹いているような終わり方をしています。

(おそらく)
わたしがラヒリ氏の作品に魅かれるのは、
彼女がインド系アメリカ人という、
マイノリティーとしての出自を背負っているからだと思います..。

(わたしが【停電の夜に】の中で
いちばん好きなのは「三度目で最後の大陸」です)




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